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( 香水工場の日常 )

石鹸のような香りの香水とは?

街の石鹸工場


石鹸工場を見学されたことはありますか?

石鹸は多くの人にとって生活必需品で、原料も入手しやすく、製造方法も比較的簡単だったため、戦後の日本では、石鹸工場はどこも街でも見かけたという話です。

実際、私の田舎でも小さな石鹸工場がありました。残念ながらその石鹸工場は今はもうありません。


石鹸産業の方向性


トイレタリー産業は、効率化を求めて時代とともに超巨大量産型産業へと変貌を遂げ、街のトイレタリー工場はより大型の企業に統合される傾向があります。

スケールメリットがモノ言う産業分野なのでひたすら巨大化・効率化へ。このトレンドは現在でも続いており、数十年後、洗剤や石鹸のトイレタリー会社は世界で数社が残ると思われます。

P&G(米)、ユニリーバ(蘭・英)、コルゲート(米)、ロレアル(仏)・・・などそうそうたるメンバーが有力候補です。日本からは1社、もしかしたら2社くらい残れるかも。

あとはトイレタリーの世界的メジャーブランドになることに線を引き、組織をあえて小さなサイズにリビルド&リコンストラクトして個性のある非量産型の製品に特化(高級ブランド化)する方向へと進むのではないでしょうか。


石鹸工場のニオイ


私の街の石鹸工場は撤退するまで私たち腕白小僧たちの遊び場近くにあったので、小さい頃から石鹸の原料を目撃し、匂いを嗅いで少年時代を過ごしたものです。

石鹸の匂いとは、ずばり、クサイです。一頃で言えば脂肪臭です。


石鹸の誕生


石鹸の歴史は、肉汁とそれを焼いた木材の灰との偶然の出会いからはじまったと考えられています。

ローマ時代には石鹸の製造方法として「灰と獣脂で作る」という記録が残されているくらいで、脂肪を灰で練ったモノ、それが石鹸です。

相当臭かったはずです。しかも、ドロドロの液状・ジェル状の石鹸。現代人ならそれで洗うことがためらわれるようなシロモノのはず。


石鹸の歴史は、悪臭との闘い


その悪臭に耐えかねて獣脂がオリーブ油などにリプレイスされるのは中世以降のこと。フランス・プロヴァンス地方で地中海の海水と植物油による石鹸産業が盛んになります。

マルセイユ石鹸は今日でも有名です。

植物油+灰(アルカリ)という組成は獣脂+灰(アルカリ)より匂いは改善されましたが、やっぱり独特の脂肪臭がします。

現在でも無添加のオリーブ油石鹸など無添加植物油石鹸を制作している会社さんも多いし、個人でも制作可能ですが、やはりよい香りとは言えません。


なぜかイメージが違う日本の"石鹸の香り"


石鹸とはそういうモノなのに、日本では香水を捜すとき「石鹸のような香りの香水」と指名される方が多いのです。おもしろいですね。

「石鹸のような匂いの香水」を捜されている方の多さは、香水の輸入業者さんや香水販売店の方からもよく指摘されます。

先日、イベントでとある有名ブランド香水をインポートされている会社の方と世間話をしていたら

「あの『石鹸のような匂いの香水』って何でしょうね?」

と盛り上がりました。


石鹸の香りに対する共通認識は薄い


意見は双方ちょっとイメージが食い違っていました。

香水関連のビジネスをされている方々の間でも「石鹸のような匂いの香水」は定義されていないのが実情で、業界の中でも「石鹸の匂い」のイメージは様々です。


ムスクと通じるイメージ


私が個人的に感じるイメージは、やっぱり白い花や白いフローラルブーケ調のイメージ。

こんな感じです:


  • 穏やかさ・優しさ・親しみやすさのある香り
  • 清潔感のある香り
  • お風呂上りの柔らかい肌の温もりがある香り
  • 安心感がある香り


ここでおもしろのは「優しさ」やら「清潔感」やら、ある特定に匂いを差していないところに幅の広さがあります。

実は上のリストは、成分的にはムスクの特徴とオーバーラップしています。

内心、ムスクを念頭にリストアップしたのですが、でもムスク自体が「石鹸のような香り」かというと全然違います。

ムスクを合わせた何かが、消費者の方々が最大公約数的に感じる「石鹸のような香り」でしょうか。
(2009-05-13)

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