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( 香水工場の )

香る生活


この季節、東京は微かに花の香り
私は匂いや香りに敏感な方ではありませんが、香水会社で働き、香水の工場や製造現場にも頻繁にでかけていると自然と香りや匂いに気が行くようになります。

先日、旅行バッグを買うとき、商品説明をしてくれた店員さんは駅や通りで通行人がどんなバッグを持っているか意識しなくても目に入ってくるそうです。その結果、今後どんなバッグが流行るので「これがいいよ」というセールスだったのですが「意識しなくても目に入ってくる」という部分は共感します。


毎年、春の風には微かに花の香りが含まれています。ちょっと楽しい瞬間です。

東京の道はすべてコンクリート、大地はすべて住宅や家、ビルなどで覆い尽くされている印象がありますが、案外、住宅地では梅や桜、沈丁花などを植えているお宅が多いのです。梅の写真を取りたいときは望遠レンズを持って近所を30分ほどうろつけば、だいたいよい写真が撮れます。

昔はそれほど感じませんでしたが、特に住宅地の裏通りなどはこの時期花の匂いがどこからともなく微かにしてくるようになりました。微かな香りであるためそれがどこからしてくるのか、何の花なのかわかりませんが、ちょっとだけ幸運な気分になれます。

ヨーロッパやニュージーランドでは街道沿いに花を植えて「国際花の街コンテスト」なんかに優勝している素敵な街が数多くあります。しかし、中には観光客向けに意図的に作られた部分もなきにしもないのですが、コンクリートジャングル東京の民家に咲く花は、日本人の文化的な背景や歴史の厚みを感じます。

江戸時代からの埋め立てでできた東京の下町は、もとから植物が少ないのですが、はじめて東京に来た頃、門前仲町や築地などの古い民家で見た「箱庭」は印象的でした。

魚市場で廃棄されているような板箱や発泡スチロールの箱に土を引いて、さまざまな植物を植えて楽しむ。

昔の日本はかなり貧しい国でしたが、その一方で日本人は遊び心のある優雅な民族だったという気がしています。そういう文化を現在の私たちも引き継いでいるに違いありません。
(2008-03-15)
( 香水工場の )

香る生活


新ボトル(フラコネット)への移行完了
当社は、和の花の香りシリーズ「フローラル・フォーシーズンズ」のほぼすべての商品に対してサンプルボトルを制作し販売しています。

これは香水メーカーとしては珍しいことです。

化粧品会社で多いのは、新製品をリリースする際、膨大な数量の新商品の「無料サンプル」を制作し、マーケティング&プロモーション&製品周知活動として、広くばらまく傾向にありますが、「継続的に」かつ「有料」でサンプルを提供する形態は珍しいと思います。

プロモーション用の無料サンプルは配り切った時点でアウトというのが普通ですから「サンプルなのに有料」という点も珍しければ「持続的にサンプルが入手できる」という点も珍しいと思います。

このような当社のビジネススタイルに対してのお客さまの評価は概ね好評です。

「有料ながら、お試しサイズがあるのはうれしい」
「サンプルなのに有料、だけどうれしい」

今後も当社はサンプルボトルを前向きに制作していく予定です。そして、前向きに販売していく予定です。


しかし、このサンプルボトル(ミニボトル)のガラス容器はここ数年何度か変更してきました。フタが閉めにくい、という問題がありましたので閉めやすいモノに変更したところ、今後は開けにくくなるという問題が・・・こっちと引っ込めればあっちが出ちゃうという感じです。

国産にこだわった結果、長年国産ボトルで思考錯誤をやってきましたが、結果的にフランス製のフラコネットへ全面移行となりました。

フラコネットとはフランス語です。小さな試験管みたいなガラス瓶・ガラスボトルの総称。ネットワークやインターネットとは関係ありません。

昨年12月から在庫のサンプルボトルを順次フラコネットに切り替えていき、2月末日を持ちましてすべての切り替えが完了しました。

現在、サンプルボトルのガラス容器は、すべてフランス製フラコネットになっています。フローラル・フォーシーズンズの30mLボトルがフランス製になったのは去年、そしてそのちょうど一年後サンプルボトルもフランス製にリプレースされたことになります。

やはりフランスやイタリアは香水の歴史が長いだけに、周辺製品や周辺装置など、こと香水関連製品に関して言えば、多くの場合、細部で完成度が日本製より若干高いようです。わが日本の技術力を考えれば考えにくいことですが・・・それだけ日本では香水産業の成熟度がまだ満たないことや、マーケット規模の薄さに原因がありそうです。

(2008-03-13)
( 香水工場の )

香る生活


一子相伝のイメージがあるパフューマー業、ホント?
取引先の担当者と話をしているとき、彼女は香水とは無縁のお仕事をされているのですが、昔から鼻がよく効く方で「調香師になったら?」とよく周囲から言われたそうです。

