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( 香水工場の )

香る生活


「百合」リニューアル若干の遅れ
香水類は、数十種類から数百種類の香料を調合して制作します。香料の種類は数千種類とも数万種類とも言わますが、そのバージョンの違いや産地の違い、ロット違いまで加味すると事実上無限の種類の香料が存在します。そして、そのすべてが毎年生産されているわけではありません。

様々な香味植物や鉱物(石油・石炭・地中成分)から採取・生成される香料や香料原料は、天災や天候不順・不作などで生産が止まることがあります。

戦争や紛争も脅威です。原産国・原産地の戦争など人的・政治的な理由で原料供給が中断したり産地が閉鎖されたりします。

あるいは原料メーカーのビジネス上の都合や、とくにEUが世界に率先して熱心ですが、法的な使用規制や使用制限も原料ストップの原因になります。

その中断された香料が香り全体の屋台に影響を与えるようなキーの成分でなければ問題ありませんし、香料がキーであっても簡単に他の香料や他の産地の香料などで代替が可能なら問題ありません。

2年前に休止に追い込まれた「フローラル・フォーシーズンズ 百合」は、まさにキーとなる香料の生産中止でした(「グリーンローズ」も現在この理由で休止中です)。香料会社さんからさまざまな代替品の原料を提案いただきましたが、最終製品がまるで違う香りになりました。

結果的に代替原料でアコードを取り直すことはあきらめ、新規にゼロから処方を組み直すことにしました。その間、様々な香料を試しました。自社開発はあきらめ海外のパフューマーさんの作品でよいものがあったら採用することも計画案としてあがりましたが、多くの海外パフューマーさんは「なんでカサブランカなんてスキなの?」とあまり関心がない調香師さんが多いようです。

もちろん、世界にはそれなりにカサブランカや百合の香水はありますので、制作しているメーカーはそれなりありますが、海外パフューマーの創作意欲を刺激する香りでないのでしょうか?私には知る由もありません。

以上のような事情で、長い間リニューアルできずにいた「百合」は、けっきょく海外パフューマー作品起用案も断念し自社オリジナル製品としてリニューアルすることになりました。

新作の「沈香」「枝垂紅梅」とともに3月1日を目標にしておりましたが、現在モニターによるお客さまの意見をお聞きした上での最終調整中です。今月中にはリリースしますが、リリースが若干遅れております。どうぞ、ご了承下さい。
(2008-03-03)
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