( 香水工場の )
香る生活
ワインと香水の意外な共通性#5(優勢なフランス語)
・ワインと香水:どちらも本場はフランス。専門用語にはフランス語が多用される。
世界最大のワイン生産国といえば、フランスかイタリアという印象を持っている人が多いと思います。
イタリアが生産量・輸出ともに世界最大と言われたりフランスが言われたり、年によって変化しているので、世界最大のワイン王国といえば「フランスあたり」と考えれば概ね間違いでないかと思います。
去年のニュースではスペインがフランスの「世界一の座」を脅かす事情が伝えられました。これもまだまだ「フランスあたり」で通用します。
ワイン生産量、スペインがフランス抜き首位となる見通し(2008年 07月 10日)
「フランスは早ければ2015年以降、世界最大のワイン生産国の地位をスペインに譲ることになる見通しだ。フランスの個人ワイン生産者協会が今週、調査機関Credocが実施した調査結果を発表した。」
フランスは、カリフォルニア・チリ・オーストラリアワインの攻勢を受けすでに「量から質」への転換を図っており、今後フランスワインは出荷量こそ減少しますが、高級化は止まらないと予想されます。「世界最大の生産量・輸出量」というタイトルを失った後も、フランスは、やはりまだまだワイン文化の世界の頂点に君臨するのではないでしょうか。
そんなわけでワインに関する専門用語や業界用語もフランス語が頻繁に使われます。サントリーでは社内で使用されるワイン用語はフランス語がメインとのことですので、日本でも概ねフランス語が優勢のようです。
たとえば、赤ワイン葡萄の代表的な品種「カベルネ・ソーヴィニヨン」や白ワイン葡萄の代表的な品種「シャルドネ」はどちらも見るからにフランス語。これは品種名なのでここで取りあげるのふさわしくないかもしれませんが、どちらもフランス語のまま世界中で使用されています。どちらもフランスの地名に由来すると思われますが、現在は一般名詞化しています。
・シャトー。シャトーはフランス語でお城の意味ですがワイン用語では葡萄畑やワイナリーを差します。厳密にはフランス・ボルドー地方の葡萄畑でないと「シャトー」でないそうです。
・ソムリエ/ソムリエール。ワインについてアドバイスをしてくれる人。
・デキャンタージュ。ワインをデカンターなど違う容器に入れ替える行為を差します。オリを落としたり、空気との接触により味をまろやかにする目的があります。
・エチケット。ワインのラベル。
・アッサンブラージュ。ブレンドの意味。先日取りあげました。
・シュール・リー。日本の一大ワイン生産地・勝沼に行くと標準語として話されている言葉。白ワインの一醸造法。
他にもいろいろありそうです。一方、香水の方は言うまでもなく香水の名称は世界的にフランス語が用いられています。
・パルファム
・オードパルファム
・オードトワレ
・オーデコロン
(続く・・・)
ワインと香水の意外な共通性#8(保管方法)
ワインと香水の意外な共通性#7(オリ)
ワインと香水の意外な共通性#6(よい製品はよい畑作りから)
ワインと香水の意外な共通性#5(優勢なフランス語)
ワインと香水の意外な共通性#4(アッサンブラージュで奥深く)
ワインと香水の意外な共通性#3(明記されない賞味期限)
ワインと香水の意外な共通性#2(香りを楽しむモノ)
ワインと香水の意外な共通性#1(似た関係)
(2009-06-23)
世界最大のワイン生産国といえば、フランスかイタリアという印象を持っている人が多いと思います。
イタリアが生産量・輸出ともに世界最大と言われたりフランスが言われたり、年によって変化しているので、世界最大のワイン王国といえば「フランスあたり」と考えれば概ね間違いでないかと思います。
去年のニュースではスペインがフランスの「世界一の座」を脅かす事情が伝えられました。これもまだまだ「フランスあたり」で通用します。
ワイン生産量、スペインがフランス抜き首位となる見通し(2008年 07月 10日)
「フランスは早ければ2015年以降、世界最大のワイン生産国の地位をスペインに譲ることになる見通しだ。フランスの個人ワイン生産者協会が今週、調査機関Credocが実施した調査結果を発表した。」