「国分さん、調香師の学校ってあるんですか?そこに行けば調香師になれるんですかね?」

なんて冗談半分に聞かれました。冗談半分どころか、完全に世間話でしたが、私の乏しい知識を披露しました。

「ありますヨ。しかし、職業としてのパフューマーには受け入れ口が乏しいのが実状で、パフューマーになるのは大変なようですヨ・・・」

「調香師」にはパフューマーとフレーバーリストが含まれます。パフューマーとは香料を調合しフレグランスや香水などを制作するクリエイターで、フレーバーリストとは同じく香料を調合しますが、制作するのは食品です。

パフューマーとフレーバーリストでは求められる技術もスキルもかなり似ていますし、似た原料(香料)を使用します。そこで日本ではどちらも「調香師」というネーミングで一緒くたにしますが、海外ではパフューマーとフレーバーリストは明確に分けられた職業です。

調香師には国家資格などありませんので自称「調香師」でかまわないと思います。世界的にも公的な資格があるという話を聞いたことがありません。フランスには「nez」(ネ)という称号がありますすが、誰が誰に対して発行するものなのか、公的称号なのか勝手称号なのかも私には不明です。

思うに調香師さん全体を差す集合名詞のような気もします。向こうのパフューマーさんと話す機会があるとき聞いてみようと思いつつ、まだ実現していません。

フランス人にとってパフューマーはちょっとクールな職業に見えるらしく、パフューマー志望の方は少なくないそうです。しかし、現実は香水の国フランスでもパフューマーになれる人は少ないのが実状です。

それこそ世界的に著名なパフューマーになれば、エルメスやゲランといった超ブランドさんのクリエイターとして活躍できますが、パフューマーの就職口は通常ジボダンやシムライズといった香料会社さんです。

しかし、そこで求められる仕事の多くはクリエーションよりも「作業」的なものが多いわけで(どんな職業でも同じですよね。私の仕事もこんな感じです。嫌いでないです、ハイ)、スピンアウトして独立してやって行かれる方も多いのです。それが近年の新興香水ブランドの勃興の一因になっていることは何度かお伝えしてきたとおりです。

先月ご紹介したMalle氏も世界的な香料会社大手ジボダンから独立された方ですが、Malle氏のような成功は、おそらくかなりの少数派と推測されます。

香料会社に就職してパフューマーになる場合、世界の香料会社は、現在M&Aの嵐真っ只中で、合併・吸収するたびにパフューマーの部署にも余剰人員がでてしまうという状態です。パフューマーの新規採用は厳しいものがあります。

日本は、これまた特別な国で、世界的な香料会社さんが存在しますが、市場にはフレグランス需要が極端に少なく、調香師の学校を卒業しても香水やフレグランスの受け入れ口は乏しく、フレーバー(食品味付け)の分野に進む人が多いと聞きます。

たまに日本の香料会社さんにパフューマーが所属していると案外海外の方だったりして、日本人パフューマーを起用するってのはどうよ?とお聞きしてみたいところです。

要は海外でも日本でもパフューマーは受け入れ口はかなり狭いという状況です。そのためパフューマーは世襲制のような部分があります。現在でもグラース出身のパフューマー多いのはそのためでないかと思われます。グラースとは、フランス南部の小さな街です。なめし革の手袋産業から発展して香水の一大都市としての歴史があり「香水の都」と呼ばれることもあります。

昔は、作り出された香水の処方は家宝として代々、香水一族の子孫に伝えられたものですが、機密性が高いため処方の相続も子供の中で正当後継者のみに伝えられたという一族もあったそうです。

それは日本の武道や茶道や、もろもろの○○道の「一子相伝」と似ています。現代ではこのような相続方法はそれほど流行らなくなりましたが、パフューマーの世界では現代でもある程度世襲制的な部分が残っています。

ちなみに、もし私がたまたまフランスの伝統ある香水一族に生まれつき、運良く家宝の香水処方を相続できたら、ウフ・・・とはいっても、おそらくその処方は、使えない!・・・のではないかと推測します。

昔の処方ですから、現代では入手不可能な香料や法的に使用不可能な香料ばかりでのハズ。それより「○○家」出身というブランドは力強い味方になりそうです。


(2008-03-12)
( 香水工場の )

香る生活


(移転)
(移転)
(2008-03-10)
( 香水工場の )

香る生活


恐怖の喫煙室
愛煙家には厳しい時代が来ています。多くの人が禁煙に移行中ですが、喫煙家がいったん禁煙家になると、ここが重要ですが「嫌煙家」に変身することです。たんに自分が吸わなくなるだけでなく喫煙している人を憎む傾向にあります。

昨日、取引先との打ち合わせで東京駅へ。先方が新幹線の時間を待っている合間にコーヒーショップで打ち合わせをしました。先方は3名、相当の愛煙家さん達です。おそらくニコチン依存症? 私はタバコを吸いません。さらに今回のプロジェクトの関係者がもう一人。彼はタバコを憎む男。仮にZ氏としましょう。

