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( 香水工場の )

香る生活


マスマーケットに向かうラグジュアリー7
「マスマーケットに向かうラグジュアリー」の最終回です。長い連載にお付き合いいただきありがとうございました。

記事中、世界のブランドCEOさんの発言が綺羅星のように散りばめられ、私自身刺激的でした。実際会って取材したのか、それとも他の文献からの引用なのか不明ですが、さすがフォーチュン誌ですよね。その気になれば世界のセレブも大企業の経営者も直接話を聞いてこられるに違いありません。

記事全体としては、一点の強い結論に向かうわけでなくやや脈絡もなく流れかける内容もでてきましたが、ブランド論のエッセンスみないなものが随所に顔を出していたため読み終わっると、なんとなくヒントのようなモヤモヤが頭に残りました。この記事は「ラグジュアリー」について書かれてものですが「ラグジュアリー」はすべて「ブランド」という言葉に置き換えてかまわないと考えています。

そして、刺激的に続いてきた記事の結論は、さてどうなるでしょうか?

-------------(原文訳)--------------
高値の限界は?ヘネシーは2400万円の100本限定コニャックを販売することで高値限界に挑戦中です。中身は、会社の威信をかけた最高のブレンドではあるのですが、容器が豪華で芸術品並みです。

スタンダードルームが一泊10万円以上というパリのPlaza Atheneeホテルでは、歴史的な調度品が飾ってありますが、奥には音を立てながら燃える暖炉のビデオイメージとマドンナの顔を織り込んだカーペットで飾られた氷の部屋風バーがあります。若い世代をも取り込もうとする作戦です。「驚きましたか?」と支配人が説明してくれました。「当ホテルのお客様のご子息・ご令嬢の方々は、ルイ15世スタイルの暮らしには興味がありませんからね」。

この混乱ぶりは、ある意味現在の混迷するラグジュアリーの状況を象徴しています。それは階級を超えてちょっと違う階級に足を少しだけ踏み入れたいと願う人々の世界の現れです。いずれにしても言えることは、関係者すべてがこのトレンドが末永く続くことを祈っているということです。
-------------(原文訳)--------------

2000万円以上の時計やお酒やら「消費者が腰を抜かす」(INCREDIBLE)ような価格帯を実験中の世界のブランド。「限界はあるのか?」(Is the sky the limit?)と筆者は問いかけます。

リアルな世界から乖離しはじめたラグジュアリーマーケットは、伝統と格式を重んじるはずのパリの高級ホテルにポップな装飾が施されているように現在の「落ち着かないラグジュアリーマーケットの状況」(the restless state of luxury)を象徴しているようです。「みんな自分の境遇や現実から少しだけ違う世界を味わってみたい、という欲望が今日のラグジュアリーマーケットの原動力」とのこと。

そして、結論は、しかし、そんなことはどうでもよくて、みんな儲けられるならこんなすばらしいトレンド、いつまでも続いて欲しいと祈りを捧げている(veryone has his fingers crossed=あちらでは、人差し指と中指を絡ませる行為はお願い事のためのジェスチャらしいです)。

昨年だったか「原価千円なら10万円のように原価を遥かに超える金額で販売している西洋や日本のブランドどもはけしからん!」という趣旨の中国の新聞を読みました。日本にもかってそういう意見が大勢を占めていました。今でも多くの良識のある人々がそのような意見をお持ちです。

しかし、世界の消費者が、自分が買う商品が原価とはまったくかけ離れていることを知りつつもやはりラグジュアリーを選んでしまうという現象も、また大きな事実です。それだけラグジュアリーには魅力があるとしか言いようがありません。

最後の結論が「けしからん」ではなく、「このまま続いて欲しい」という「祈り」だったことは、アメリカの経済誌らしく笑えてしまいました。自分の意見でなく第三者の意見を装っているにしてもニコっとさせられます。


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Is the sky the limit? Hennessy is testing to find out. The spirits company is selling a limited edition of 100 bottles of cognac for $200,000 a bottle. It's a blend of the best eaux de vie in the house, but a big part of the attraction - and price - comes from the packaging: a case surmounted by Venetian-glass pearls and fashioned by artisans who usually make stained glass for cathedral windows. "It's more like a work of art than a consumer product," says Mo・ Hennessy president Christophe Navarre.

Tell that to hoteliers in an age when seven stars is the new five. At the Plaza Athenee in Paris, owned by the Sultan of Brunei, where a standard room costs $950 a night, chief operating officer Fran輟is Delahaye strides through the flower-bedecked lobby, pointing out the historical fixtures and the formal Michelin three-star restaurant.

Then he rounds the corner to show off his pride and joy: the bar, revamped to look like an ice cube, complete with video image of a crackling fireplace and a carpet woven from a pixelated close-up of Madonna's face. "Big shock, right?" he asks. It's all an attempt to bring in a younger affluent crowd. "The sons and daughters of our guests," he says, "are fed up living with Louis XV style." The contrast is jarring, but in some ways it symbolizes the restless state of luxury today. It's a world in which the snobs want to be a little bit populist, the populists want to be a little bit snobbish, and everyone has his fingers crossed that the extraordinary demand of the past decade will continue unabated.
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(2007-10-06)
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