フランスは、カリフォルニア・チリ・オーストラリアワインの攻勢を受けすでに「量から質」への転換を図っており、今後フランスワインは出荷量こそ減少しますが、高級化は止まらないと予想されます。「世界最大の生産量・輸出量」というタイトルを失った後も、フランスは、やはりまだまだワイン文化の世界の頂点に君臨するのではないでしょうか。
そんなわけでワインに関する専門用語や業界用語もフランス語が頻繁に使われます。サントリーでは社内で使用されるワイン用語はフランス語がメインとのことですので、日本でも概ねフランス語が優勢のようです。
たとえば、赤ワイン葡萄の代表的な品種「カベルネ・ソーヴィニヨン」や白ワイン葡萄の代表的な品種「シャルドネ」はどちらも見るからにフランス語。これは品種名なのでここで取りあげるのふさわしくないかもしれませんが、どちらもフランス語のまま世界中で使用されています。どちらもフランスの地名に由来すると思われますが、現在は一般名詞化しています。
・シャトー。シャトーはフランス語でお城の意味ですがワイン用語では葡萄畑やワイナリーを差します。厳密にはフランス・ボルドー地方の葡萄畑でないと「シャトー」でないそうです。
・ソムリエ/ソムリエール。ワインについてアドバイスをしてくれる人。
・デキャンタージュ。ワインをデカンターなど違う容器に入れ替える行為を差します。オリを落としたり、空気との接触により味をまろやかにする目的があります。
・エチケット。ワインのラベル。
・アッサンブラージュ。ブレンドの意味。先日取りあげました。
・シュール・リー。日本の一大ワイン生産地・勝沼に行くと標準語として話されている言葉。白ワインの一醸造法。
他にもいろいろありそうです。一方、香水の方は言うまでもなく香水の名称は世界的にフランス語が用いられています。
・パルファム
・オードパルファム
・オードトワレ
・オーデコロン
(続く・・・)
ワインと香水の意外な共通性#8(保管方法)
ワインと香水の意外な共通性#7(オリ)
ワインと香水の意外な共通性#6(よい製品はよい畑作りから)
ワインと香水の意外な共通性#5(優勢なフランス語)
ワインと香水の意外な共通性#4(アッサンブラージュで奥深く)
ワインと香水の意外な共通性#3(明記されない賞味期限)
ワインと香水の意外な共通性#2(香りを楽しむモノ)
ワインと香水の意外な共通性#1(似た関係)
(2009-06-23)
( 香水工場の )
香る生活
ワインと香水の意外な共通性#4(アッサンブラージュで奥深く)
調合と調香の華麗な世界
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・ワインと香水:どちらもアッサンブラージュ(調合)で奥深く。
アッサンブラージュ(assemblage)とはフランス語。英語のアッセンブリー(assembly=集会や部品組み立て)に相当するコトバです。しかし、ワインの分野でアッサンブラージュといえばブレンドのことです。品質の安定や風味を多彩にすることを目的として品種や醸造法が違うワインを混ぜ合わせる行為を差す醸造用語です。
フランスのワイン二大産地といえばボルドーとブルゴーニュ。どちらもワインの世界的ブランドですが、単一品種ワインがメインのブルゴーニュワインに対して、ボルドーワインはアッサンブラージュが特徴と指摘されます。メリット・デメリットそれぞれあって優越付けることは無意味ですが、アッサンブラージュという手法が生み出される理由は明白です。
ブドウの生育状況は毎年変化します。ワインの醸造期間中、ワインの品質に影響を与える気温や気候も毎年変化します。毎年安定した品質のワインを製造するには、不確定要素が多すぎて数値化・機械化はもとより職人のカンと経験を駆使しても、ワインの品質や風味のブレは避けがたいモノがあります。特にテーブルワインやハウスワインは毎年同じ品質が保たれてこそ価値があります。
産地が違うワイン、製造年度の違うワイン、製造方法を違うワインをブレンドすることで毎年比較的安定したテイストのワインの調整と製造が可能となります。当然のことながらそこにはブレンダー(ここでは便宜上「ブレンダー」と書きましたが「ブレンダー」は通常ウイスキーのブレンドを行う職人やメーカーを指します。アッサンブラージュを実際に行う職人さんのことをフランス語で何と呼ぶか不明です)の確かな舌と経験がないとうまくいきません。
