( 香水工場の )
香る生活
高価すぎる香料のおもしろ話
(2026/07/30) ※クイズは記事の一番下に。
( ダマスクローズ。高価な香料の代表格ブルガリアローズ・オイルはこの花から採取される )
毎年、この時期になると香料の棚卸し(たなおろし)をやります。
棚卸しとは倉庫にどんな資材・原料が何個あるのか、それらが帳簿と一致しているのかなどをチェックする作業。
棚卸しをながら思ったのですが、すごく高価な香料から安価なものまで多彩だな~と。
今日は香水メーカーの倉庫に鎮座する香料で高価なものについてウンチクします。
まずは、当社では常備していないけど、香水業界で高い香料と認識されているものを数点取り上げてみましょう。
みんな大好き「竜涎香(りゅうぜんこう)」。
★お値段:時価&個別交渉。一説に1kg=数百万円~数億円
(竜涎香はたまに発見されるが、数g~数十gが多い)
マッコウクジラの腸内に発生する結石で、排泄や嘔吐で排出され海面を漂流する課程で得も言えぬ香りを発する香料となる。
なぜそのような香りに変化するのか化学的なプロセスは不明。
海岸に打ち上げられたゴミのような漂流物が、実は竜涎香で、お宝発見!というニュースがときどき流れる。
たとえば、奄美大島で発見の“幻の香り”「龍涎香」
海岸に打ち上げられたゴミはお宝かも?というシチュエーションがあまりにも美しく夢がある。
そのため日本を含め世界中に「龍涎香ハンター」なる人々が出現し日夜海岸をくまなく探し回っている。
海辺の散策が好きな人は、ただ歩くだけでなく、龍涎香を探しながら歩くのも一石二鳥の可能性がありおすすめだ。
ただし、香水業界では、本物の龍涎香が香水に使用されることはほぼない。世界的ハイブランドでも通常使用しない。
一般には販売されないニッチブランドさんならあるかもしれない。
その理由は、極端に高価であること。入手も調達も不安定、さらに品質にバラツキがあり、事実上使えないのだ。
当社にも、まれにこんな電話をくれる方がおられる。
「龍涎香を見つけたんですけど、買ってもらえませんか?」・・実に夢がある話だが、龍涎香を見つけたときは香水メーカーではなく香料会社さんに問い合わせた方がよいだろう。香水メーカーでは検査機器が足りない。
香水業界にとってあまりにも有名な香料。香水用語では「ムスク」と呼ばれる。
天然ムスク=麝香は、ジャコウジカの香嚢(おへそ近く)から採取される。
ムスクは、野生動植物の取引を規制する国際条約「ワシントン条約(CITES)」の規制対象であり、通常入手できないことになっている。
(国際的な闇ルートがあるらしいが、私には知り得ない世界)
★お値段:不明
私はムスクを「人の肌の香り」と呼ぶ。そういう呼び方をしている調香師さんはあまりいないようだが、香りにセクシーさや人の色ツヤのような雰囲気をかもす原料だと理解している。
市販香水でムスクが配合されていない香水はあまりない。それほど香水にとって必須の原料。
(・・と言いながら、実は当社にはムスク無配合製品が数点あるのだ)
ムスクはこれほどまでに重要ながら、研究用途や特殊な事情がない限り、香水に天然ムスクが使用されることはない。香水に使用されるムスクは化学的に製造された合成ムスクである。
( ジャコウジカの写真がなかったので、奈良公園のシカの写真で代用 [利紗/写真AC]。 ジャコウジカはこれより小さく素朴な感じのシカです )
ジンチョウゲ科の沈香属(アクイラリア属など)の樹木が傷ついた際に分泌する樹脂が変質した香木。
正倉院に保管されている「蘭奢待(らんじゃたい)」は、沈香の一種。
その不思議な香りのため信長や明治天皇に愛されたという歴史的エピソードが凄いので嗅いでみたいが、まだ実現していない(永遠に実現しないだろう)。
★お値段:不明
最高級の沈香はとくに「伽羅(きゃら)」と別名で呼ばれる(なんか凄いな~)。
沈香もワシントン条約の規制対象であり調達できないし、実際の香水製造で天然の沈香が使用されることはまずない。
当社の香水『沈香』は、沈香の成分分析を行い、その上で調香師が他の原料から香りを再現したもの。
( 日本の老舗お香屋さんなどには、ワシントン条約規制前に所有保管されていた沈香があり、お香原料としてなら見る機会あり。この事情はムスクも同じ )
ニオイアヤメの根から採取される香料。数年掛けて乾燥・熟成を行い香料を抽出する。
★お値段:一説に1kg=一千万円
独特な存在感があり、香水原料として使用されると香りに奥行きと優雅さが格段に増すとされるが、非常に高価である。
花の香料としては「世界一高価な香料」と呼ばれることがある。
以前は香水先進国フランスやイタリアで生産されていたが、いまはどうだろうか。現在の産地はモロッコが有名。
実はこの香料が日本でも生産されていたという話を薬用植物園(東京都小平市)に行ったときはじめて知った。
( 薬用植物園で見つけたニオイアヤメ。かつて日本でも香料抽出が行われていたらしい )
その後どうなった、現在でも生産されているのかなどの情報は入手できていない。
日本では香料植物のプランテーションは全般的に土地の広さと人件費の問題から、おおむね厳しい状況にある、よってアイリス香料の生産も、おそらく商業化できず、プロジェクトの技術も・経験も途絶えてしまったのかな?・・と空想している。
・・ここまで香水の世界での高価な原料の話をしてきた。アイリスを除いて、どれも現在の香水ブランドでは使われないものとなっている。
ここからは当社の倉庫内に鎮座する香料で高価なものを数点解説したい。
去年1年間で購入した香料で、高価格な「トップ5」を選んでみた。
その前に香料の価格の注意点を少々。香料の価格はかなり流動的です。
・取引量(数十g~数百g~1K~10Kg)によってグラム単価がウソのように変わる
・商社経由か原料メーカーや生産者さんとの直接取引かでも大きく変わります
少量買ったモノも大量に買ったモノも "1Kg換算" で順位付けしました。
少量のものは単価が上がるので、1Kg換算で意図せず上位に来ますので、これをもって香料の価格順位とはなりませんが、この「トップ5」はおおむね高価な香料のイメージは伝わるかもしれません。
さて上の「(2) ○○」は何でしょう?・・下記の中から当ててみて下さい。
下のコメント欄から正解をお答えいただけたら、後日、正解者の中から「5名様」に抽選で 何かをプレゼント いたします(8月12日まで募集中)。
・ベルガモット
・ゼラニウム
・イランイラン
・ジャスミン
・ミント
・パチュリ
・プチグレイン
・サンダルウッド(白檀)
・月桃

