About

武蔵野ワークスとは

調香師が開発するフレグランスメーカー

私たちは調香師自らが開発するフレグランスメーカーです。
社名は、会社の創業の地が武蔵野だったことから命名しました。武蔵野の四季と自然が私たちの創作活動の原点です。

四季香水「Floral 4 Seasons」

和の花をテーマにしたオリジナルブランド「Floral 4 Seasons(四季香水、和の花の香りシリーズ)」を中心に、 フレグランス、スキンケア、その他の製品開発を行っています。

香水創りのテーマ

日本で香水といえば欧米の香水が主流。しかし、それらを「強すぎる」と感じる日本人は少なくないようです。その結果、日本では、香水は化粧品の中でもっとも使用されないアイテムの一つ。 化粧品全体に占める香水のシェアは 2~3% 、一方欧米では香水は化粧品のトップアイテムで 20%とも言われます。

私たちの香水に対するテーマはシンプルです。日本の気候・風土、日本人の肌に合う香り。日本の気候で素敵に香り、日本人に合う香りは「優しい香り、穏やかな香り」と考えています。

小さい頃の思い出

小さい頃、私の田舎では稲刈りが終わると脱穀されたワラが田圃のなかに山のように積み上げられていました。
学校帰りの子供たちがそのワラの山に登って遊ぶ光景は晩秋の風物詩でした。私も擦り傷を作りながらワラの山に登って遊んだものです。ワラ山に寝そべり高く突き抜けた青い秋空を仰ぎ見ていたことは楽しい思い出のひとコマです。

一番ホッとする香りとは

ワラの香りは今でも脳の後ろの方にくすぶっている記憶です。
人それぞれ、自分の生まれ育った環境とともに懐かしい香りを記憶しています。それは庭先のお花だったり、お母さんの定番の料理だったり、お母さんそのものの香りだったり。それはもういろいろな香りです。自分の一番ホッとする安心できる香りかも知れません。

人は大きくなっても無意識に心が安らぐ香りを探しているようです。街角でふと沈丁花の香りに出会うと、それは「よい香り」というより、うまく言えないけど「この香り!」という衝撃。生まれる前からDNAに刻まれているかのような「ああ、これは探していた香り」という気持ちでいっぱいになります。

こんな香水を創る

当社が目指す香水は、どちらかというと「懐かしい香り」。生活に密着し生活と共に香る香りです。お料理の香り、室内の木の香り、庭先の土の香り、家族の元気のある香り(人にも香りがあるんですね)。そんな生活の香りにマッチして生活に彩を差してくれる香り、私たちはそんな香水を創りお届けします。

香りのフィールドワーク

武蔵野ワークスのパフューマーは、ラボだけでなくフィールドでも香り創りを行います。香料瓶をかかえて山野に出かけて行き、そこで香りを創ることを大切にしています。

武蔵野にある香水工場

当社は武蔵野の地で創業しました。社名は武蔵野から命名しました。「武蔵野にある香水工場(ワークス)」という意味です。武蔵野の林が醸し出す美しさは私たちの創作活動の原点です。

太古の武蔵野

武蔵野には、旧石器時代から人々が暮らしていた形跡があります。3万年から1万年くらい前の石器などが現在も出土しています。
当時の武蔵野では、おそらく原生林がうっそうと生い茂るジュラシックパークのような世界が拡がっていたことでしょう。ただ、武蔵野には巨大な恐竜や猛獣が活動していた形跡がなく穏やかで優しい森だったと推測されます。

草原となった武蔵野

文明が生まれ人々の歴史が始まると武蔵野は、森から原野へと変貌したと推測されます。なぜなら、万葉集をはじめ多くの古書には武蔵野は森や林ではなく、草が生い茂る野として記述されているためです。

古代の人々による焼き畑の普及で森が草原へと変化したのでしょうか?
武蔵野は奈良時代や平安時代の詩人達を魅了する美しい草原であり、特別な思いで武蔵野が描かれていることが、多くの和歌や随筆からうかがえます。

生活と自然が一体化した武蔵野

しかし、江戸時代、江戸の爆発的な人口増加とその食糧確保のために武蔵野の開拓が始まります。その原動力は、世界的に有名な上水道・玉川上水でした。武蔵野の大地に水路が拓かれたことで、耕作地が拡大、人手による社寺林・屋敷林・街道防風林・雑木林などの植林が増えました。

武蔵野は「草原と林と人々の生活」が、バランスを保ちながら渾然一体となった独特で特殊な大都市郊外へと変貌していきました。明治時代、林と田園が一体となった武蔵野に対して国木田独歩は著作『武蔵野』の中でこのように表現しています。「昔の武蔵野は、萱原のはてなき光景をもつて絶類の美を鳴らしてゐたやうにいひ伝えてあるが、今の武蔵野は林である」

落葉樹の美しさ

国木田独歩は武蔵野のとくにナラ・ケヤキ・イチョウなどの落葉樹に心を奪われたようです。
「木はおもに楢(なら)の類いで、冬はことごとく落葉し、春は滴るばかりの新緑萌え出ずる、その変化が秩父嶺以東十数里の野いっせいに行なわれて…」「元来、日本人はこれまで楢の類いの落葉林の美をあまり知らなかったようである。林といえば、おもに松林のみが、日本の文学美術の上に認められていて…初めて東京に上ってから十年になるが、かかる落葉林の美を解するに至ったのは、近来のことで…」

武蔵野の魅力

武蔵野の魅力は原生林の林としてではなく、人々と自然が調和している空間にあるように感じられます。国木田独歩は武蔵野の魅力をこのように書き留めました。

「自分が一度犬をつれ、近処の林を訪おとない、切株に腰をかけて書ほんを読んでいると、突然林の奥で物の落ちたような音がした。足もとに臥ねていた犬が、耳を立ててきっとそのほうを見つめた。それぎりであった。たぶん栗が落ちたのであろう武蔵野の魅力は原生林の林としてではなく、人々と自然が調和している空間にあるように感じられます。