また品質を保つという守りの目的だけでなく、価値を高める目的でもアッサンブラージュが行われます。それがボルドーワインの特徴かもしれません。様々なワインをアッサンブラージュすることで、味に奥行きや広がりを出すことが可能です。強い渋みと濃厚で骨格のあるカベルネ・ソーヴィニヨンに、豊かで爽やかなメルローや、柔らかく繊細はカベルネ・フランをアッサンブラージュするとまたまた楽しさも深みも拡がります。
アッサンブラージュを香水のように「調香」とは言いませんが、違ったワインを調合しあう・・・似ていませんか?ここは熱いワインファンとパフューマー双方からの反論に合いそうで書くのがためらわれたのですが、そんな印象を受けます。
なお、余談ですがアッサンブラージュ(assemblage)はwikipediaによると芸術用語としても使用され「積み上げる、貼り付ける、結び付けるなどの方法により制作された美術作品(立体作品)およびその技法」と書いてありました。いろいろ使われているコトバなんですね。
さらに余談ですが、香水の原料となる香料の中で、たとえばローズオイルやラベンダーオイルなどの精油は、多かれ少なかれ原料そのものがアッサンブラージュされます。多くの畑から収穫されたオイルは極端な話、畑ごとにテイストが違うためです。
たとえばブルガリアローズの場合、ブルガリアローズオイルの世界的サプライヤーであるブルガリア国立バラ研究所は品質管理にことのほか熱心な研究機関さんです。「ブルガリアローズ」というブランドを守る使命のようなものを感じさせます。
ブルガリア国立バラ研究所では毎年夏、少数の熟練したブレンダー達の手によってブルガリア中から集積されたローズオイルが芸術的にブレンディングされ「ブルガリアローズオイル」という商品名になり、世界中に出荷されていきます。これもアッサンブラージュですね。
(続く・・・)
ワインと香水の意外な共通性#8(保管方法)
ワインと香水の意外な共通性#7(オリ)
ワインと香水の意外な共通性#6(よい製品はよい畑作りから)
ワインと香水の意外な共通性#5(優勢なフランス語)
ワインと香水の意外な共通性#4(アッサンブラージュで奥深く)
ワインと香水の意外な共通性#3(明記されない賞味期限)
ワインと香水の意外な共通性#2(香りを楽しむモノ)
ワインと香水の意外な共通性#1(似た関係)
(2009-06-19)
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・ワインと香水:どちらもアッサンブラージュ(調合)で奥深く。
アッサンブラージュ(assemblage)とはフランス語。英語のアッセンブリー(assembly=集会や部品組み立て)に相当するコトバです。しかし、ワインの分野でアッサンブラージュといえばブレンドのことです。品質の安定や風味を多彩にすることを目的として品種や醸造法が違うワインを混ぜ合わせる行為を差す醸造用語です。
フランスのワイン二大産地といえばボルドーとブルゴーニュ。どちらもワインの世界的ブランドですが、単一品種ワインがメインのブルゴーニュワインに対して、ボルドーワインはアッサンブラージュが特徴と指摘されます。メリット・デメリットそれぞれあって優越付けることは無意味ですが、アッサンブラージュという手法が生み出される理由は明白です。
ブドウの生育状況は毎年変化します。ワインの醸造期間中、ワインの品質に影響を与える気温や気候も毎年変化します。毎年安定した品質のワインを製造するには、不確定要素が多すぎて数値化・機械化はもとより職人のカンと経験を駆使しても、ワインの品質や風味のブレは避けがたいモノがあります。特にテーブルワインやハウスワインは毎年同じ品質が保たれてこそ価値があります。
産地が違うワイン、製造年度の違うワイン、製造方法を違うワインをブレンドすることで毎年比較的安定したテイストのワインの調整と製造が可能となります。当然のことながらそこにはブレンダー(ここでは便宜上「ブレンダー」と書きましたが「ブレンダー」は通常ウイスキーのブレンドを行う職人やメーカーを指します。アッサンブラージュを実際に行う職人さんのことをフランス語で何と呼ぶか不明です)の確かな舌と経験がないとうまくいきません。
