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( 香水工場の )

香る生活


花の香気成分はナゾだらけ、ガスクロ体験 パート1
ガスクロマトグラフという分析機をご存じでしょうか?略して「ガスクロ」や「GC」と呼ばれています。この分析機は香料や医薬品などの開発・研究をしているところには必須のとても有名な機械です。

薬品成分を分析するための方法に「クロマトグラフィー」という手法があります。プリズムに光を通すと赤青黄色・・・と7色に分かれる実験を小学生の頃したことがある方も多いと思いますが、似ています。

成分分析をしたい物質をあるベースとなる気体の中に通して加熱しながら混ぜ合わせると時間の経過とともに一つずつ個別の成分が飛び出してきます。出てくるまでの時間が成分ごとにズレているために個別に採取して、質量分析機(MS)と呼ばれるモノで分析するとある程度その成分を特定できるというものです。

個別成分が出てくる時間(リテンションタイム)は成分によって特徴的でライブラリーやデータベースと照らし合わせるとある程度その成分を特定できますが、それをさらに質量分析機(マススペクトロメーター)で分子量や構造まで調べてかなりの確率で成分を特定できます。


・・・なんてかなり専門的なお話で恐縮ですが、きょうご紹介したいお話は成分分析の難しさです。

農薬入りギョーザが現在一世を風靡しておりますが、そもそも食品検査の際、なぜ農薬を検知できなかったのか疑問に思っている消費者は多いと思います。それは検査の方法にあります。

一般の方々の成分分析機に対するイメージは、分析機に試料を入れると数分後に全成分がコンピュータ画面にリストアップされてくるようなイメージがないでしょうか?

そういう機械はありません。

農薬入りが疑われる場合は、どんな農薬が使用されているかアタリをつけて「それが入っているか、どうか?」の検査が基本になります。もし未知の農薬が使用されていれば基本的に検査はパスします。

食品検査で農薬を検知するためには「農薬が入っていることを前提」に検査する必要がありますが、今までの考え方ならそんな前提自体が凄い事態ですし、最大のネックは検査にはカネがかかることです。それを消費者が負担してもたってまでやれるるかどうかとなると市場原理がどうのこうの・・・ドツボにはまります。

ドーピング検査もおそらく同じでテストステロンなどの禁止物質のリストがあり、それが血液中や尿中にあるかどうかという検査で、もし未知の薬物なら検査はパスするのではないでしょうか。

未知の薬物ならそもそも禁止対象にならないということもありますが、その前に物質が何なのか技術的に特定できない可能性大です。


花の香気成分の分析は世界の香料会社や研究所ですすめられています。私も自分で分析してみたいとかねがね考えていましたが、ガスクロは店頭で販売されているようなマシンではありません。マススペクトロメーターまでつけると一声数千万円、当然所有しているところも限られています。

運良く千葉大「柏の葉キャンパス」の畑の片隅で、まさにある花の香気成分をガスクロに掛けようとしている研究チームさんを知り立ち会わせていただきました。・・・続く
(2008-03-27)
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