( 香水工場の )
香る生活
2013香水セミナー(渋谷)レビュー
(2013/04/21)
渋谷の駅近くのレンタルスペースで、香水作り体験セミナーを開催しました(4/10)(2013/04/21)
こういうリアルなイベントはなかなかいいですね。とくに通販をやっている当社のような会社は価値ある活動に思いました。
普段は、通販でお取り引きしているけど「顔が見えないお付き合い」のお客様に、販売側の担当者の顔をお見せするよい機会です。
・都心で駅に近いこと・・・やはり参加しやすいですよね
今回は糀屋箱機構さん「Creator’s District608」というレンタルスペースをお借りしたのですが、このビル、以前は公団だったそうで昭和レトロな雰囲気が濃厚なお部屋でした。
「香水制作体験」となると会場さんも、怪しんでお部屋を貸してくれないところが多いので、あまりチョイスはありません。
48名のご応募、24名当選、3名の事前キャンセル、6名の当日キャンセル、合計15名のご参加と若干すきま風が、と思いきやお部屋が予想より小さかったのでちょうどよい案配のこみ具合になりました。
・ベース香料に香料をブレンドしてイメージする香水を作るという実技
・使える香料は8種類(*1)
これをブレンドして香水を作ります。これだけです。誰でもいきなり作れてしまいますが、安定してよい香りを作れるかどうかは「訓練」と「経験」「センス」が必要です。
ついでにいえば「運」。世に残る名香には「運」でできたものも。
ブレンドすることがこのセミナーの一番の実技ポイントですが、一番価値がある部分は、おそらく、8種類の香料を一つずつスメリングして、印象をテキストとして書き出すというプロセスかもしれません。
はじめての人に、スメリングした香料の印象を尋ねると「いい香り」とか「よくない香り」など、非常に狭い表現力しかないものですが、今回のセミナーは驚くことに、みなさん、ツラツラと書き出しされていました。
香りの印象をコトバやテキストに落とす作業(*2)、これが初心者には非常に難しいのです。
書かれている内容も具体的なモノや記憶であり、とても初心者とは思えません。
(*1)パフューマーが実際に使用する香料は300とも500種類ともいわれていますが、市販されている香水の処方で利用される香料は数十種類程度が普通かと思います。特にヒット商品を狙うなら品質安定性を狙うためいかに香料の種類を絞り込めるかは、パフューマーの腕の見せ所です。配合する香料の種類は少なければ少ないほど産業的には「美しい処方」と言えるでしょう。
(*2)香りは感覚として記憶されますが、香りを記憶するためには言葉や文章の力が有効です。また、イメージする香りやできあがった香りを他人に説明する際、香りをコトバに変換する作業がありますので、香りをコトバで表現するスキルは、パフューマーの必須能力です。
(2013-04-21)
渋谷の駅近くのレンタルスペースで、香水作り体験セミナーを開催しました(4/10)(2013/04/21)
こういうリアルなイベントはなかなかいいですね。とくに通販をやっている当社のような会社は価値ある活動に思いました。
普段は、通販でお取り引きしているけど「顔が見えないお付き合い」のお客様に、販売側の担当者の顔をお見せするよい機会です。
「香水制作体験セミナー」の会場
・都心で駅に近いこと・・・やはり参加しやすいですよね
今回は糀屋箱機構さん「Creator’s District608」というレンタルスペースをお借りしたのですが、このビル、以前は公団だったそうで昭和レトロな雰囲気が濃厚なお部屋でした。
「香水制作体験」となると会場さんも、怪しんでお部屋を貸してくれないところが多いので、あまりチョイスはありません。
参加者数
48名のご応募、24名当選、3名の事前キャンセル、6名の当日キャンセル、合計15名のご参加と若干すきま風が、と思いきやお部屋が予想より小さかったのでちょうどよい案配のこみ具合になりました。
内容
・ベース香料に香料をブレンドしてイメージする香水を作るという実技
・使える香料は8種類(*1)
これをブレンドして香水を作ります。これだけです。誰でもいきなり作れてしまいますが、安定してよい香りを作れるかどうかは「訓練」と「経験」「センス」が必要です。
ついでにいえば「運」。世に残る名香には「運」でできたものも。
ブレンドすることがこのセミナーの一番の実技ポイントですが、一番価値がある部分は、おそらく、8種類の香料を一つずつスメリングして、印象をテキストとして書き出すというプロセスかもしれません。
はじめての人に、スメリングした香料の印象を尋ねると「いい香り」とか「よくない香り」など、非常に狭い表現力しかないものですが、今回のセミナーは驚くことに、みなさん、ツラツラと書き出しされていました。
香りの印象をコトバやテキストに落とす作業(*2)、これが初心者には非常に難しいのです。
書かれている内容も具体的なモノや記憶であり、とても初心者とは思えません。
(*1)パフューマーが実際に使用する香料は300とも500種類ともいわれていますが、市販されている香水の処方で利用される香料は数十種類程度が普通かと思います。特にヒット商品を狙うなら品質安定性を狙うためいかに香料の種類を絞り込めるかは、パフューマーの腕の見せ所です。配合する香料の種類は少なければ少ないほど産業的には「美しい処方」と言えるでしょう。
(*2)香りは感覚として記憶されますが、香りを記憶するためには言葉や文章の力が有効です。また、イメージする香りやできあがった香りを他人に説明する際、香りをコトバに変換する作業がありますので、香りをコトバで表現するスキルは、パフューマーの必須能力です。
(2013-04-21)
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香る生活
新作「サイレンス」ラベル案
(2013/03/29)
新作香水「サイレンス」(静寂)のラベルの人気投票をFBとG+でやってみました。人気投票という厳密なものではなく、ゆるく「どれがお好きですか?」「製品に合いますか?」という質問でしたが、いろいろご意見いただきました。ありがとうございます!(2031/03/29)
・E1 → 11票
・E2 → 7票
・F1 → 1票
・F2 → 1票
「E1」圧勝でした。そして、当社が選んだラベルも「E1」だったんですよ。
・E1のデザインが好きです♪
・私もE1にひかれます。
・E2か、F2.直感だけです.