また品質を保つという守りの目的だけでなく、価値を高める目的でもアッサンブラージュが行われます。それがボルドーワインの特徴かもしれません。様々なワインをアッサンブラージュすることで、味に奥行きや広がりを出すことが可能です。強い渋みと濃厚で骨格のあるカベルネ・ソーヴィニヨンに、豊かで爽やかなメルローや、柔らかく繊細はカベルネ・フランをアッサンブラージュするとまたまた楽しさも深みも拡がります。
アッサンブラージュを香水のように「調香」とは言いませんが、違ったワインを調合しあう・・・似ていませんか?ここは熱いワインファンとパフューマー双方からの反論に合いそうで書くのがためらわれたのですが、そんな印象を受けます。
なお、余談ですがアッサンブラージュ(assemblage)はwikipediaによると芸術用語としても使用され「積み上げる、貼り付ける、結び付けるなどの方法により制作された美術作品(立体作品)およびその技法」と書いてありました。いろいろ使われているコトバなんですね。
さらに余談ですが、香水の原料となる香料の中で、たとえばローズオイルやラベンダーオイルなどの精油は、多かれ少なかれ原料そのものがアッサンブラージュされます。多くの畑から収穫されたオイルは極端な話、畑ごとにテイストが違うためです。
たとえばブルガリアローズの場合、ブルガリアローズオイルの世界的サプライヤーであるブルガリア国立バラ研究所は品質管理にことのほか熱心な研究機関さんです。「ブルガリアローズ」というブランドを守る使命のようなものを感じさせます。
ブルガリア国立バラ研究所では毎年夏、少数の熟練したブレンダー達の手によってブルガリア中から集積されたローズオイルが芸術的にブレンディングされ「ブルガリアローズオイル」という商品名になり、世界中に出荷されていきます。これもアッサンブラージュですね。
(続く・・・)
ワインと香水の意外な共通性#8(保管方法)
ワインと香水の意外な共通性#7(オリ)
ワインと香水の意外な共通性#6(よい製品はよい畑作りから)
ワインと香水の意外な共通性#5(優勢なフランス語)
ワインと香水の意外な共通性#4(アッサンブラージュで奥深く)
ワインと香水の意外な共通性#3(明記されない賞味期限)
ワインと香水の意外な共通性#2(香りを楽しむモノ)
ワインと香水の意外な共通性#1(似た関係)
(2009-06-19)
( 香水工場の )
香る生活
ワインと香水の意外な共通性#3(明記されない賞味期限)
自分で確かめるしかないワインと香水
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・ワインと香水:どちらも賞味期限が明記されない。
多くの食品には賞味期限が記載されています。しかし、昔から食品とは自分の目と鼻と舌で、その痛み具合を知り「食べるべきか捨てるべきか」判断しきたものでした。動物としてそれは自然な姿でしたし、備えるべき能力でした。お腹をこわす失敗をしながら学びます。
しかし、賞味期限が食品に制度上明記されるようになって、どうも私たちは自身の感覚(味覚・嗅覚)で食べ物の安全を確かめる手間を省くなった、と主張されている人がいました。その方によると「賞味期限」という指標自体が食品の買い換えを促す政治的陰謀の賜物とも。その真偽は別として、現在多くの食品で賞味期限が表記されています。
ところが例外もあります。その一つがワイン。
賞味期限が記載されたワインも、世界のどこかにはあるかもしれません。しかし、普通のワインなら底面からてっぺんまで眺めて賞味期限や消費期限の日付刻印は見つからないはず。日本の食品衛生法では表記しなくてよいことになっています。
酒造メーカーの政治的圧力による結果ではありません。世界中でワインの賞味期限表示を義務づける国はおそらく存在しないでしょう。設定が不可能だからです。
ワインは、生鮮食品と比較すれば腐敗したり劣化したりするスピードは落ちますが、かといって劣化しないわけではありません。酸化もしますしカビが生えたり腐敗する可能性もあります。しかし、その時間設定は不可能であり事実上、飲む人が自分の「目と鼻と舌」を頼りに自分で検査・検知するしかありません。
