Home > ブログ
リスト表示 | (edit)
( 香水工場の )

香る生活


天然産物、「看板と中身」の微妙な関係#2
私は九州の片田舎で生まれました。車で20分程度のところに水質がよい大きな川が流れており、付近には造り酒屋の酒蔵が建ち並んでいました。ちょっとしたお酒の産地だったようです。

川辺で遊んでいると巨大なタンクローリーが造り酒屋の工場に横付けされた光景を記憶しています。なんでもない光景ですが、偶然、学校の先生が社会科の時間にそのことに触れ解説してくれたことで記憶に残りました。

話によるとそのお酒は関西方面に運ばれ、現地のお酒とブレンドされ関西方面の有名ブランドのお酒として商品化されるそうです。そのお酒の名前を聞けば、当然、関西方面のその土地で作られたものと連想する商品です。

本当かどうかわかりません。そういう話でした。昔のことで私の記憶違いかも、また先生の勘違いだったかもしれません。

しかし、当時は子供心に「看板と中身」の間の微妙な関係を感じました。「知名度・ブランド」と「実際の中身」の機微に触れ、子供らしく「世の中はウソで満ちている」という単純な善悪感情も抱いたものです。

とはいえは、実際は腕を組んで「人生ってのは難しいもんだネ」とまる子ちゃん風したり顔で、笑える状況でした。

こういう「有名産地&無名産地」のブレンド問題は、お米もお茶もコーヒーもすべての産物に起こりうる話で、有名産地や有名ブランド産物には、多かれ少なかれ、なにかとついて回りやすい問題です。

ブレンドで済めばまだいいほうで、産地名だけが残り、中身はすべて他産地のものという産物も出てくるでしょう。歴史が語るところです。

天然香料の仕入れについても、この問題はちょっと気を遣うテーマです。

天然香料は、相当露骨なブレンドや、相当露骨な差し替えでない限り、科学的な分析をしても産地を見分けることは現在の技術では不可能なケースがほとんど。しかし、そもそも安全性に問題なく品質も同レベルなら、産地にこだわること自体無意味にも感じます。

ただ、産地にこだわって商品の説明にも産地を明記している場合は、ウソにならないようにしたいと気を遣います。しかし、産地にこだわる意味がないときは、品質の安定化のためにもブレンドは悪いことではないと考えています。

世界的な気象変動に加え、中国・インドのエコノミックパワーの台頭で世界の経済状況も激動しています。有名産地と中身の乖離がさらに加速する時代が来るでしょう。

天然産物、「看板と中身」の微妙な関係#1
天然産物、「看板と中身」の微妙な関係#2

(2009-09-19)
search
月一メルマガ

TOP