・クールな感じということでE2.
・F1に1票。静寂な山寺に光が射しこむイメージで。
・香りのコンセプトからするとE1でしょうか。大きめな文字や、直線的なラインは静寂なイメージから遠ざかる気がします。
いやーこんなに波長が合うなんて、「サイレンス」は幸先よいスタートです。
Facebookで公開する写真は、あまり鮮明でないし、香水ボトルといっしょにお見せして、可能ならモックアップを制作して手にとって眺めないとリアルな意見は出てこないのではないかと感じていたのですが、香りのコンセプトから「このラベル」がよいというようなご意見いただいて、驚いております。
ビジュアルなデザインならある程度ネットでお見せできるので、今後も公開できるものは前向き公開していくことに価値を感じています。
本当なら、新作香水の香りまで確かめた上で、デザインミーティングに参加してもらうとどんな意見がでるのか、と思ったりします。そうすると会社まで来てもらうことになり大変ではありますが。
今後のデザインミーティングは、公開・お客様参加型ミーティングも一つの方向性と意識改革を迫られる思いです。
(2013-03-29)
新作香水「サイレンス」(静寂)のラベルの人気投票をFBとG+でやってみました。人気投票という厳密なものではなく、ゆるく「どれがお好きですか?」「製品に合いますか?」という質問でしたが、いろいろご意見いただきました。ありがとうございます!(2031/03/29)
「サイレンス」ラベル案の投票結果を発表しますーッ!
・E1 → 11票
・E2 → 7票
・F1 → 1票
・F2 → 1票
「E1」圧勝でした。そして、当社が選んだラベルも「E1」だったんですよ。
お客様の声(抜粋)
・E1のデザインが好きです♪
・私もE1にひかれます。
・E2か、F2.直感だけです.
・クールな感じということでE2.
・F1に1票。静寂な山寺に光が射しこむイメージで。
・香りのコンセプトからするとE1でしょうか。大きめな文字や、直線的なラインは静寂なイメージから遠ざかる気がします。
いやーこんなに波長が合うなんて、「サイレンス」は幸先よいスタートです。
驚くことは、感度の高いご意見
Facebookで公開する写真は、あまり鮮明でないし、香水ボトルといっしょにお見せして、可能ならモックアップを制作して手にとって眺めないとリアルな意見は出てこないのではないかと感じていたのですが、香りのコンセプトから「このラベル」がよいというようなご意見いただいて、驚いております。
公開・お客様参加型デザインミーティングの方向性
ビジュアルなデザインならある程度ネットでお見せできるので、今後も公開できるものは前向き公開していくことに価値を感じています。
本当なら、新作香水の香りまで確かめた上で、デザインミーティングに参加してもらうとどんな意見がでるのか、と思ったりします。そうすると会社まで来てもらうことになり大変ではありますが。
今後のデザインミーティングは、公開・お客様参加型ミーティングも一つの方向性と意識改革を迫られる思いです。
(2013-03-29)
( 香水工場の )
香る生活
新作「ジャスミン」ラベル案
(2013/03/16)
先日のラベル案投票で、まさかの別案採用に。コメントや投票をいただいた方に心より御礼申し上げます(2013/03/16)
来月リリース予定の新作香水「ジャスミン」のラベル案が決定し印刷所に入稿されました。ギリギリになってしまいましたが、なんとか間に合いそうです。
最後までもめた香水ボトルの正面ラベルは、試しにユーザーの意見を聞いてみよう!というアイデアから、このブログ(2013年 新作香水「ジャスミン」の顔、ラベルデザインはどれ?)、及びFacebook&Twitterで呼びかけてみました。
すべての媒体で、A2が人気でした。
社内では、C2で内定しておりました。私個人の第一印象もA2でした。しかし、デザイナーさんを交えたミーティングで「長い目で見ればシンプルで飽きが来ないデザインは、C2」という意見で社内は固まりました。
多くの種類があるジャスミンの中で、配合しているジャスミン香料に似合うし、パフューマーも香りのイメージによく似合うということからC2で決定しておりました。
写真ではわかりにくいのですが、C2はシルバーの箔押しの輝きがステキなラベルになるはずでした。
ブログでは、3名の方からレスポンスをいただき、「A2単独」もしくは「A2プラス何か」が選択されております。
Facebook、TwitterとものA2人気が圧倒的に高かったです。
52投票中、A2の獲得票は31票。単独過半数超えでした。
「A2が一番好き&ジャスミンの香りのイメージを表現できている」
「A2がどこか他のデザインよりワンランク高く凛として気品高く」
「際立って個性があり、かつセンスが良い」
19投票中、A2の獲得票は7票。こちらもA2の圧倒的な強さながら、意見はややばらけております。中には当社が内定してたC2擁護派も。
「何回眺めてもC2です☆他のフレグランスやルームスプレーボトルに埋もれそうにないのが良い!」
大多数のユーザーに愛される製品開発が求められる大企業さんですと、ユーザーの意見は大きな影響力があります。
一方で、アップル社を短期間に世界最大のITカンパニーに押し上げた故スティーブ・ジョブズ氏は「顧客に何が欲しいか聞いてはいけない」(*1)と言って、極端に顧客アンケートを重視する日本の家電メーカーを「海岸に打ち上げられた死んだ魚」(*2)と痛烈に批判しました。日本好きのスティーブですが、日本の家電メーカーはイマイチだったようです。
スティーブは、顧客アンケートをしてはいけないと言っているわけでなく、むしろ、顧客の意見に耳を傾けて、その本質を見抜けと言っているようです。
彼はフォード自動車の創業者ヘンリー・フォード氏の「もし顧客に何が欲しいか質問したら『もっと速い馬』と答えただろう」(*3)をよく引用していたそうです。たしかに、素直に従ったら名車「モデルT」も生まれなかったし、現在自動車産業も違った形になっていたかもしれません。
