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芍薬、蓮花、スリーピングミスト「十六夜」
Date: Mon, 25 Sep 2023

●投書:
・芍薬
第一印象は「柑橘だ!?」でした。レモンやグレープフルーツのような、キリッとした酸味とちょっとしたほろ苦さ。やがて落ち着いて、あの花らしい、ゆったり・たっぷりとした、どこか甘酸っぱい、すっきりとした華やかさに。まるで本物の花の香りを濃くしたよう。最後にはまるで薔薇のような香りに落ち着きました。

庭に芍薬があり、時期になると玄関に飾るのですが、夜になるとその階が芍薬の香りで満たされます。その香りと本当にそっくり。武蔵野ワークスさんの香水は本物に寄せる傾向があるとのことですが、なるほどこれはお見事です!

実は、最後に残る薔薇の香りが苦手で、買った当初はあまり積極的に使っていませんでした。優雅で素敵だし一瞬はうっとりするのですけど、長く触れていると疲れてきますし、気後れを感じてしまうので。

ところが気温が15℃に近づいた涼しい夜、深い香りが欲しくなり、この香りを思い出して使ってみたところ見事にマッチしました。寒くなると味の好みが濃く甘い方へと寄るように、香りもそういうことがあるのかも……と思い、冬に向けて新たな香りを試してみようかと検討中です。


・蓮花
まず「お寺のにおいだ!」と思いました。年に一度、お盆の日はお参りでお堂を一周するのですが、そのときにお寺の中に漂っているのと同じような匂い。

たぶん白檀なのだと思いますが、この香りが最初から最後まで通底してあります。その中に爽やかな、苦みのない柑橘の果汁のような香りがある。

でもそれもやがて消えて、白い、きめ細かな粉をイメージする香りに。最初から最後まで全体的にうっとりするような甘さのある香りでした。やわらかでふくよか、インドあたりの宗教画に描かれる女神のような印象です。


香水の香りは甘いとか色っぽい、強い、というイメージがあるのですが、その意味では今回買った中では一番香水らしい香りかもしれません。ただ、強いということはない。香水の強さってどこか「お前が俺に似合って見せろよ」みたいなイメージがあるのですが、そういう傲慢さは感じません。

蓮と聞いて思い浮かべるのは高田公園のお堀の蓮です。夏の青空を背景に濃いピンクの花が辺りを埋める光景を始めて見た時「極楽浄土ってきっとこんなとこなんだろな」と思ったものです。お寺の記憶も相まって、私の中では極楽浄土のイメージ香水になりました。


・スリーピングミスト「十六夜」
ラベンダー精油の香りが好きで、リラックスして眠りたい時には大抵使っています。なので、ディフューザーの用意が面倒なときにいいかなと購入しました。

が、思っていたより甘い……というか、色っぽい。ラベンダーもあるにはありますが、それよりは白粉のような甘い、なまめかしい香りの印象が強くてびっくりしました。

どうやら私は白檀系の香りに色っぽさを感じるようです。何度か嗅ぐうちに慣れてきて、今は甘くてやわらか、心くつろぐ香りとして気に入っています。落ちこんで優しく甘やかされたい気分の時にぴったりです。

こちらはラベルもとても気に入っています。どの商品のラベルも素敵ですが、十六夜はとりわけ月の欠けぐあいが絶妙で、見入ってしまいます。


●ハンドル:
尾村依子


(国分) 『芍薬』はまずまずヒットしてよかった、これからの季節さらに使いやすいと思います、ぜひお楽しみください。「白檀系の香りに色っぽさ」を感じられるとのこと、白檀は日本では伝統的なイメージですが、世界的にはセクシーな香り、なので世界的な感じ方ではないでしょうか? 白檀が日本にもたらされたであろう飛鳥や奈良時代ならセクシーに感じた日本人が多いと空想します


(2023-10-05)
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