ワインは、瓶詰めの後にも熟成が進みますので、やはり飲み頃があります。程よい熟成期間はブドウの種類やワイン製法によってワインごとに違うと思います。時期を間違えて「多少味がおかしいが、飲むか」とリスクを取るチャレンジャーも多いのではないでしょうか。そういう判断も私たちの選択です。
一方の香水。香水も同じく賞味期限が表記されることは希です。
香水はいっさい劣化せず永遠に使える訳ではありません。酸化もしますし揮発もします。容器も使えなくなるでしょう。また、香水成分の違いによっても使用可能な期間は変化しますし、同じ香水でも個体差があったり、保存状態が違えば当然劣化のスピードも違います。
しかし、香水の液体自体は腐ったり極度に変質したりすることはかなり希です。「タンスにしまい込んでいた30年物香水を試したがOKだった」という投書をいただいたことがあります。もっともその30年物は容器が固まって物理的に使えない状態だったとのことです。100年前の香水を試して使えたという話も聞いたことがあります。
このように実情から判断すると、香水に賞味期限を設けることは実情に合わないとされます。また、強引に賞味期限や消費期限を設定し、顧客の買い換えを促そうというきわどい政治圧力はいまのところ香水業界にはないように思います。
(続く・・・)
ワインと香水の意外な共通性#8(保管方法)
ワインと香水の意外な共通性#7(オリ)
ワインと香水の意外な共通性#6(よい製品はよい畑作りから)
ワインと香水の意外な共通性#5(優勢なフランス語)
ワインと香水の意外な共通性#4(アッサンブラージュで奥深く)
ワインと香水の意外な共通性#3(明記されない賞味期限)
ワインと香水の意外な共通性#2(香りを楽しむモノ)
ワインと香水の意外な共通性#1(似た関係)
(2009-06-18)
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・ワインと香水:どちらも賞味期限が明記されない。
多くの食品には賞味期限が記載されています。しかし、昔から食品とは自分の目と鼻と舌で、その痛み具合を知り「食べるべきか捨てるべきか」判断しきたものでした。動物としてそれは自然な姿でしたし、備えるべき能力でした。お腹をこわす失敗をしながら学びます。
しかし、賞味期限が食品に制度上明記されるようになって、どうも私たちは自身の感覚(味覚・嗅覚)で食べ物の安全を確かめる手間を省くなった、と主張されている人がいました。その方によると「賞味期限」という指標自体が食品の買い換えを促す政治的陰謀の賜物とも。その真偽は別として、現在多くの食品で賞味期限が表記されています。
ところが例外もあります。その一つがワイン。
賞味期限が記載されたワインも、世界のどこかにはあるかもしれません。しかし、普通のワインなら底面からてっぺんまで眺めて賞味期限や消費期限の日付刻印は見つからないはず。日本の食品衛生法では表記しなくてよいことになっています。
酒造メーカーの政治的圧力による結果ではありません。世界中でワインの賞味期限表示を義務づける国はおそらく存在しないでしょう。設定が不可能だからです。
ワインは、生鮮食品と比較すれば腐敗したり劣化したりするスピードは落ちますが、かといって劣化しないわけではありません。酸化もしますしカビが生えたり腐敗する可能性もあります。しかし、その時間設定は不可能であり事実上、飲む人が自分の「目と鼻と舌」を頼りに自分で検査・検知するしかありません。
ワインは、瓶詰めの後にも熟成が進みますので、やはり飲み頃があります。程よい熟成期間はブドウの種類やワイン製法によってワインごとに違うと思います。時期を間違えて「多少味がおかしいが、飲むか」とリスクを取るチャレンジャーも多いのではないでしょうか。そういう判断も私たちの選択です。
一方の香水。香水も同じく賞味期限が表記されることは希です。
香水はいっさい劣化せず永遠に使える訳ではありません。酸化もしますし揮発もします。容器も使えなくなるでしょう。また、香水成分の違いによっても使用可能な期間は変化しますし、同じ香水でも個体差があったり、保存状態が違えば当然劣化のスピードも違います。