当社の場合、大企業さんと違いますので、誰からも「愛される製品開発」という束縛は、なかり緩くなります。
「どうせ小さな会社なんだから、自分たちの好きなモノを、とんがって作った方が、最終的には受け入れてもらえる」という気持ちもあって、圧倒的にA2優勢なデザイン案に対して、それを絶対と考えずにもう一度ミーティングしました。そして、結果的にA2で決定しました。
・もともと社内でもA2案は人気があった
・投票で圧倒的な差が出ることは、第一印象で多くの人に訴える力がある
(*1) You can't just ask customers what they want and then try to give that to them. By the time you get it built, they'll want something new. (*2) They’re just like dead fish washing up on the shores. (*3) If I had asked people what they wanted, they would have said faster horses.
今回は、いったん社内決定したものが、ユーザーの人気投票で覆りました。
よい勉強になりました。
当たり前のことですが、自分たちがよいと感じたものとお客様が感じるものに大きな差があることがあるという事実を知りました。
今回コメントや投票をいただいた方に心より御礼申し上げます。
今回のようなユーザー参加型商品開発の経験とノウハウを積んでいきたいな、という気持ちになっています。
(2013-03-16)
先日のラベル案投票で、まさかの別案採用に。コメントや投票をいただいた方に心より御礼申し上げます(2013/03/16)
ラベル案投票
来月リリース予定の新作香水「ジャスミン」のラベル案が決定し印刷所に入稿されました。ギリギリになってしまいましたが、なんとか間に合いそうです。
最後までもめた香水ボトルの正面ラベルは、試しにユーザーの意見を聞いてみよう!というアイデアから、このブログ(2013年 新作香水「ジャスミン」の顔、ラベルデザインはどれ?)、及びFacebook&Twitterで呼びかけてみました。
すべての媒体で、A2が人気でした。
実は内定してた「C2」
社内では、C2で内定しておりました。私個人の第一印象もA2でした。しかし、デザイナーさんを交えたミーティングで「長い目で見ればシンプルで飽きが来ないデザインは、C2」という意見で社内は固まりました。
多くの種類があるジャスミンの中で、配合しているジャスミン香料に似合うし、パフューマーも香りのイメージによく似合うということからC2で決定しておりました。
写真ではわかりにくいのですが、C2はシルバーの箔押しの輝きがステキなラベルになるはずでした。
フタを開けると圧勝の「A2」
ブログでは、3名の方からレスポンスをいただき、「A2単独」もしくは「A2プラス何か」が選択されております。
Facebook、TwitterとものA2人気が圧倒的に高かったです。
Facebookでの反応
52投票中、A2の獲得票は31票。単独過半数超えでした。
「A2が一番好き&ジャスミンの香りのイメージを表現できている」
「A2がどこか他のデザインよりワンランク高く凛として気品高く」
「際立って個性があり、かつセンスが良い」
Twitterでの反応
19投票中、A2の獲得票は7票。こちらもA2の圧倒的な強さながら、意見はややばらけております。中には当社が内定してたC2擁護派も。
「何回眺めてもC2です☆他のフレグランスやルームスプレーボトルに埋もれそうにないのが良い!」
お客様の声をどこまで反映するか、という悩ましい問題
大多数のユーザーに愛される製品開発が求められる大企業さんですと、ユーザーの意見は大きな影響力があります。
一方で、アップル社を短期間に世界最大のITカンパニーに押し上げた故スティーブ・ジョブズ氏は「顧客に何が欲しいか聞いてはいけない」(*1)と言って、極端に顧客アンケートを重視する日本の家電メーカーを「海岸に打ち上げられた死んだ魚」(*2)と痛烈に批判しました。日本好きのスティーブですが、日本の家電メーカーはイマイチだったようです。
スティーブは、顧客アンケートをしてはいけないと言っているわけでなく、むしろ、顧客の意見に耳を傾けて、その本質を見抜けと言っているようです。
彼はフォード自動車の創業者ヘンリー・フォード氏の「もし顧客に何が欲しいか質問したら『もっと速い馬』と答えただろう」(*3)をよく引用していたそうです。たしかに、素直に従ったら名車「モデルT」も生まれなかったし、現在自動車産業も違った形になっていたかもしれません。
当社の場合、大企業さんと違いますので、誰からも「愛される製品開発」という束縛は、なかり緩くなります。
「どうせ小さな会社なんだから、自分たちの好きなモノを、とんがって作った方が、最終的には受け入れてもらえる」という気持ちもあって、圧倒的にA2優勢なデザイン案に対して、それを絶対と考えずにもう一度ミーティングしました。そして、結果的にA2で決定しました。
・もともと社内でもA2案は人気があった
・投票で圧倒的な差が出ることは、第一印象で多くの人に訴える力がある
(*1) You can't just ask customers what they want and then try to give that to them. By the time you get it built, they'll want something new. (*2) They’re just like dead fish washing up on the shores. (*3) If I had asked people what they wanted, they would have said faster horses.
