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( 香水工場の )

香る生活


香りで「頑張る力」はもらえるか?
香りとカラダの関係は案外深い (2019/02/04)

ダマスクローズ畑
( ブルガリア、カザンラクのバラの谷。私が撮影したものではないが、カザンラクのバラ畑はこんな感じ、そして、バラ畑にいるとカラダまで元気になる )


バラの香りが、逆境に効果


2018年11月のニュースで、バラの香りに関するこんな記事が:

バラの香り成分に抗うつ効果 (山陽新聞)

バラの香り、逆境に効果? 頑張る力増す (朝日新聞)


新聞社のタイトルの付け方、おもしろいですね。

「頑張る力増す」なんて、科学レポートにしては、大げさな表現。朝日さん、ちょっと盛りすぎ、とニヤリ。

川崎医療福祉大(岡山県)の研究チームさんが、バラの香りが体を元気にさせてくれることを検証したという内容。

(マウスでの検証が、人にも当てはまるかは、別問題だが、まあ期待できる)

この種のニュース、多いですよね。

・香りで記憶力が増す
・香りの認知症予防
・香りのガンへの効果
・香りのアンチエイジング効果

・・・香りって、すごいじゃないか!という話。


なぜニュースになる?


香りにそういう力があることは、経験則的に昔から知られていることだが、科学的な検証事例が少ない。なので、検証するとちょっとした発見となる。

しかし、香りが、どのように人体に生理的な作用及ぼすのか、そのメカニズムが未だ不明なんですよね。

これは今後、数十年、数百年をかけて解明されていくでしょう。


バラの香り成分の一つが関わっていた


今回のニュースでは、バラの香りの中の "2-フェニルエタノール" という成分が「頑張る力」を与えてくれることがわかった。

2-フェニルエタノールは、香水業界では、かなりメジャーな香料で、当社では「2-フェニルエチルアルコール」と呼んでいる。

(難しいネーミングでしょ? 文節としては、こう読みます → フェニル・エチル・アルコール )

この香料は、当社の場合、香料棚にもラボにも置いてある。

香水関連のメーカーや調香師さんの部屋なら普通に転がっている香料だ。

そして、当社スタッフも日常的に接している。

このフェニルエチルアルコールに関しては、薄めた溶液を霧吹きで「スズメバチにかけると、人を刺すなどの攻撃行動をしなくなる」という研究結果も発表された (2018/03/26 日本応用動物昆虫学会)

良いこと尽くめではないか!


香水にもよく使われる成分


フェニルエチルアルコールは香水にもよく使われる。

当社製品でも、かなりのアイテムで、多かれ少なかれ、フェニルエチルアルコールが含まれる。

フェニルエチルアルコールは、バラだけでなく、香りの花には比較的多くの花に含まれる成分。なので、香りのよい花は、だいたいみんな人を元気にしてくれると解釈してもよさそうだ。


バラの香りは数百種類の成分で構成される


バラの香りといったて、その構成成分は300種類とも500種類ともいわれる。

フェニルエチルアルコールは、その主要成分の一つ。

ちなみにバラの香りの主要成分とは、ゲラニオ-ル、ローズオキシド、リナロ-ル、ネロ-ル、シトロネロール・・・など。

今回は、フェニルエチルアルコールが取り上げられたが、これら一つ一つの成分になんらかの生理的作用があるだろう。


個人的な感想


最後に、日常的にこの成分に直接的・間接的に接している私から、個人的な感想を述べたい。

フェニルエチルアルコールを嗅いでも、肌につけても、元気が出る・頑張る力が増すなどという実感は残念ながらない。

そりゃそうだろう、それができれば、とっくに医薬品への応用が進むというわけで。

麻薬や向精神薬のたぐいではない、即効的な効果は望めない。

しかし、香りには、人の心に力を与えてくれる効果があることは事実、実験でそれが検証されることはありがたい。

そして、香水にそういう成分が含まれるという事実は、香水メーカーのボクらとしては、ありがたいし、うれしい。製品作りの自信にもなっている。


(2019-02-04)
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