フェロモン

( 話題性だけ先行し、ホントのところはナゾだらけ )
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※(注意) この記事は、2006年に書かれました。現在の状況は変化しているかもしれません。

世界初のフェロモンの発見・・・ボンビコール

世界初のフェロモンの発見というか発表は1959年のこと。動物を動かす何かナゾの物質があるらしいというものでした。

ドイツの科学者デテナント氏が、20年以上かけて発見しカイコ「ボンビコール(bombykol)」が、フェロモン研究のはじまりとなりました。

ボンビコールは、ごく微量で数キロ先の異性を引き寄せるとされており、「微量で高い効果」が特徴。

フェロモンの性質をよく現わしています。

この「微量で高い効果」を生物に与える物質は、環境への影響も大きく「環境ホルモン」という言葉も生まれることになる。

フェロモンとホルモンの似ている点・違う点

フェロモン(pheromone)とは、動物個体から放出され、同種の他個体に特異的な反応を引き起こす物質です。

「フェロモン」と似た物質に「ホルモン」があります。

ホルモン(hormone)とは、個体体内で分泌され生理的な反応を引き起こす物質。

自分自身に働きかけるホルモンに対して、自分ではない個体に働きかける点がフェロモンとホルモンの違いです。

フェロモンとホルモンは分子物質的に似た構造と考えられています。

また、主に血中に分泌されて各細胞に制御信号を伝えるホルモンに対して、フェロモンは鼻のある器官(嗅覚細胞とは別)で認知され、脳には電気信号が送られるようです。

その制御信号が、神経系やホルモン分泌系を刺激すると考えられています。

この部分も化学物質伝達系であるホルモンとの違いと思われます。

また、ごく微量で作用する点は、私の造語ですが、どちらも「コマンド系」物質と思われます。

フェロモンは一般に「同種他個体」に作用するため、種が違えば、あまり意味がないとされます。

しかし、ジャコウジカの性フェロモンであるムスクは、ヒトにも多少の興奮を起こさせるとされ、「種が違えば影響なし」とは言いないかもしれません。

現在知られている昆虫の各種のフェロモンは、ヒトに作用しないし、同じ昆虫でも違う種類の昆虫には作用しないとされる。

昆虫のフェロモン

ファーブルの昆虫記では、ガの生態について、雄のガが雌のガに引きつけられる話があります。

雄を引き寄せる謎の物質について研究された結果、発見された性誘因物質(化学物質)が、フェロモンと命名され、次のように定義されました。

(この定義は昆虫フェロモンに対してのもので、ヒトに当てはまるかどうか研究者の間で異論あり)

「動物個体から放出され、同種他個体に特異的な反応を引き起こす化学物質」

  • 性ホルモン
  • 道しるべフェロモン(道標フェロモン):アリは足跡に道標フェロモンを残すことで行列をつくる習性を持ちます。
  • 認識フェロモン:アリが自分の仲間かどうかの判別に利用されます
  • 集合フェロモン
  • 警報フェロモン


哺乳類のフェロモン

哺乳類では、ネズミ、鹿、豚などに性フェロモンが存在し、機能していることが知られています。

たとえば、豚にはアンドロステノールという性フェロモンが存在します。

世界3大珍味のトリュフは雌豚を利用して探します。

トリュフにはアンドロステノールが含まれており、他の動物では見つけられないトリュフを雌豚は嗅ぎ分けます。

このような動物の研究から、性フェロモン物質の存在とその働くメカニズムが少しずつ判明しています。

フェロモンは、香りや匂いのように鼻の嗅覚神経 → 視床下部 → 大脳皮質に伝達されるわけでなようです。

現在の研究では、フェロモンは、嗅覚神経と別の「鋤鼻(じょび)器官」にて受容されているようです。鋤鼻器官は嗅覚神経と同じく鼻の中にあります。

視床下部は、体内の内分泌機能コントロールしています。ホルモン分泌制御室といったところです。しかも、性行動や感情などの本能の中枢となっています。

ところが、ヒトに関して言えば、ヒトの鋤鼻器官は進化の過程で退化しているか、もしくは機能していも機能低下が著しい。しかも個人差が激しい器官です。

また鋤鼻器官自体が機能していたとしても、それを直接脳の視床下部に伝える神経系が存在しないとする説が有力です。

そのため、ヒトの性フェロモンに関して言えば、他の哺乳類と違って下記の3点において疑問視する意見が多く聞かれます:

  • フェロモン物質が現状特定されていない。ヒトにとってのフェロモン物質が存在しない可能性がある
  • 鋤鼻(じょび)器官が退化しているためフェロモン物質が存在してもそれを受容できない可能性がある
  • 鋤鼻器官と脳との間の伝達経路が不明。フェロモン物質を受容できても脳に伝える手段が存在しない可能性がある


どうです?・・ヒトのフェロモンによる奇跡の媚薬効果を実証するには、かなりのハードルがありそうですね。

ヒトの性フェロモンは存在するのか?

