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香る生活
香水CMシリーズ、サンダルウッド(白壇)のロケ風景
香水CMはムードが大切、夕日がぴったりの海岸
2月23日、サンダルウッド(白壇)のCMロケは三崎口近くの海岸で行われました。ロケハンは撮影クルーにお任せだったので当日はじめて現地へ。地図を見ると「三戸海岸」と呼ぶ海岸でした。
三浦半島は東京湾と相模湾を東西に分ける半島ですが、三戸海岸は相模湾側、つまり西側に向かって拡がっています。まさに夕日がぴったりの海岸です。
前日まで撮影場所は「三崎港」とばかり勝手に信じ、漁港をバックに撮るつもりでしたので広大に拡がる砂丘にでたときは「香水CMにはこっちが似合うかも」とうれしかったです。
香水CMシリーズ第5弾
今回も撮影と制作は映画学校のUTB映像アカデミー。今回、原作は当社がだし(前回の「金木犀」CMの原作はUTBさん)、実際の制作や演出、ロケハンや役者さんの選定などもろもろの手配は全部UTBさんお任せというやや、おんぶにだっこ的な撮影になりました。
今回の動画CMというかプロモーションビデオの尺は20秒〜30秒程度を予定しいます。「尺」(しゃく)とは映画用語で作品の長さです。
テレビCMの多くは15秒なので、将来を意識して(?)「短め短め」に制作する方針にしています。また、視聴者を飽きさせないという観点から短ければ短いほどよいと感じています。
編集してみないと最終的な尺は未定ですが、おそらく30秒前後。
わずか30秒の作品を一日かけて撮る
30秒の作品制作を30秒で撮影し終わることはもちろんありません。何度も撮影し直しますので時間がかかります。
重要なシーンでは演者(えんじゃ。役者)のテイク数が伸びますが、それでも自分としては朝一番に撮影を始めてお昼頃にはすべて終えて余裕の撤収か、と踏んでました。
しかし、監督や撮影クルーたちは「海を見つめる男」を「夕日に向かって海を見つめる男」で撮りたいと、とってもやる気満々。朝一番で「海を見つめる男」を撮りますが、太陽が傾き海原に夕日を落とす頃、再度「海を見つめる男」の撮影ということは、要は朝から晩まで。
ノンストップ撮影と2月の日焼け
朝の海岸は東風が強く寒さが厳しかったのですが、お昼頃から2月にしてはとっても暖かくなりそのまま夕暮れまで撮影を続けました。自宅に戻って鼻の頭や顔全体が赤く焼けており日焼けしたことを知りました。
考えてみれば、まったく日よけのない海岸で一日過ごした経験はないかもしれません。2月でも日焼けすることをはじめて体験しました。
その間、座ることもほとんどなく、食事も立ったままだったので、思い返してみて案外ハードな撮影だったことを感じました。しかし、一つ一つのカットは見事な映像です。現在スタジオにて編集中です。3月中には公開予定。
テーマは、サンダルウッド(白壇)。永遠の香りに込められた男のロマンを描きました。海岸で、はたして香水をつける男が存在するかという疑惑は残りますが、映像としては楽しめると思います。お父さん達の共感を得られるのか、また女性視聴者はどう感じるか・・・楽しみです。
想い出
「明日は三崎港で撮影、うまい魚でも食って帰るか!」が撮影前日に抱いていた漠然とした空想。
実際は静かな海岸でノンストップ撮影。昼食はホットドッグのケータリング。「撮影現場はハードで楽しい!」を実感した一日でした。
白檀は男のロマン、白檀CMを公開!