(2026-07-30)

香料貯蔵室の棚卸し
毎年、この時期になると香料の棚卸し(たなおろし)をやります。
棚卸しとは倉庫にどんな資材・原料が何個あるのか、それらが帳簿と一致しているのかなどをチェックする作業。
香水で使用する高価な香料
棚卸しをながら思ったのですが、すごく高価な香料から安価なものまで多彩だな~と。
今日は香水メーカーの倉庫に鎮座する香料で高価なものについてウンチクします。
まずは、当社では常備していないけど、香水業界で高い香料と認識されているものを数点取り上げてみましょう。
アンバーグリス(竜涎香)
みんな大好き「竜涎香(りゅうぜんこう)」。
★お値段:時価&個別交渉。一説に1kg=数百万円~数億円
(竜涎香はたまに発見されるが、数g~数十gが多い)
マッコウクジラの腸内に発生する結石で、排泄や嘔吐で排出され海面を漂流する課程で得も言えぬ香りを発する香料となる。
なぜそのような香りに変化するのか化学的なプロセスは不明。
海岸に打ち上げられたゴミのような漂流物が、実は竜涎香で、お宝発見!というニュースがときどき流れる。
たとえば、奄美大島で発見の“幻の香り”「龍涎香」
海岸に打ち上げられたゴミはお宝かも?というシチュエーションがあまりにも美しく夢がある。
そのため日本を含め世界中に「龍涎香ハンター」なる人々が出現し日夜海岸をくまなく探し回っている。
海辺の散策が好きな人は、ただ歩くだけでなく、龍涎香を探しながら歩くのも一石二鳥の可能性がありおすすめだ。
ただし、香水業界では、本物の龍涎香が香水に使用されることはほぼない。世界的ハイブランドでも通常使用しない。
一般には販売されないニッチブランドさんならあるかもしれない。
その理由は、極端に高価であること。入手も調達も不安定、さらに品質にバラツキがあり、事実上使えないのだ。
当社にも、まれにこんな電話をくれる方がおられる。
「龍涎香を見つけたんですけど、買ってもらえませんか?」・・実に夢がある話だが、龍涎香を見つけたときは香水メーカーではなく香料会社さんに問い合わせた方がよいだろう。香水メーカーでは検査機器が足りない。
麝香(じゃこう、ムスク)
香水業界にとってあまりにも有名な香料。香水用語では「ムスク」と呼ばれる。
天然ムスク=麝香は、ジャコウジカの香嚢(おへそ近く)から採取される。
ムスクは、野生動植物の取引を規制する国際条約「ワシントン条約(CITES)」の規制対象であり、通常入手できないことになっている。
(国際的な闇ルートがあるらしいが、私には知り得ない世界)
★お値段:不明
私はムスクを「人の肌の香り」と呼ぶ。そういう呼び方をしている調香師さんはあまりいないようだが、香りにセクシーさや人の色ツヤのような雰囲気をかもす原料だと理解している。
市販香水でムスクが配合されていない香水はあまりない。それほど香水にとって必須の原料。
(・・と言いながら、実は当社にはムスク無配合製品が数点あるのだ)
ムスクはこれほどまでに重要ながら、研究用途や特殊な事情がない限り、香水に天然ムスクが使用されることはない。香水に使用されるムスクは化学的に製造された合成ムスクである。