私の趣味から言えば、完全に禁煙となっているスターバックスなどは理想的なコーヒー空間ですが、相手がタバコ派なら多少は譲る方です。一方、先方は人類はすべてデフォルトで愛煙家だと信じているのか「タバコは大丈夫ですか?」という質問さえないままある喫茶店に連れて行かれました。慣れているところをみるとよく利用している茶店でしょう。

この茶店は分煙方式で、ガラズ張りのかすむお部屋の中にはたくさんの愛煙家達がたむろしていました。昔の映画「カサブランカ」の酒場のようにモクモクです。タバコを吸わない人間にとって中途半端な分煙ほど神経を逆なでするモノはないのですが、今回はある程度しっかりした分煙です。が、皮肉にも「しっかりした煙の部屋」に通されました。密封性が良い分、目に染み入る煙さです。

Z氏の態度が変です。いつもはほがらかで話し好きの人ですが、若干うつむき加減で言葉数が少ない。口を開けば言葉の端々にトゲが感じられます。取引先もわかるのか話は盛り上がることもなく一応事実関係の確認だけ済ませ、早々にお開きとなりました。

Z氏も今まで先方のタバコには我慢してきて顔にも態度にも出しませんでしたが、今回はついに堪忍袋の緒が切れたようです。彼の場合、普段穏和なだけに怒り出すとネチネチと長く口も汚くなるので、次回喫茶店で打ち合わせはワクワク。次回の打ち合わせが楽しみです。
(2008-03-07)
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香る生活


エキゾチックな奥深さ、梅の花
日曜日に百草園(もぐさえん)に行きました。京王百草園は、京王線で新宿から30分、百草園駅で下車、駅から徒歩10分くらいの丘陵の上に開かれた庭園です。

もともと歴史の古いお寺の庭園だったらしいのですが、現在では梅園として有名でこの季節、東京都心から多くの観光客を集めます。アクセスがよいのもその一因でしょうか。百草園一帯の丘からは多摩川とその向こうに広がる府中・国分寺・日野市などが見渡せます。

この日は、お天気がいい上に満開を迎えた梅がちょうど狂い咲き状態で、梅好きの人には楽しいかったに違いありません。梅の花は、人の心を和ませる心理効果があるようです。おじさん達がほがらかな顔で園内を徘徊していました。デートらしき男女も多いのですが、母娘という感じの方々も多く梅は女性グループにより人気がある花のようです。

私の場合は半分仕事ですので一人で見学です。梅の花には芳香がありますが、それほど強くないため私のように鼻が効かない人間はグッと鼻を花に近づけて匂いを確かめる必要があります。

当然自分の身長以下で花を付けてくれる梅の花がターゲットになりますが、百草園のように様々な種類の梅があるところはありがたいものです。同じ品種でも香りがある花とそうでない花がありますので、まずは匂いを放つ花を捜して香りを確かめます。


武蔵野ワークスのフローラル・フォーシーズンズには梅の花をテーマにした香りが何点かあります。

春告げ草(梅)
ろうばい
白梅(はくばい)
枝垂紅梅(しだれこうばい)

フローラル・フォーシーズンズにとって梅の花はとっても重要なテーマ。

このうち「ろうばい」と「白梅」は香りが非常に似ています。しかし、比較的はっきりと強いフルーティーな芳香を放つロウバイに対して、白梅は花の香り自体が弱いものの香りそのものはロウバイの花に比較すると濃厚で甘く大人っぽい印象があります。フローラル・フォーシーズンズの「ろうばい」と「白梅」もそのような対比で制作されています。

梅の花も精油が採れませんので他の成分で処方し調合して梅の花の香りを再現していますが、意外なことにフローラル・フォーシーズンズの「ろうばい」と「白梅」には、バルサミックノートやトルーバルサム、クローブのようなスパイシーな香料も使用されています。

トルーバルサムとは、南米にひろく生育するバルサムの木から採取されるバルサム樹脂の中に含まれる黄色茶色の精油です。原産地は南米ベネズエラ、キューバ、コロンビアなど。スモーキーでべっとりした甘さを感じさせます。バニラのようとも、カラメルのようとも表現される香りです。

香りの微妙な印象は個人的なものが多いので、多くの人に共感いただけるかどうかわかりませんが、私の場合、日本の代表的な花でとっても和風のイメージが強い梅の花に、トルーバルサムのようなエキゾチックでオリエンタルな雰囲気が潜んでいることを今回も実際の花で確認してきました。


この時期、とっても人気の「春告げ草(梅)」「ろうばい」「白梅」、そして今年リリースしたばかりの「枝垂紅梅」、ぜひ嗅ぎくらべていただければ幸いです。

百草園・白梅の花

(2008-03-06)
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