チベットなどに生息するジャコウジカのオスの生殖腺(香嚢)から分泌するムスクは、哺乳類の性フェロモンの一種と考えられる。

香水業界では、ムスクだけでなく動物性香料(ムスク、アンバーグリス、シベット、カストリュウム)は、すべて「セクシーな香料」と性フェロモン的な効果が推測されますし、空想をかき立てますが証明されていません。

ヒトのフェロモンに関しては、有名な「寄宿舎効果(ドミトリー効果)」の事例が示すように、ヒトにも何らかのフェロモン物質が存在する可能性は高い。

しかし、それが何で、どのようなメカニズムで、どれくらい強力に作用しているのか、まだよくわからないというのが、この記事を書いている2006年現在の現状です。

寄宿舎効果(ドミトリー効果)とは

寄宿舎効果とは女性が同一の建物内などで生活すると月経周期が同期する現象。

1971年にマーサ・マクリントック教授によって発表されました。

フェロモン物質候補はこれだ

まじめに研究している研究者から研究所や研究機関、たんに商品を売りたいだけの企業まで、様々な情報が発信されフェロモン情報は混乱気味です。

しかし、比較的語られるヒトの性フェロモン候補には次の成分が上げられています。

あくまでも候補であり、その実際はどれも証明されていません(ここでいう「証明」とは、利害関係がない複数の第三者による確認試験で同様の結果が得られた状況をいいます)。

・オスモフェリン

オスモフェリンとは、女性の排卵期に作り出される物質。男性がオスモフェリンを嗅ぐと唾液中テストステロン値が上昇することという結果がでているそうです。

・アンドロステノール

アンドロステノールとは、男性の体内でより多く分泌される物質で女性に興奮作用をもたらすとされています。腋の下や生殖腺に広く存在するアポクリン汗腺から分泌される性ホルモン。

・アンドロステノン

アンドロステノンとは、女性の体内でより多く分泌される物質で男性に興奮作用をもたらすとされています。腋の下や生殖腺に広く存在するアポクリン汗腺から分泌される性ホルモン。

・テストステロン

テストステロンとは、男性ホルモンの一種で筋肉増強や体毛、性欲などに作用します。テストステロンは女性も分泌されますが、男性の方が多く分泌されます。

これらは無臭・無色で嗅覚ではなく鼻の中の鋤鼻器官(人によっては機能していない)で感知されているようです。

しかし、それがどのように大脳辺縁系(だいのうへんえんけい)、視床下部(ししょうかぶ)といった人体に生理的な作用を及ぼしたり、直接的な興奮を引き起こすのか未だ解明されていないのが現状です。

鋤鼻器官は、弟6感?

なお、鋤鼻器官を視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚の五感についで「6番目の感覚」と呼ぶ人もいます。

「弟六感」(弟6感、ザ・シックス・センス)は、通常はテレパシーのような超能力や超心理学の世界の感覚で使用される言葉ですが、どちらもまだその地位を確立できていません。

解剖学的には、テレパシーの信号を受信する脳内の感覚器がまったくわからない現状、まだしもフェロモンの方が有利なようです。

ということで、ここでは、個人的に弟6感を「フェロモン覚」、そして弟7感を「テレパシー覚」とさせてもらいます。

フェロモン香水とは?

フェロモン香水自体、研究機関や公的機関、大手ブランドや化粧品メーカーに認知されていないため「フェロモン香水」の定義も曖昧です。

一般には、上記のフェロモン物質候補物質(アンドロステノンやテストステロンなど)を化学合成し、配合しれた液体を「フェロモン香水」としているベンダーがほとんどでしょう。

その効果は、未知数ですが、仮にフェロモン的な効果があるとすれば、人の体内に生理的な作用を及ぼします。

ですので、とくに成長期の子供などに対しての使用は、注意を要すると思います。

リスクが高いので、私は、もう少し研究が進んでからの商品化が望ましいと考えています。

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