(2011-02-27)
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香る生活
香りのニュービジネス#4(ニッチ市場)
日本人の典型的な香水遍歴
当社の競合は欧米の高級ブランド、つまりインポート香水ではありません。当社のお客様とインポート香水を購入されるお客様とでは客層が分かれています。
当社お客様の典型的なプロフィールは、10代でインポート香水を楽しみながら「強すぎる」と感じたり、また結婚や出産を機に香水から遠ざかった人々です。
女性は概して香水や香りモノに関心があります。しかし「香りは好きだけど自分に合う香りがない」という理由で香水の使用を断念されているケースは非常に多いようです。
強い需要、適切な製品の欠落、香水市場はビジネスチャンス!
日本の香水市場は、需要があるのに適切な製品の不足というビジネス的空白地帯に陥っていること、そしてネットでのビジネス展開なら店舗運営が限りなく安価に行えること。
この2点がビジネス的なポテンシャルになっています。
日本の香水市場はニッチな市場ですが、そのマーケットで5%でも10%でも開拓できればおもしろいものがあります。
そして重要なことは、このビジネスはインポート香水とは違う顧客セグメントの開拓になりますので、既存の香水マーケットを荒らすのではなく香水市場全体を底上げすることになります。
やり甲斐があるマーケットだと思いませんか?香水マーケットは?
->この記事は、#4
香りのニュービジネス#4(ニッチ市場)
香りのニュービジネス#3(ネットと香りモノの相性)
香りのニュービジネス#2(日本の香水市場と創業)
香りのニュービジネス#1(背景)
(2011-02-26)
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香る生活
香りのニュービジネス#3(ネットと香りモノの相性)
ネットで香水販売を試みる
制作した香水は、当時流行し始めたばかりの「ホームページ」で販売を試みました。1996年当時サイト自体まだやや珍しく、まして香水をネットで販売した企業としては日本では最も初期の会社です。
ガールズウォーカー香水事件
他社さんのお話ですが、2001年「ガールズウォーカー」というサイトにて高級ブランド香水が爆発的に売れる「事件」が発生して香水業界の関係者を驚かせました。
香水業界だけでなく「手にとって確かめて買いたい商品はネットでは売れない」という当時の「常識」を疑わなかったすべての業界の関係者を驚愕させるものでした。
この事件はブランドがすでに確立されている商品なら「ネットでも香水が売れる!しかも爆発的に」という教訓を残しました。
未確立ブランドの試練
反面、ブランドが未確立で認知されていない商材はインターネットとの相性は最悪です。数時間で数千本売れた高級ブランド香水と、当時一日一本行くか行かないかの当社製品ではその教訓はあまりにも切実な体験でした。
無名ブランドで、しかも手にとって確認できない香りモノをネットで販売することは依然厳しいものがあります。
それでも生き残れる背景が
しかし「まったくダメ」でないという事実が重要です。創業当時、サイトへのアクセスログを見れば千人の訪問者に対して一人程度の割合でご購入いただいていました。ユニークユーザー(*2)に対するコンバージョンレート(*3)は0.1%ということになります。
もし路面店で入店されたお客様の購入率が0.1%なら店舗運営は厳しいでしょう。しかし、ネットでの店舗経営は非常に安価に行えます。
しかも地理的制約が存在しないため潜在顧客は全国規模というか全世界ですね。0.1%でもビジネス的な可能性があります。いわゆるロングテールと同じ考え方です。
(*2)ユニークユーザー:Webサイト用語。一定期間におけるユニークな訪問人数。複数回訪問した人も「1人」と数える。アクセス数を表現する用語として他にビジット(延べ訪問数)やページビューがある。
(*3)コンバージョンレート:Webサイト用語。訪問者数に対する商品購入や会員登録など実アクションが発生した割合。
(続く・・・)
->この記事は、#3
香りのニュービジネス#4(ニッチ市場)
香りのニュービジネス#3(ネットと香りモノの相性)