はじめてのユーザー参加型の商品開発となりました
今回は、いったん社内決定したものが、ユーザーの人気投票で覆りました。
よい勉強になりました。
当たり前のことですが、自分たちがよいと感じたものとお客様が感じるものに大きな差があることがあるという事実を知りました。
今回コメントや投票をいただいた方に心より御礼申し上げます。
今回のようなユーザー参加型商品開発の経験とノウハウを積んでいきたいな、という気持ちになっています。
(2013-03-16)
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香る生活
ジャスミンの種類
(2013/03/08)
ジャスミンは数百種類あると言われますが香水に利用されるジャスミンはごくわずか、香水とジャスミンの関係を徹底解説(2013/03/08)
東京はコンクリートジャングルなんて言われますが、この大都会にもジャスミンが普通に生えています。いろいろなご家庭の垣根などからはみ出すように咲いているハゴロモジャスミン!珍しくありません。
アジアの熱帯・亜熱帯地域を原産地とするジャスミンは概して東京では生育しにくいようですが、ハゴロモジャスミンは耐寒性があるため東京でもよく生育します。ハゴロモジャスミンは、ジャスミンの一種で香りもそっくりです。
しかし、ハゴロモジャスミンから香料は採れません。というより産業として成立不可能ですので、趣味の人は別ですが、採取している人はいないと思われます。
ジャスミンは夜開花し、香りを出す花です。ハゴロモジャスミンの開花は、私の場合、咲いた花を見つけるよりも先に香りで開花を知る方が多いかもしれません。
夜道、「ゴー」と香りを噴射している感じジャスミンを発見します。4月から5月の夜、毎年、夜道で驚くパターンを繰り返します。
写真は当社社長が、グラースのジャスミン畑におじゃまして花摘みをさせてもらっているところです。といっても遊びです。本当の収穫は、日が昇ると香気が飛びますので、夜が明ける前から始めます。
こんな写真をお見せすると南仏には、まるでジャスミン畑が拡がっているかのような印象を与えますが、実は香料用ジャスミンの栽培は、世界的にはエジプトや北アフリカやインドに移行しており、フランスではもはや通常、農業として成立しません。
フランス特産ともいうべき、かのワイン生産でさえ、南米やオーストラリアに押され苦境に陥りがちな昨今、まして香料植物の栽培が産業として成立できない事情は、先進国共通の構造的問題です。
こちらの畑は、ある大ブランドさんの契約農家さんが運営するジャスミン畑で、ある香水製品のためだけに生産しています。
中国・台湾ではジャスミンティーは有名なお茶の楽しみ方。ジャスミンをお茶にするわけではなく、お茶のフレーバー(味付け)としてジャスミンの花弁が利用されます。
このジャスミンも夜明け前に摘み取り茶葉に混ぜる作業を行うそうです。ジャスミンティーに利用されるお茶の種類は、緑茶・烏龍茶・白茶など。
私は紅茶にもジャスミンの香りは合うと予想しています。アールグレイ(ベルガモットでフレーバーリングした紅茶)は、有名ですが、もしかしたらジャスミンでフレーバーリングしたジャスミン紅茶もイケてるかもと思うのです(チャンスがあればテストします)。
このジャスミンティーに利用されるジャスミンは、主にジャスミンサンバック(Jasminum sambac)。
実は、2013年にリリース予定の新作香水「Jasmine」には、このサンバックの天然香料がやや濃厚に含まれています。ジャスミンティーのジャスミンの印象が強いサンバックですが、香水にも使えるんですよ。
(※この製品関連で「2013年 新作香水「ジャスミン」の顔」を数日前にアップしました。たくさんのレスポンスをいただきました。ありがとうございました。結果はまた別途ご報告したいと思います)
さて、またまた南仏に戻ります。南仏プロバンス地方に位置するグラースと言えば、世界に名の知れた香水の都です。ここは16世紀ごろから皮革製品産業の一大拠点になったのですが、獣皮革の臭い消しのため香料需要が発生し、やがて香料植物栽培が皮革製品の周辺産業として成長します。
それが、やがて香料産業となり、そして18世紀頃から香水産業へと変遷した特殊な都市です。ジャスミンやミモザやラベンダーなど、プロバンスの丘陵が香料植物の栽培に適していたようです。
皮革製品は他の土地でも作れますが、ジャスミンやラベンダーの産地は限られますので。とくにジャスミンは高価な香料資源であり、グラースを香水の都たらしめた一因でした。
このグラースで栽培されていたジャスミンが「コモンジャスミン」と呼ばれる品種です。学名は「Jasminum officinale(オフィキナーレ)」。日本名では「ソケイ」や「シロモッコウ」。
さらに、この品種改良版と推測される「ロイヤルジャスミン」。学名は「Jasminum grandiflorum(グランディフロルム、グランディフローラム)。日本名で「オオバナソケイ」などがメインに栽培されていたと思われます。
現在、グラースには代々パフューマーというご一族のご家庭がたくさんありますが、香水産業も香料産業も、主要産業からは一歩後退といったところでしょうか。
昔ながら中心部の街並みは観光都市となり、周辺一帯はバイオやソフトウェアのハイテク産業都市といった様相を帯びています。
すぐ隣にはカンヌ(数十年前は小さな漁村)があり、日本で言えば、千葉県・幕張のよるなイベント開催都市といったイメージも獲得しつつあるように思います。
