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九州の櫨 #02 久留米の柳坂曽根
「櫨の実」から精製される蝋(ロウ、ワックス)は、「櫨蝋(はぜろう)」または「木蝋(もくろう)」と呼ばれます。化粧品原料としてのネーミングは化粧品連合会にて「モクロウ」という名称にて統一されています。では、さっそく、九州、櫨の旅パート2・・・

「櫨」(ハゼ)といえば東京では魚のハゼをイメージしますが、九州では櫨の木と櫨の実がイメージされます。本州と比較して紅葉が乏しい九州では真っ赤に色づく光景はひときわ目立つ樹木です。


●久留米の柳坂曽根(やなぎざかそね)

福岡県久留米市には有名な「柳坂曽根」(やなぎざかそね)の櫨並木があります。「有名」と聞いていましたが、西鉄久留米駅からタクシーに乗って「柳坂曽根」と言っても「どこじゃろか?」といって思案のご様子。

いろいろ説明して「あー、こんへんじゃ『山本町のハゼ並木』といいますバイ」といって案内いただきました。

20分程度で柳坂曽根の櫨並木に到着。10月下旬の、まだ紅葉していない櫨並木を南北に歩きました。南方には東西に走る耳納連山があり、この一帯はとてもなだらかな丘陵になっており遠くまで見渡せます。どこかブルガリア「バラの谷」に似た風景です。

タクシーのドライバーさんによるとこの辺一帯は植木栽培が盛んで植樹関連の農家や業者、それに植木取引所のちょっとした一大センターになっているとのことです。

JR九大本線の数量両編成の電車が、凄いスピードで走っていましたが、とてものどかに見えました。秋の午後の日ざしを受けた丘陵地帯は、静かで穏和で天国のような光景です。

農作業をしてたおじいさん聞いてみました。

「この櫨は作物として植えているんですか?」

昔からここで農業をしているというそのおじいさんによればこの櫨並木の櫨の所有者は知らないとのこと、しかし、毎年11月から冬にかけて「山向こうの八女(やめ)から人が来て実をちぎっていく」そうです。

「ロウソクや化粧品の原料になるみたいですよ」。

ここの櫨は200年以上前、江戸時代中期、久留米藩が藩財政の立て直しのため櫨の木栽培と櫨の実生産を奨励、この地方の特産物として江戸や大坂に出荷され久留米藩の財政をうるおしたということです。

幕末は重要な海外輸出産物となり「ジャパンワックス」の名で高い評価を受けました(余談ですが、九州の諸藩の財政力は明治維新の動乱の原動力にもなっていくんですね)。久留米藩だけでなく九州一帯ではいたるところで櫨が栽培され、お百姓さんたちの現金収入の手段となっていました。

「はじめは田圃に陰ができることを嫌う百姓が多かったと聞いております」

主生産はあくまでも米。そのため櫨はあぜ道や土手など米が植えられない場所に植樹されたそうですが、現金収入になることがわかると植樹は最盛を迎えます。

櫨産業最盛期には、筑後地方から熊本、有明海を挟んだ島原地方は「櫨燃える国」と歌われ地盤産業として蝋農家、蝋屋(制蝋業者)、蝋問屋、そして季節労働者などの多くの雇用を生み出しました。


(2007-11-06)
<スピリチュアルな香水 | 2007「ローズの贈り物」>
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