しかし、香水の液体自体は腐ったり極度に変質したりすることはかなり希です。「タンスにしまい込んでいた30年物香水を試したがOKだった」という投書をいただいたことがあります。もっともその30年物は容器が固まって物理的に使えない状態だったとのことです。100年前の香水を試して使えたという話も聞いたことがあります。
このように実情から判断すると、香水に賞味期限を設けることは実情に合わないとされます。また、強引に賞味期限や消費期限を設定し、顧客の買い換えを促そうというきわどい政治圧力はいまのところ香水業界にはないように思います。
(続く・・・)
ワインと香水の意外な共通性#8(保管方法)
ワインと香水の意外な共通性#7(オリ)
ワインと香水の意外な共通性#6(よい製品はよい畑作りから)
ワインと香水の意外な共通性#5(優勢なフランス語)
ワインと香水の意外な共通性#4(アッサンブラージュで奥深く)
ワインと香水の意外な共通性#3(明記されない賞味期限)
ワインと香水の意外な共通性#2(香りを楽しむモノ)
ワインと香水の意外な共通性#1(似た関係)
(2009-06-18)
( 香水工場の )
香る生活
ワインと香水の意外な共通性#2(香りを楽しむモノ)
香りと味の深い関係
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・ワインと香水:どちらも香りを楽しむモノ。
ワインは「色」「香り」「味」で楽しむモノ・・・とは20年くらい前、私たち平均的な日本人が、まだ日常的に体験していないワインに触れたはじめたとき、最初に指南された教えです。レストランではテイスティングなんかもさせられました。しかし、当時の儀式がかったテイスティングは本当に恥ずかしかったです。
子供の頃からワインを飲んできた私(「赤玉パンチ」を飲む少年でした)にとって、ワインとはガブっと飲むのものでしたので、蝶ネクタイのニイさんがインギンにワインを注ぐ姿は妙でした。
テイスティングの際は、カブっと飲んでにっこり笑って「旨い!」と言うのですが、多くの給仕たちに「田舎者め」という眼差しで見下されたものです。
今ではワインはすっかり私たちの日常に溶け込み普通に飲むお酒です。「色・香り・味を楽しむワイン」という意味も普通に理解されるようになりました。
グラスを持ち上げ水平や斜めにしてワインの色彩を自然に愛で、グラスに鼻を近づけ香りを確かめて、グラスのステムか脚座の縁を持ってグルグル回して香りを確かめる人も多く見かけます。
中には口に含んで舌の上で転がせるように飲んでいる人(端から見ると、うがい?しているとしか見えない)人までいますが、かなり本格的です。
味と香りは密接です。おいしいものの味は舌で判断されると考えられがちですが、味とは、舌と鼻すなわち嗅覚の相互作業で感じれるもの。その証拠に鼻を摘んで匂いを絶ちながらモノを食べると味がわからなくなります。
匂いは鼻の内側の奥にある嗅覚受容体(きゅうかくじゅようたい)や匂いレセプターと呼ばれる神経細胞郡によって認識されます。舌が判別できる味は、現在の定説では「塩味、苦味、甘味、酸味、うま味」の5種類。
ワインももちろんですが、すべての食物がこの5種類の味で表現されることはなく、一般に言われる食品の「風味」はその食品に含まれる香りによって体験する味と考えられます。
よって、香りが味の決め手という説も納得できるところです。食品における香りとは「匂い」ではなく「味そもの」と考えて差し支えないと私は信じています(異論もあるでしょう)。
ちなみに食品の「味付け」のことを英語では「フレーバーリング」と言いますが、フレーバーとは事実上「香料」そのものです。味と香りの深い関係が推察できます。
ワインの香りは、すなわちワインの味そのものでもありワインを評価する際、香りのよさは特に重要視される項目です。一方、香水は香りの商品、香りがすべてです。ワインも香水もどちらも香りを楽しむのもという点で共通点の第一に挙げさせて頂きました。
(続く・・・)
ワインと香水の意外な共通性#8(保管方法)
ワインと香水の意外な共通性#7(オリ)
ワインと香水の意外な共通性#6(よい製品はよい畑作りから)
ワインと香水の意外な共通性#5(優勢なフランス語)
ワインと香水の意外な共通性#4(アッサンブラージュで奥深く)
ワインと香水の意外な共通性#3(明記されない賞味期限)