プロバンスの丘陵を埋め尽くしたミモザやジャスミンは、もはや珍しい光景になりつつあります。
ジャスミンの植物学的な分類や見分け方について正直、私は詳しくありません。インターネットで調査すると、いろんな人が勝手な情報を載せているようで、よくわからなくなります。
自分自身の体験と英語圏のWikipediaの記事を中心とした情報で整理します。正しくなかっただゴメンナサイ。
●コモンジャスミン
・学名 → Jasminum officinale(ヤスミナム・オフィキナーレ)
・英語名 → Common Jasmine(コモンジャスミン)
・日本名 → ソケイ、シロモッコウ
・特徴 → 普通に「ジャスミン」と呼ぶとき、一般にこのジャスミンを指す
●ロイヤルジャスミン
・学名 → Jasminum grandiflorum(ヤスミヌム・グランディフロル、ジャスミン・グランディフローラム)
・英語名 → Royal Jasmine、Spanish Jasmine(ロイヤルジャスミン、スパニッシュジャスミン)
・日本名 → オオバナソケイ
・特徴 → 花が大きい、フランスなどで香料用に栽培されているジャスミン
●ジャスミンサンバック
・学名 → Jasminum sambac(ヤスミヌム・サンバック)
・英語名 → Arabian Jasmine(アラビアジャスミン)
・日本名 → 茉莉花(マツリカ、マリカ)
・特徴 → ジャスミン茶に使用
※他に数百種類のジャスミンがありますが、香水稿料として利用される品種は、ほぼ上記3種類です。
※2008年の古い記事ですが、ジャスミン香水を語るなら・・・暗いときこそ、豪華な香水で!・・・香水マーケティング
(2013-03-08)
ジャスミンは数百種類あると言われますが香水に利用されるジャスミンはごくわずか、香水とジャスミンの関係を徹底解説(2013/03/08)
ジャスミン香る東京
東京はコンクリートジャングルなんて言われますが、この大都会にもジャスミンが普通に生えています。いろいろなご家庭の垣根などからはみ出すように咲いているハゴロモジャスミン!珍しくありません。
アジアの熱帯・亜熱帯地域を原産地とするジャスミンは概して東京では生育しにくいようですが、ハゴロモジャスミンは耐寒性があるため東京でもよく生育します。ハゴロモジャスミンは、ジャスミンの一種で香りもそっくりです。
しかし、ハゴロモジャスミンから香料は採れません。というより産業として成立不可能ですので、趣味の人は別ですが、採取している人はいないと思われます。
「ゴー」と香りを噴射するジャスミン
ジャスミンは夜開花し、香りを出す花です。ハゴロモジャスミンの開花は、私の場合、咲いた花を見つけるよりも先に香りで開花を知る方が多いかもしれません。
夜道、「ゴー」と香りを噴射している感じジャスミンを発見します。4月から5月の夜、毎年、夜道で驚くパターンを繰り返します。
南仏ジャスミン畑
写真は当社社長が、グラースのジャスミン畑におじゃまして花摘みをさせてもらっているところです。といっても遊びです。本当の収穫は、日が昇ると香気が飛びますので、夜が明ける前から始めます。
こんな写真をお見せすると南仏には、まるでジャスミン畑が拡がっているかのような印象を与えますが、実は香料用ジャスミンの栽培は、世界的にはエジプトや北アフリカやインドに移行しており、フランスではもはや通常、農業として成立しません。
フランス特産ともいうべき、かのワイン生産でさえ、南米やオーストラリアに押され苦境に陥りがちな昨今、まして香料植物の栽培が産業として成立できない事情は、先進国共通の構造的問題です。
こちらの畑は、ある大ブランドさんの契約農家さんが運営するジャスミン畑で、ある香水製品のためだけに生産しています。
ジャスミンティーのジャスミン(サンバック)
中国・台湾ではジャスミンティーは有名なお茶の楽しみ方。ジャスミンをお茶にするわけではなく、お茶のフレーバー(味付け)としてジャスミンの花弁が利用されます。
このジャスミンも夜明け前に摘み取り茶葉に混ぜる作業を行うそうです。ジャスミンティーに利用されるお茶の種類は、緑茶・烏龍茶・白茶など。
私は紅茶にもジャスミンの香りは合うと予想しています。アールグレイ(ベルガモットでフレーバーリングした紅茶)は、有名ですが、もしかしたらジャスミンでフレーバーリングしたジャスミン紅茶もイケてるかもと思うのです(チャンスがあればテストします)。
このジャスミンティーに利用されるジャスミンは、主にジャスミンサンバック(Jasminum sambac)。
実は、2013年にリリース予定の新作香水「Jasmine」には、このサンバックの天然香料がやや濃厚に含まれています。ジャスミンティーのジャスミンの印象が強いサンバックですが、香水にも使えるんですよ。
(※この製品関連で「2013年 新作香水「ジャスミン」の顔」を数日前にアップしました。たくさんのレスポンスをいただきました。ありがとうございました。結果はまた別途ご報告したいと思います)
香水の都グラースを支えたジャスミン(コモンジャスミン)
さて、またまた南仏に戻ります。南仏プロバンス地方に位置するグラースと言えば、世界に名の知れた香水の都です。ここは16世紀ごろから皮革製品産業の一大拠点になったのですが、獣皮革の臭い消しのため香料需要が発生し、やがて香料植物栽培が皮革製品の周辺産業として成長します。