香りのニュービジネス#2(日本の香水市場と創業)
香りのニュービジネス#1(背景)
(2011-02-26)
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香る生活
香りのニュービジネス#2(創業)
日本の香水市場
欧米では、香水市場は化粧品全体の中で大きなセグメントを占めていますが日本の香水市場の市場規模は小売りベースで300〜500億円。化粧品全体からみれば、なんと2〜3パーセント程度です。
日本の化粧品市場は圧倒的にスキンケア市場です(1兆円)。
年一回のおせち料理の市場規模は一説に500億円、お菓子の「柿の種」の市場規模は400億円と言われています。
日本企業が香水に本気になれない理由
比較すると香水の市場規模がなんとかく実感されます。
しかもこのわずかな日本の香水市場は欧米の高級ブランドの独壇場。
このように日本では香水の市場自体が小さいだけでなく海外勢の圧倒的プレゼンスの前に香水メーカーも香水ブランドも育ちにくい環境になっています。
日本の化粧品会社が香水に対して本気になれない理由がこのへんですね。
武蔵野ワークスの創業
当社は1996年創業の香水専業メーカーです。90年代後半はインターネット黎明期でありイノベーションに伴うベンチャー企業が多く生まれた時代でした。
武蔵野ワークスは、香水メーカーであると同時に、そのネット企業になりたいと考えていました。
技術革新を直接のビジネス対象としたわけではありませんが、商品販路としてインターネットをほとんど唯一の媒体としたことがその理由です。
百貨店やテレビショッピングへの出店も経験ました。とくに新宿伊勢丹さんでの長年の出店はブランドの確立に大きな影響があったと感謝しております。
しかし、販路の主力はあくまでネットですし今後もネットです。
一般にネットベンチャーは、起業にあたり資本家やキャピタリストからまとまった創業資金を得て一気に立ち上げます。
そして、IPO(*1)でキャピタルゲインを出資者にリターンという形態が多いのですが(スターバックスもそうでしたね)、当社は完全に違っていました。
遊びからはじまったビジネス
当社の場合「創りたいものを創り、それを売る」という自己満足型ビジネスからスタートしています。
「遊び」のようなビジネスモデルです。
反面、圧倒的多数の消費者向けという大きな企業さんに降りかかる構造的縛りがありません。
大企業さんならどうしても「最大公約数的」商品開発&生産にならざるをえません。
自己満足型ビジネスなら個性的な製品作りが行えるというメリットがあります(経営はリスキーですが)。
香水の製品開発は社内パフューマーによる調香、香料会社のコンパウンド(調合香料)の利用、海外パフューマーへの開発依頼、またはそれらの組み合わせで行っていますが、伝統的に自社開発をメインとしています。
(*1)IPO:株式公開。2000年前後のネットバブルでは、IPOで巨万の富を築く事業家や資本家が続出しました。
(続く・・・)
->この記事は、#2
香りのニュービジネス#4(ニッチなマーケット)
香りのニュービジネス#3(ネットと香りモノの相性)
香りのニュービジネス#2(創業)
香りのニュービジネス#1(背景)
(2011-02-25)
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香る生活
香りのニュービジネス#1(背景)
「香りのニュービジネス」寄稿依頼
ある出版社から寄稿依頼をもらいました。
香り関連雑誌の本文に挟む挿話として「香りのニュービジネス」について1ページ程度の寄稿依頼です。
社名が著名な雑誌(香り業界では)に掲載されるというマーケティング上の理由で、当社にはラッキーなお話でした。
すれ違い
しかし、原稿案を出してみると予想外にも難色。
武蔵野ワークスがテーマとしている「日本発の香水」や「日本製香水」は、どうでもよくて、昔盛んにやっていた企業向けやイベントのオリジナル香水制作にご関心があった模様。
企業向けや芸能人、イベント向けのオリジナル香水制作はたしかにやっていました。
今もやらないことはないのですが、ビジネス的には赤字で、それをメイン業務にしていたら武蔵野ワークスは今は存在しない。