ワインと香水の意外な共通性#2(香りを楽しむモノ)
ワインと香水の意外な共通性#1(似た関係)
(2009-06-18)
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・ワインと香水:どちらも香りを楽しむモノ。
ワインは「色」「香り」「味」で楽しむモノ・・・とは20年くらい前、私たち平均的な日本人が、まだ日常的に体験していないワインに触れたはじめたとき、最初に指南された教えです。レストランではテイスティングなんかもさせられました。しかし、当時の儀式がかったテイスティングは本当に恥ずかしかったです。
子供の頃からワインを飲んできた私(「赤玉パンチ」を飲む少年でした)にとって、ワインとはガブっと飲むのものでしたので、蝶ネクタイのニイさんがインギンにワインを注ぐ姿は妙でした。
テイスティングの際は、カブっと飲んでにっこり笑って「旨い!」と言うのですが、多くの給仕たちに「田舎者め」という眼差しで見下されたものです。
今ではワインはすっかり私たちの日常に溶け込み普通に飲むお酒です。「色・香り・味を楽しむワイン」という意味も普通に理解されるようになりました。
グラスを持ち上げ水平や斜めにしてワインの色彩を自然に愛で、グラスに鼻を近づけ香りを確かめて、グラスのステムか脚座の縁を持ってグルグル回して香りを確かめる人も多く見かけます。
中には口に含んで舌の上で転がせるように飲んでいる人(端から見ると、うがい?しているとしか見えない)人までいますが、かなり本格的です。
味と香りは密接です。おいしいものの味は舌で判断されると考えられがちですが、味とは、舌と鼻すなわち嗅覚の相互作業で感じれるもの。その証拠に鼻を摘んで匂いを絶ちながらモノを食べると味がわからなくなります。
匂いは鼻の内側の奥にある嗅覚受容体(きゅうかくじゅようたい)や匂いレセプターと呼ばれる神経細胞郡によって認識されます。舌が判別できる味は、現在の定説では「塩味、苦味、甘味、酸味、うま味」の5種類。
ワインももちろんですが、すべての食物がこの5種類の味で表現されることはなく、一般に言われる食品の「風味」はその食品に含まれる香りによって体験する味と考えられます。
よって、香りが味の決め手という説も納得できるところです。食品における香りとは「匂い」ではなく「味そもの」と考えて差し支えないと私は信じています(異論もあるでしょう)。
ちなみに食品の「味付け」のことを英語では「フレーバーリング」と言いますが、フレーバーとは事実上「香料」そのものです。味と香りの深い関係が推察できます。
ワインの香りは、すなわちワインの味そのものでもありワインを評価する際、香りのよさは特に重要視される項目です。一方、香水は香りの商品、香りがすべてです。ワインも香水もどちらも香りを楽しむのもという点で共通点の第一に挙げさせて頂きました。
(続く・・・)
ワインと香水の意外な共通性#8(保管方法)
ワインと香水の意外な共通性#7(オリ)
ワインと香水の意外な共通性#6(よい製品はよい畑作りから)
ワインと香水の意外な共通性#5(優勢なフランス語)
ワインと香水の意外な共通性#4(アッサンブラージュで奥深く)
ワインと香水の意外な共通性#3(明記されない賞味期限)
ワインと香水の意外な共通性#2(香りを楽しむモノ)
ワインと香水の意外な共通性#1(似た関係)
(2009-06-18)
( 香水工場の )
香る生活
ワインと香水の意外な共通性#1(似た関係)
ワインと香水の似た関係を発見
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楽しいお酒はいいですよね。私の例にもれず日本酒やワインは仕事の後の楽しみです。
とくにワインは、近年とても身近になってきました。過去20年間に起きたワインブーム、たとえばボージョレ・ヌヴォーや赤ワイン・ブーム(ポリフェノールブーム)を経て日本でも本格的なワインが安価に飲めるようになりました。
ボージョレ・ヌヴォーブームは、あえて日本人が騒ぐのはどうか!?というブームでしたが、結果としてワイン人口を拡大させた功績もあります。痛し痒しですね。
