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( 香水工場の )

香る生活


ワインと香水の意外な共通性#4(アッサンブラージュで奥深く)
調合と調香の華麗な世界
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・ワインと香水:どちらもアッサンブラージュ(調合)で奥深く。

アッサンブラージュ(assemblage)とはフランス語。英語のアッセンブリー(assembly=集会や部品組み立て)に相当するコトバです。しかし、ワインの分野でアッサンブラージュといえばブレンドのことです。品質の安定や風味を多彩にすることを目的として品種や醸造法が違うワインを混ぜ合わせる行為を差す醸造用語です。

フランスのワイン二大産地といえばボルドーとブルゴーニュ。どちらもワインの世界的ブランドですが、単一品種ワインがメインのブルゴーニュワインに対して、ボルドーワインはアッサンブラージュが特徴と指摘されます。メリット・デメリットそれぞれあって優越付けることは無意味ですが、アッサンブラージュという手法が生み出される理由は明白です。

ブドウの生育状況は毎年変化します。ワインの醸造期間中、ワインの品質に影響を与える気温や気候も毎年変化します。毎年安定した品質のワインを製造するには、不確定要素が多すぎて数値化・機械化はもとより職人のカンと経験を駆使しても、ワインの品質や風味のブレは避けがたいモノがあります。特にテーブルワインやハウスワインは毎年同じ品質が保たれてこそ価値があります。

産地が違うワイン、製造年度の違うワイン、製造方法を違うワインをブレンドすることで毎年比較的安定したテイストのワインの調整と製造が可能となります。当然のことながらそこにはブレンダー(ここでは便宜上「ブレンダー」と書きましたが「ブレンダー」は通常ウイスキーのブレンドを行う職人やメーカーを指します。アッサンブラージュを実際に行う職人さんのことをフランス語で何と呼ぶか不明です)の確かな舌と経験がないとうまくいきません。

また品質を保つという守りの目的だけでなく、価値を高める目的でもアッサンブラージュが行われます。それがボルドーワインの特徴かもしれません。様々なワインをアッサンブラージュすることで、味に奥行きや広がりを出すことが可能です。強い渋みと濃厚で骨格のあるカベルネ・ソーヴィニヨンに、豊かで爽やかなメルローや、柔らかく繊細はカベルネ・フランをアッサンブラージュするとまたまた楽しさも深みも拡がります。

アッサンブラージュを香水のように「調香」とは言いませんが、違ったワインを調合しあう・・・似ていませんか?ここは熱いワインファンとパフューマー双方からの反論に合いそうで書くのがためらわれたのですが、そんな印象を受けます。

なお、余談ですがアッサンブラージュ(assemblage)はwikipediaによると芸術用語としても使用され「積み上げる、貼り付ける、結び付けるなどの方法により制作された美術作品(立体作品)およびその技法」と書いてありました。いろいろ使われているコトバなんですね。

さらに余談ですが、香水の原料となる香料の中で、たとえばローズオイルやラベンダーオイルなどの精油は、多かれ少なかれ原料そのものがアッサンブラージュされます。多くの畑から収穫されたオイルは極端な話、畑ごとにテイストが違うためです。

たとえばブルガリアローズの場合、ブルガリアローズオイルの世界的サプライヤーであるブルガリア国立バラ研究所は品質管理にことのほか熱心な研究機関さんです。「ブルガリアローズ」というブランドを守る使命のようなものを感じさせます。

ブルガリア国立バラ研究所では毎年夏、少数の熟練したブレンダー達の手によってブルガリア中から集積されたローズオイルが芸術的にブレンディングされ「ブルガリアローズオイル」という商品名になり、世界中に出荷されていきます。これもアッサンブラージュですね。

(続く・・・)

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(2009-06-19)
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