オリジナル香水制作業務の意味は「珍しいサービス」というニュース的な効果、マーケティング的・広告的な価値でした。
残念ながら収益的には「継続不可能」「存続不可能」なビジネススキームでした。
自分ならリアルな事例を読みたい
「香りのニュービジネス」がテーマなら、読者もビジネスとしてリアルな事例、リアルなストーリーを期待しているのでは?と考えると、ビジネスとして成立しないものを書いても・・・
となんとなく腰が引けて辞退することに。本当にありがたいチャンスを失いました。残念。
武蔵野ワークスのストーリー
中小企業レンジの中でもかなり「極小」帯に属する当社ですが、「日本発の香水」は地道に発信し続けています。
ホームラン級ヒットはなくても長年継続しています。その部分は小企業なりにリアルなストーリーではないかと自負しているんですけど。
今回、貴重な機会をいただき結果的に雑誌掲載なりませんでしたが、今回したためた記事を数日に分けてこのブログで掲載させていただきます。
どちらかというと「武蔵野ワークスストーリー」のような雰囲気ですが、特に「香りビジネス」に関心がある方にはお楽しみいただけるかもしれません:
(続く・・・)
->この記事は、#1
香りのニュービジネス#4(ニッチなマーケット)
香りのニュービジネス#3(ネットと香りモノの相性)
香りのニュービジネス#2(日本の香水市場と創業)
香りのニュービジネス#1(背景)
(2011-02-22)
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香る生活
取引先担当者との別れと出会い
2011-02-13
香料会社さんとのミーティングで都心に出ていくついでに、かねて打ち合わせしたいと考えていた取引先に立ち寄ることにした。
当社の決済関連のシステムを提供している会社さん。
ネット決済はグローバルに見るとPayPalの優勢は圧倒的ながら、日本の決済サービス会社さんは今のところ黒船の上陸をうまい具合に阻んでいる。
さて、担当者に電話を入れると「○○は退職しました」と。
そんな予兆さえ感じなかった。連絡もなかった。
この取引先の担当者交代は、これで3度目。案外速目のテンポ。
前任者も転職のための退職だった。お互いフレンドリーな関係だったが、関係はあっというまに去りゆく。
個人間の付き合いではないので、組織の事情や本人の退職で担当者が代わるのは仕方ない。
しかし、なんか積み上げてきた信頼関係のようなものがフッと消えてなくなる。
自分が一方的に「信頼関係」と思っても先方は、そうでなかったということかな。
(余談):そういえば現在の事務所に入居する際、三井不動産の担当者の方はトコトン親切だった。
あれこそ一度きりのお付き合いなのに、と思ったものだ。新しい事務所に引っ越して数ヶ月後、突然電話があった。「退社のご挨拶」と言われ、これもなんとなく若干の寂しさが。
(2011-02-21)
香料会社さんとのミーティングで都心に出ていくついでに、かねて打ち合わせしたいと考えていた取引先に立ち寄ることにした。
当社の決済関連のシステムを提供している会社さん。
ネット決済はグローバルに見るとPayPalの優勢は圧倒的ながら、日本の決済サービス会社さんは今のところ黒船の上陸をうまい具合に阻んでいる。
さて、担当者に電話を入れると「○○は退職しました」と。
そんな予兆さえ感じなかった。連絡もなかった。
この取引先の担当者交代は、これで3度目。案外速目のテンポ。
前任者も転職のための退職だった。お互いフレンドリーな関係だったが、関係はあっというまに去りゆく。
個人間の付き合いではないので、組織の事情や本人の退職で担当者が代わるのは仕方ない。
しかし、なんか積み上げてきた信頼関係のようなものがフッと消えてなくなる。
自分が一方的に「信頼関係」と思っても先方は、そうでなかったということかな。
(余談):そういえば現在の事務所に入居する際、三井不動産の担当者の方はトコトン親切だった。
あれこそ一度きりのお付き合いなのに、と思ったものだ。新しい事務所に引っ越して数ヶ月後、突然電話があった。「退社のご挨拶」と言われ、これもなんとなく若干の寂しさが。
(2011-02-21)
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