ソムリエさんなどワイン関係者がマスコミに頻繁に取りあげられたことも普及の要因かもしれません。ワイン消費量は国産ワイン・輸入ワインともに確実に伸びているそうで、ワインはすっかり日本に定着した感があります。
ところがワインの本場、ヨーロッパでは日本の日本酒同様、年々ワインの消費量が減少しています。
その上、南米やアメリカ、オーストラリア、南アフリカなど世界的規模でワイン生産が拡大していますので、ワインはますます安価になる反面、ヨーロッパの伝統的なワイナリーやワイン用ブドウ栽培農家の苦戦や惨状がニュースなどで流れるようになりました。心が痛みます。
さて、ワインと香水のおもしろい共通性について。「飲み物」対「化粧品」、その違いは当然明白ですが、ワインと香水はとっても似た者同士。案外共通するものがあるんですね。そのいつくかを数回に分けて書きます。
(続く・・・)
ワインと香水の意外な共通性#8(保管方法)
ワインと香水の意外な共通性#7(オリ)
ワインと香水の意外な共通性#6(よい製品はよい畑作りから)
ワインと香水の意外な共通性#5(優勢なフランス語)
ワインと香水の意外な共通性#4(アッサンブラージュで奥深く)
ワインと香水の意外な共通性#3(明記されない賞味期限)
ワインと香水の意外な共通性#2(香りを楽しむモノ)
ワインと香水の意外な共通性#1(似た関係)
(2009-06-17)
-------------------------------
楽しいお酒はいいですよね。私の例にもれず日本酒やワインは仕事の後の楽しみです。
とくにワインは、近年とても身近になってきました。過去20年間に起きたワインブーム、たとえばボージョレ・ヌヴォーや赤ワイン・ブーム(ポリフェノールブーム)を経て日本でも本格的なワインが安価に飲めるようになりました。
ボージョレ・ヌヴォーブームは、あえて日本人が騒ぐのはどうか!?というブームでしたが、結果としてワイン人口を拡大させた功績もあります。痛し痒しですね。
ソムリエさんなどワイン関係者がマスコミに頻繁に取りあげられたことも普及の要因かもしれません。ワイン消費量は国産ワイン・輸入ワインともに確実に伸びているそうで、ワインはすっかり日本に定着した感があります。
ところがワインの本場、ヨーロッパでは日本の日本酒同様、年々ワインの消費量が減少しています。
その上、南米やアメリカ、オーストラリア、南アフリカなど世界的規模でワイン生産が拡大していますので、ワインはますます安価になる反面、ヨーロッパの伝統的なワイナリーやワイン用ブドウ栽培農家の苦戦や惨状がニュースなどで流れるようになりました。心が痛みます。
さて、ワインと香水のおもしろい共通性について。「飲み物」対「化粧品」、その違いは当然明白ですが、ワインと香水はとっても似た者同士。案外共通するものがあるんですね。そのいつくかを数回に分けて書きます。
(続く・・・)
ワインと香水の意外な共通性#8(保管方法)
ワインと香水の意外な共通性#7(オリ)
ワインと香水の意外な共通性#6(よい製品はよい畑作りから)
ワインと香水の意外な共通性#5(優勢なフランス語)
ワインと香水の意外な共通性#4(アッサンブラージュで奥深く)
ワインと香水の意外な共通性#3(明記されない賞味期限)
ワインと香水の意外な共通性#2(香りを楽しむモノ)
ワインと香水の意外な共通性#1(似た関係)
(2009-06-17)
( 香水工場の )
香る生活
移転のおしらせ(国立オフィスへ)
事務所が手狭になってきました。
広いところに引っ越すと「それはそれで不思議と荷物が増える」というジンクスどおり、引越す度に増えた荷物を抱えて再引越を繰り返しすことになります。
当社もまたもや引越のタイミングが来ました。
前回の引越から2年半ぶりです。
今度は隣町の国立市にオフィスを移すことになりました。
(2009-06-16)
広いところに引っ越すと「それはそれで不思議と荷物が増える」というジンクスどおり、引越す度に増えた荷物を抱えて再引越を繰り返しすことになります。
当社もまたもや引越のタイミングが来ました。
前回の引越から2年半ぶりです。
今度は隣町の国立市にオフィスを移すことになりました。
(2009-06-16)
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