それが、やがて香料産業となり、そして18世紀頃から香水産業へと変遷した特殊な都市です。ジャスミンやミモザやラベンダーなど、プロバンスの丘陵が香料植物の栽培に適していたようです。
グラースのジャスミン事情
皮革製品は他の土地でも作れますが、ジャスミンやラベンダーの産地は限られますので。とくにジャスミンは高価な香料資源であり、グラースを香水の都たらしめた一因でした。
このグラースで栽培されていたジャスミンが「コモンジャスミン」と呼ばれる品種です。学名は「Jasminum officinale(オフィキナーレ)」。日本名では「ソケイ」や「シロモッコウ」。
さらに、この品種改良版と推測される「ロイヤルジャスミン」。学名は「Jasminum grandiflorum(グランディフロルム、グランディフローラム)。日本名で「オオバナソケイ」などがメインに栽培されていたと思われます。
現在のグラース
現在、グラースには代々パフューマーというご一族のご家庭がたくさんありますが、香水産業も香料産業も、主要産業からは一歩後退といったところでしょうか。
昔ながら中心部の街並みは観光都市となり、周辺一帯はバイオやソフトウェアのハイテク産業都市といった様相を帯びています。
すぐ隣にはカンヌ(数十年前は小さな漁村)があり、日本で言えば、千葉県・幕張のよるなイベント開催都市といったイメージも獲得しつつあるように思います。
プロバンスの丘陵を埋め尽くしたミモザやジャスミンは、もはや珍しい光景になりつつあります。
ジャスミンの種類
ジャスミンの植物学的な分類や見分け方について正直、私は詳しくありません。インターネットで調査すると、いろんな人が勝手な情報を載せているようで、よくわからなくなります。
自分自身の体験と英語圏のWikipediaの記事を中心とした情報で整理します。正しくなかっただゴメンナサイ。
●コモンジャスミン
・学名 → Jasminum officinale(ヤスミナム・オフィキナーレ)
・英語名 → Common Jasmine(コモンジャスミン)
・日本名 → ソケイ、シロモッコウ
・特徴 → 普通に「ジャスミン」と呼ぶとき、一般にこのジャスミンを指す
●ロイヤルジャスミン
・学名 → Jasminum grandiflorum(ヤスミヌム・グランディフロル、ジャスミン・グランディフローラム)
・英語名 → Royal Jasmine、Spanish Jasmine(ロイヤルジャスミン、スパニッシュジャスミン)
・日本名 → オオバナソケイ
・特徴 → 花が大きい、フランスなどで香料用に栽培されているジャスミン
●ジャスミンサンバック
・学名 → Jasminum sambac(ヤスミヌム・サンバック)
・英語名 → Arabian Jasmine(アラビアジャスミン)
・日本名 → 茉莉花(マツリカ、マリカ)
・特徴 → ジャスミン茶に使用
※他に数百種類のジャスミンがありますが、香水稿料として利用される品種は、ほぼ上記3種類です。
※2008年の古い記事ですが、ジャスミン香水を語るなら・・・暗いときこそ、豪華な香水で!・・・香水マーケティング
(2013-03-08)
( 香水工場の )
香る生活
香りの神的な調和、スズランの香り
(2013/03/07)
幸福を呼ぶ花スズランをうんちくします(2013/03/07)
今日は香料のお話です。スズランの花束をいただきました。花の形もカワイイし、並んだ姿もひときわきれいです。フランスでは幸福を呼ぶ花と言われているそうですが、ホント、見ていて幸せな気分にしてくれますよね。
実は、香りも非常によくてこれが幸福感をさらにパワーアップしてくれる感じです。
スズランは香水の三大フローラルの一つと言われますが、自然に生えているスズランは案外小さい物が多く、山歩きなどで見つけたときは地面に這いつくばるように香りを確かめます・・・まあ、だいたい土のニオイか、腕立て伏せ状態なので、ブルブルしちゃって、どうも嗅覚に神経を集中できないのですが、今回はスズランの香りを堪能できました。
ジワッーと降りてくる感じの香り方です。その香りは「気品」というコトバしか思いつきません。絞り出して「清潔感」と「やさしさ」。
切り花用に栽培された生花は、どういうわけか、香りをなくす花が多いようです。たとえば、お花屋さんのバラは香りが薄い切り花が多いですよね、種類にもよりますが、どうも香りが薄くなる傾向があります。
今回やってきたスズランは、しっかり香ってくれていました。
スズランは、ジャスミ・バラとともに「三大フローラルノート」とか「香水の三大香料」とか言われます。つまり、香水の原料として非常に重要ということですが、なんとスズランからは実際には香料(香り成分・香気成分)は採れません。
バラもジャスミンも香料が採取できて、産業として成立していますが、スズランは研究用ではごく微量の精油などを採取できる可能性はありますが、少なくとも香料採取を目的として栽培している企業や農家は聞いたことがありません。
だから、「香水の三大香料」と言われることがおもしろいですよね。それだけ昔から「憧れの香り!」ということだったのではないかと空想しちゃいます。
スズランの香りは「ミュゲノート」と呼ばれます。フランス語でスズランはミュゲと呼ばれ、その香りは「ミュゲノート」と固有名詞化されるくらい愛されている香りなのです。
人気があるスズランの香りを再現すべき世界中の調香師(パフューマー)が他の香料から再現を試みて、多くのスズランの香料が生み出されました。世の中、スズランの香り香水や石鹸やシャンプーなどスズラン製品はありふれていますが、もちろん、本物のスズランの成分が入っているわけではありません。
