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( 香水工場の )

香る生活


フィレンツェのレストラン
連載してきたレポートもきょうが最終回です。最後はコスモプロフと無関係なフィレンツェのレストランについてです。長いレポートをお読みいただきありがとうございました。

一時的に高騰しているボローニアを避けてフィレンツェで宿を取りました。おかげて夜は毎晩フィレンツェのレストラン通いです。世界有数の観光地だけあってレストランには事欠きませんが、特に行きたいレストランがありました。

Il Latini(イル・ラティーニ)。10年前一度来たお店です。

そのときは始めてのイタリア旅行で、フィレンツェにいったらこの店は行った方がいいと旅行代理店の人に勧められたレストランです。

後日わかったことですが10年前も現在でも『地球の歩き方』に載っているお店で日本だけでなく世界のツーリストブックに掲載されているようです。一般に観光地のレストランは、一見客が多く、質が低下しがちですが、イル・ラティーニは地元の人にも愛されているレストランだと思います。

その時は事情も知らずに地図を見ながら探しあてていきました。

夕方の開店前で、薄暗いレストランの中では店員らしき人たちが5〜6人、大きなスライサーで不気味に巨大な生ハムを切りながらダベっていました。

声をかけると「オープン前だから出直してこい」と軽くあしらわれ「では予約したい」というと「予約なんかない」と。取り付く島もありません。

言われるまま3時間後、出直すともうそれは昼間見た薄暗いレストランとは一転。何か巨大な宴会場の様相を呈しています。大きな長テーブルにひしめくように人々が詰め込まれ、次から次へと料理が運ばれている風景がブリューゲルの『農夫の結婚式』のようです。

かろうじて長テーブルの端の方に席を取れましたが、もうあと5分遅かったら入り口で待たされることになったと思います。

入り口に目をやるたびに列が長く曲がりくねって、ついに入り口から人々がレストラン内に押し流れ込んでくる感じです。そして次の目をやったときには待っている人たちもなぜか立ちながら赤ワインを飲んでいました。店のサービスです。

自分たちのワインは何か銘柄を指定してオーダーする雰囲気ではなく、テーブル据え置きの巨大ワインボトルから勝手に注いで飲むのですが、それは周囲の人たちとシェアしているので料金体系は不明です。

右隣は明らかに英語圏からのツーリスト、左隣は現地のイタリア青年たち。

知らない人たちとトスカーナワイン(おそらくキャンティ)をガバガバ飲みまくりました。この活気に圧倒され、また出てくる生ハムやローストビーフの巨大なこと巨大なこと、料理を楽しむと言うより「バトル」という感じで忘れられない想い出になりました。

10年後「イル・ラティーニはまだあるだろうか?」とおぼろげな記憶をたどりつつ尋ねると、まったく同じ場所にありました。

そして開店前からお客が集まる当時と変わらず人気店のようです。店内は改装されかなり広くなっていました。長テーブルは4人掛けのテーブルに変わっていました。店員さんの愛想のなさは相変わらずです。

見るからに外国人なのにイタリア語で話しかけられ、わからないと英語で「今日は何にしますか?」と。

メニューは頼まないと出してくれません。『地球の歩き方』には日本語メニューがあるとなっていますが、日本語どころか英語のメニューもないと言われました。

私たちの隣テーブルもツーリストで「英語は話せますか?」と店員に聞いたら「話せない」と英語で答えていました。そのツーリストたちは「不愉快な店」という態度で食べたら早々に店を出ていきました。

しかし、周囲ではメニューなしにどんどん注文すしイタリア語で店員さんたちと親しそうに会話し盛り上がっているところを見ると地元の常連さんと思われるテーブルがいくつもあります。

事情は不明ですが、地元を大切にするレストランへと経営方針が変わったのかもしれません。地元を大切にするレストランなら味は心配いりません。

個人的には、イル・ラティーニのローストビーフはお勧めです。巨大というだけでなく本当にお肉の味がします。

イタリア料理はまったく素人ですが、ローストビーフに限らずトスカーナ料理を食べたいならイル・ラティーニは現地の人にとっても平均的なプライスで本物を味わえるレストランではないかと思います。

もしいつか再度フィレンツェに行くチャンスあるならまた行きたいレストランです。

イル・ラティーニくらいのレストランなら日本の外食コンサルタントや大手商社などが東京での出店を提案しそうですが、この雰囲気なら「トスカーナ以外は興味ないよ」と言下に断られそうです。そういう頑固さもまた魅力かもしれません。

フィレンツェ展望
フィレンツェ


(2007-05-10)
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