アガーウッド(沈香、じんこう)
ジンチョウゲ科の沈香属(アクイラリア属など)の樹木が傷ついた際に分泌する樹脂が変質した香木。
正倉院に保管されている「蘭奢待(らんじゃたい)」は、沈香の一種。
その不思議な香りのため信長や明治天皇に愛されたという歴史的エピソードが凄いので嗅いでみたいが、まだ実現していない(永遠に実現しないだろう)。
★お値段:不明
最高級の沈香はとくに「伽羅(きゃら)」と別名で呼ばれる(なんか凄いな~)。
沈香もワシントン条約の規制対象であり調達できないし、実際の香水製造で天然の沈香が使用されることはまずない。
当社の香水『沈香』は、沈香の成分分析を行い、その上で調香師が他の原料から香りを再現したもの。

アイリス(イリス、ニオイアヤメ)
ニオイアヤメの根から採取される香料。数年掛けて乾燥・熟成を行い香料を抽出する。
★お値段:一説に1kg=一千万円
独特な存在感があり、香水原料として使用されると香りに奥行きと優雅さが格段に増すとされるが、非常に高価である。
花の香料としては「世界一高価な香料」と呼ばれることがある。
以前は香水先進国フランスやイタリアで生産されていたが、いまはどうだろうか。現在の産地はモロッコが有名。
実はこの香料が日本でも生産されていたという話を薬用植物園(東京都小平市)に行ったときはじめて知った。

その後どうなった、現在でも生産されているのかなどの情報は入手できていない。
日本では香料植物のプランテーションは全般的に土地の広さと人件費の問題から、おおむね厳しい状況にある、よってアイリス香料の生産も、おそらく商業化できず、プロジェクトの技術も・経験も途絶えてしまったのかな?・・と空想している。
・・ここまで香水の世界での高価な原料の話をしてきた。アイリスを除いて、どれも現在の香水ブランドでは使われないものとなっている。
ここからは当社の倉庫内に鎮座する香料で高価なものを数点解説したい。
当社内の高価な香料
去年1年間で購入した香料で、高価格な「トップ5」を選んでみた。
その前に香料の価格の注意点を少々。香料の価格はかなり流動的です。
・取引量(数十g~数百g~1K~10Kg)によってグラム単価がウソのように変わる
・商社経由か原料メーカーや生産者さんとの直接取引かでも大きく変わります
少量買ったモノも大量に買ったモノも "1Kg換算" で順位付けしました。
少量のものは単価が上がるので、1Kg換算で意図せず上位に来ますので、これをもって香料の価格順位とはなりませんが、この「トップ5」はおおむね高価な香料のイメージは伝わるかもしれません。
(1) ブルガリア・ローズオイル
(2) ○○ ← [クイズ]
(3) オスマンサス(金木犀)
(4) 黒文字
(5) オレンジフラワー
(2) ○○ ← [クイズ]
(3) オスマンサス(金木犀)
(4) 黒文字
(5) オレンジフラワー
さて上の「(2) ○○」は何でしょう?・・下記の中から当ててみて下さい。
クイズ
下のコメント欄から正解をお答えいただけたら、後日、正解者の中から「5名様」に抽選で 何かをプレゼント いたします(8月12日まで募集中)。
・ベルガモット
・ゼラニウム
・イランイラン
・ジャスミン
・ミント
・パチュリ
・プチグレイン
・サンダルウッド(白檀)
・月桃