スズランの香り成分は、ガスマスという機械で測定するとリナロール、シトロネロール、ゲラニオール、シンナミックアルコール、フェニルプロピルアルコール、フェニルエチルアルコール、cis-3-ヘキセノールなどが出てくるそうです。
実は、これらは他の花にも共通する成分で、スズランのスズランらしい、スズランの花に特有の香り成分が見つからないところが、まだ不思議な花です。
リナロール、シトロネロール、ゲラニオールといったお花の香気成分としてごくありふれた香り成分の絶妙なバランスこそ香りの美しさを物語る香りかもしれません。
これほど愛されるミュゲ(スズラン)の香り。世の中にあまたのスズラン製品がありますが、武蔵野ワークスのミュゲ(スズラン)ノート香水もオススメですよ。
「気品」「清潔感」「やさしさ」のスズランをご堪能ください(最後は宣伝になっちゃいましたね)。
(2013-03-07)
幸福を呼ぶ花スズランをうんちくします(2013/03/07)
幸せの花スズラン、姿よし・香りよし
今日は香料のお話です。スズランの花束をいただきました。花の形もカワイイし、並んだ姿もひときわきれいです。フランスでは幸福を呼ぶ花と言われているそうですが、ホント、見ていて幸せな気分にしてくれますよね。
実は、香りも非常によくてこれが幸福感をさらにパワーアップしてくれる感じです。
山歩きで発見するスズラン
スズランは香水の三大フローラルの一つと言われますが、自然に生えているスズランは案外小さい物が多く、山歩きなどで見つけたときは地面に這いつくばるように香りを確かめます・・・まあ、だいたい土のニオイか、腕立て伏せ状態なので、ブルブルしちゃって、どうも嗅覚に神経を集中できないのですが、今回はスズランの香りを堪能できました。
香りの感想、「気品」というコトバしか思いつかない
ジワッーと降りてくる感じの香り方です。その香りは「気品」というコトバしか思いつきません。絞り出して「清潔感」と「やさしさ」。
切り花用に栽培された生花は、どういうわけか、香りをなくす花が多いようです。たとえば、お花屋さんのバラは香りが薄い切り花が多いですよね、種類にもよりますが、どうも香りが薄くなる傾向があります。
今回やってきたスズランは、しっかり香ってくれていました。
香水の三大香料
スズランは、ジャスミ・バラとともに「三大フローラルノート」とか「香水の三大香料」とか言われます。つまり、香水の原料として非常に重要ということですが、なんとスズランからは実際には香料(香り成分・香気成分)は採れません。
バラもジャスミンも香料が採取できて、産業として成立していますが、スズランは研究用ではごく微量の精油などを採取できる可能性はありますが、少なくとも香料採取を目的として栽培している企業や農家は聞いたことがありません。
ミュゲノートは、憧れの香り!
だから、「香水の三大香料」と言われることがおもしろいですよね。それだけ昔から「憧れの香り!」ということだったのではないかと空想しちゃいます。
スズランの香りは「ミュゲノート」と呼ばれます。フランス語でスズランはミュゲと呼ばれ、その香りは「ミュゲノート」と固有名詞化されるくらい愛されている香りなのです。
世界中のパフューマーのテーマ
人気があるスズランの香りを再現すべき世界中の調香師(パフューマー)が他の香料から再現を試みて、多くのスズランの香料が生み出されました。世の中、スズランの香り香水や石鹸やシャンプーなどスズラン製品はありふれていますが、もちろん、本物のスズランの成分が入っているわけではありません。
ありふれた香りの神的バランス・調和かな?
スズランの香り成分は、ガスマスという機械で測定するとリナロール、シトロネロール、ゲラニオール、シンナミックアルコール、フェニルプロピルアルコール、フェニルエチルアルコール、cis-3-ヘキセノールなどが出てくるそうです。
実は、これらは他の花にも共通する成分で、スズランのスズランらしい、スズランの花に特有の香り成分が見つからないところが、まだ不思議な花です。
リナロール、シトロネロール、ゲラニオールといったお花の香気成分としてごくありふれた香り成分の絶妙なバランスこそ香りの美しさを物語る香りかもしれません。
ナチュラルなスズラン
これほど愛されるミュゲ(スズラン)の香り。世の中にあまたのスズラン製品がありますが、武蔵野ワークスのミュゲ(スズラン)ノート香水もオススメですよ。
「気品」「清潔感」「やさしさ」のスズランをご堪能ください(最後は宣伝になっちゃいましたね)。
(2013-03-07)
( 香水工場の )
香る生活
おニューの香水棚
(2013/03/05)
香水を収納する商品棚を特注しました。たかが棚ですが、収納棚がよいと商品もうれしいかも(2013/03/05)
パリなどヨーロッパの大都会で化粧品の専門店に行くと商品もすてきですが、そのディスプレイや商品を陳列する什器もなかなかすてきだなと関心したりします。そういうビジュアルも商品を語るストーリーであり、お店のサービスや雰囲気とともに商品の一部なんだなと納得します。
一方、通販の場合、お客様からは通販の配送センターは見えない場所ですし、ビジュアルより効率性が優先されます。
そんなわけで、通販専門の当社の商品棚は、お世辞にもクールな棚とは言えませんでした。しかし、いくら誰も見る人がいない棚とはいえ、味気なかったです。
