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( 香水工場の )

香る生活


絵画のような『耳をすませば』
先日テレビのチャンネルを回していたら日本テレビでアニメが放映されていました。

「おっと、これは武蔵野か?」とすぐに画面を見入ってしまいました。アニメのタイトルは『耳をすませば』。スタジオジブリ1995年の作品だそうです。

真夏の強い日差しで作られる鮮明な木陰や雑多な駅前の混雑風景、昭和の団地さえも絵になる美しさです。

狭い階段や金属ドアやノブの感じがとってもクール。室内の描写も当時の電気製品や照明器具まですべてが絵になっていて引き込まれましたが、なんといっても丘陵から望む風景が一番心惹かれました。

「これは川向こうから見た武蔵野ではないだろうか?」

この場合の川とは多摩川のことです。多摩川は山梨と接する奥多摩山岳地帯に源を発し、八王子、多摩地区、世田谷と東京西部を雄大に横断して東京湾に注ぎます。

太古の昔から何度も氾濫し蛇行を繰り返してきた川です。

川を挟んで南北に河岸段丘を作ってきたため武蔵野は多摩川を一番低地として南北にゆるやなか丘陵を形成します。だから、段丘に点在する丘の上に登ると遠くまで見渡せます。

この辺でしたら新宿や品川の高層ビルを見ることができます。

当社がある国分寺は多摩川の北方。JR国分寺駅周辺は河岸段丘の一つである国分寺崖線の上に立地しています。

一方『耳をすませば』の舞台になった町は聖蹟桜ヶ丘(せいせきさくらがおか)とのこと。

聖蹟桜ヶ丘は、新宿から京王線で30分。ちょうど多摩川を越えたところです。当社からは真っ直ぐ南に下ったところです。車でもチャリでも30分程度の距離。私にとってはほぼ地元エリアです。

アニメの舞台が地元で、それなりにリアルに描かれていて「これはあれだろう」なんて考えながら見るとかなり楽しいものがあります。

一画面一画面が、現在の武蔵野を描いた絵画のようで、すっかり満足です。スタジオジブリは国分寺の隣町の小金井市にあります。武蔵野です。

この作品で宮崎駿氏には武蔵野を描くという意図はなかったと思いますが『となりのトトロ』で見せてくれた田園風景は、狭山丘陵の雑木林や田園がモデルになっており、ここにも武蔵野が溢れるように描かれています。



ところで、『耳をすませば』の物語の方は朝焼けの武蔵野を見ながら、月島雫と天沢聖司が結婚の約束をするという内容でクライマックスを迎えます。

子供達はこの場面をどう見たのだろうか?少なくとも大人は「この年齢のこの種の約束はアテにならんからね・・・」とそんなことを考えたのではないでしょうか。

身に覚えがある大人は、そこが、逆に切なかったかも。

1990年代初頭を想定された作品とのことですので、生きていれば、雫と聖司はそろそろ、そろって三十路(みそじ)を越える頃です。

(2008-02-27)
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