そこで、今回は、香水という物語性ある商品にふさわしく、ちょっとだけ雰囲気があり、それでいて通販の機能性を満たすシンプルかつ出し入れに効率的な香水棚を特注しました。
今回も九州のある家具工場さんに制作依頼を出しました。制作してもらった香水棚は、どこのご家庭にもあるようなタンスに似ていますが、設計は当社オリジナル。
香水は、やはり重いですので、強度を上げて、それでいて全体の重量を可能な限り殺ぎ落とし軽量化を試みました。
「出荷前の商品が静かに時を待つ棚」というコンセプトで、シンプルかつ雰囲気のある棚に仕上げてもらいました。
2月上旬、棚が福岡から配送されてきました。予想通りの出来映えでしたが、思いの外、塗料が独特のニオイ。香水棚をバラして、しばし陰干し・吹きさらし状態にしておりました。
1週間経過してもニオイが残るので、ニオイの原因や消臭方法を聞くために家具工場に電話を入れると、これまた予想外の返答。てっきりニスとばかり思っておりましたが、植物の天然オイルのニオイと判明しました。
その植物とは亜麻。「亜麻色の髪」の亜麻です。日本では北海道で栽培されているようです。この亜麻のシードオイル(亜麻仁油=種から採取される植物オイル)は、食用にもなりますし、塗装(オイルフィニッシュ)としても人気のオイルだそうです。
私の場合、このニオイがあまり好きではなく商品に付くことは避けたいとばかり考えていたのですが、このニオイが「新品の家具のニオイ」として大好きな人がそれなりに存在すると言う話を聞いて、これは勉強不足と驚きました。
せっかくなので、亜麻という植物を調べてみました。
亜麻からは良質な繊維が採取され衣料品の原料になるそうです。フランス語で亜麻は「ラン」と呼ばれ、なんと「ランジェリー」の語源になっています。つまり、亜麻の繊維は高級下着の素材に使われてきたことがわかります。
なるほど、ランジェリーに使用される植物のオイルで仕上げられた棚に香水を収納するのも、悪くありません。3週間の陰干しで亜麻仁油のニオイは微かに香るレベルになっており、むしろ、気持ち的にも実際に香るレベルも程良い状態です。
すっかり気をよくして、到着したばかりのおニュー香水棚に香水をせっせと出し入れする毎日がはじまりました。
(2013-03-05)
香水を収納する商品棚を特注しました。たかが棚ですが、収納棚がよいと商品もうれしいかも(2013/03/05)
お店も什器も商品ストーリーの一部
パリなどヨーロッパの大都会で化粧品の専門店に行くと商品もすてきですが、そのディスプレイや商品を陳列する什器もなかなかすてきだなと関心したりします。そういうビジュアルも商品を語るストーリーであり、お店のサービスや雰囲気とともに商品の一部なんだなと納得します。
通販専門の場合、棚はビジュアルより機能性
一方、通販の場合、お客様からは通販の配送センターは見えない場所ですし、ビジュアルより効率性が優先されます。
そんなわけで、通販専門の当社の商品棚は、お世辞にもクールな棚とは言えませんでした。しかし、いくら誰も見る人がいない棚とはいえ、味気なかったです。
出荷前の香水が時を待つ棚
そこで、今回は、香水という物語性ある商品にふさわしく、ちょっとだけ雰囲気があり、それでいて通販の機能性を満たすシンプルかつ出し入れに効率的な香水棚を特注しました。
今回も九州のある家具工場さんに制作依頼を出しました。制作してもらった香水棚は、どこのご家庭にもあるようなタンスに似ていますが、設計は当社オリジナル。
香水は、やはり重いですので、強度を上げて、それでいて全体の重量を可能な限り殺ぎ落とし軽量化を試みました。
「出荷前の商品が静かに時を待つ棚」というコンセプトで、シンプルかつ雰囲気のある棚に仕上げてもらいました。
想定外に塗料の強いニオイの正体は?
2月上旬、棚が福岡から配送されてきました。予想通りの出来映えでしたが、思いの外、塗料が独特のニオイ。香水棚をバラして、しばし陰干し・吹きさらし状態にしておりました。
1週間経過してもニオイが残るので、ニオイの原因や消臭方法を聞くために家具工場に電話を入れると、これまた予想外の返答。てっきりニスとばかり思っておりましたが、植物の天然オイルのニオイと判明しました。
その植物とは亜麻。「亜麻色の髪」の亜麻です。日本では北海道で栽培されているようです。この亜麻のシードオイル(亜麻仁油=種から採取される植物オイル)は、食用にもなりますし、塗装(オイルフィニッシュ)としても人気のオイルだそうです。
私の場合、このニオイがあまり好きではなく商品に付くことは避けたいとばかり考えていたのですが、このニオイが「新品の家具のニオイ」として大好きな人がそれなりに存在すると言う話を聞いて、これは勉強不足と驚きました。
亜麻という植物
せっかくなので、亜麻という植物を調べてみました。
亜麻からは良質な繊維が採取され衣料品の原料になるそうです。フランス語で亜麻は「ラン」と呼ばれ、なんと「ランジェリー」の語源になっています。つまり、亜麻の繊維は高級下着の素材に使われてきたことがわかります。
なるほど、ランジェリーに使用される植物のオイルで仕上げられた棚に香水を収納するのも、悪くありません。3週間の陰干しで亜麻仁油のニオイは微かに香るレベルになっており、むしろ、気持ち的にも実際に香るレベルも程良い状態です。
すっかり気をよくして、到着したばかりのおニュー香水棚に香水をせっせと出し入れする毎日がはじまりました。
(2013-03-05)
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