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( 香水工場の )

香る生活


暑い夏、香水は夏に売れる?

オフィスでの香水事情


私の場合、香水メーカーで働いていることもあり、オフィスでは香水は付けません。明文化された社内規則ではありませんが、雰囲気的に「香水禁止」です。

製品や他の香りがわからなくなるからです。香水メーカーさんや香水関係者なら、オフィスでの香水の使用に関して禁香水規則を掲げているところは多いでしょう。


香水熱はややローレベルに


そんなわけでオフやプライベートで香水を付けることになります。しかし、夏場、香水熱は自分の場合、食欲同様それなりに低下します。

「スノーミント」や「柑橘系」は暑くても寒くてもいつでも爽やかな香りですが、まとわりつく香りでさらに暑くなる感じがして、夏は付ける気になれないのが実状です。


香水のニッパチ・・・当社の場合


当社の場合、お客様も私と似た方が多いのか、夏場、当社の香水の売上は確実に落ちます。

小売りのジンクス「ニッパチ現象」は当社の場合、よくあてはまります。

暑くてカラダも動かないので、8月は、ゆっくりさせてもらい秋からの商戦に備えることが毎年の恒例です。

来年の「新作香水」と「廃盤香水」に関する社内ミーティングを8月に行う理由も「ビジネスが比較的静かなこの時期に」という事情があります。


夏でもうまく使いこなす若者増加中


しかし、世間一般では夏は香水需要が高まるシーズンです。

その一つは実用上の理由があるでしょう。暑さのために体臭が気になる季節、特に対人営業を行っている人は、気をつかわれる方も多いようです。

清潔にするだけでなく、香水をうまく使いこなしている方を見かけます。とくに近年、男性の香水の使い方は非常にスマートになった印象を受けます。

夏場の香水にも遺憾なくセンスが香ります。


夏は香水で開放的に!


夏に香水が売れるもう一つは、夏休みは、海へ・山へ・旅行への行楽シーズンということと関係がありそうです。

夏は、開放感いっぱい。

香水を付けて気分を盛り上げる人や、気分が盛り上がっているので、さらに華やかに香らせたいという人も多いでしょう。リオのカーニバル状態ですね。

インポート香水を扱われるお取引先などでは、夏の繁盛記にむけて香水の仕入れやプロモーション、販売計画をぶつけてくるところもあって、同じ香水でもメーカーやブランドによって売れる季節に違いはやや新鮮です。

私も香水マンとして夏の香水を嫌わずにスマートに付けるよう心がけたいと思案中です。


(2011-07-17)
( 香水工場の )

香る生活


重厚な香水瓶がお好き?
ヨーロッパと日本の感じ方の差


ヨーロッパから輸入する香水瓶


当社の香水瓶はフランスのガラスメーカーから輸入しています。直接購入する場合もありますが、香水瓶の商社や日本の代理店を通して仕入れることが多くなりました。

日本の商社や代理店なら、なんといっても日本語で話ができる点がいいですね。それと気軽に会いに行けることもメリットです。会いに行けば、香水瓶メーカーの情報や新製品情報などちょっとしたメリットもあります。

先日、都内に行ったついでにフランス・ニースの大手容器ベンダーの日本代理店に立ち寄りました。


重い香水瓶、軽い香水瓶


「最近来た新製品」といいながら、メンズ用ラグジュアリークラスの香水瓶を見せてもらいました。100ml。竹型のシンプルなボトルでした。

第一印象は、やはりガラスの透明度とクリスタル感がいいですね。フォルムは単純ながら細部に至る緊張感があります。安いボトルですと角の曲がり具合が甘いものですが、いい感じです。

拝見した香水瓶は、形状がほぼ同じものが2種類。どちらもステキでした。価格は一方が高く、もう一方は安いとのこと。


軽さは合理的


違いは重量。重量の違いはガラスの密度やガラスの厚さの違いになりますが、私なら美しさやフォームが同じなら絶対に「軽い香水瓶」を選びます。

同じ物資なら軽い方が人にも地球にも優しいことは言うまでもありません。

輸入の際、軽い物資は航空機や船の燃料消費率を下げ、在庫する際の作業負担や床・棚への加重負担を軽減し、落としたり荷崩れした際の作業員のケガの発生率を押さえます。

商品化後は、配送のための輸送コストの削減、そしてお客さまが持ち運ぶ際の負担軽減になります。

そして、廃棄処分の際も廃棄コストの削減に役立ちます。

どれをとっても、あらゆる意味で「軽さ」は「経済的に合理的」です。「経済性が高い」と思うのですが、こういう発想は日本人的発想のようです。


重厚さを尊ぶヨーロッパの感覚


その2つの香水瓶、高いのは、もちろん、重いボトルです。ヨーロッパ人の感覚では「高級感が違う」となるはずです。

あちらは何でも「がっしり、どっしり、重く」が価値あるもののように受け取られるようです。そういう文化・価値観なんでしょうね。街全体・建物から日本と発想が違います。

知り合いのイギリス人は「300年前の家を買った」と自慢していましたが、日本だと300年前の家に価値を感じる人は少ないはずです。

まるで「1000年使えるモノ」がヨーロッパの価値観のようです。日本だったら「適当なところで消えてなくなる方がいい」が一般的。

あちらから輸入するモノは、たとえば機材や装置なども、私はよく「もしこれを日本人が作るなら、半分のサイズで、半分の重量になるのだが」と感じます。

この重さが残念。この無駄な大きさが残念!と感じることは少なくありません。


高級化する香水瓶のトレンド


香水瓶も、ラグジュアリーなブランドほど(既存の高級ブランド香水ではなく、少量生産しかしないメゾンフレグランスなど)、香水瓶が重く重厚になっていく傾向があるようです。

重い・デカい香水瓶は、香水の高級化とともに、さらに重厚型香水瓶へと進んでいくようです。

武蔵野ワークスは日本の香水メーカーですから、香水瓶の世界的トレンドがどうであれ、適切なサイズと重量の香水瓶で行きたいと個人的には感じています。

(2011-07-03)
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香る生活


夏に涼しい香り、香水「スノーミント」

人気の涼しげな香水


まだ6月というのに昨日、関東地方は記録的な暑さでした。なるべく冷房は使わないように頑張っていますが、気持ちもそぞろに。

震災以来、多くの人が「なるべく節電!」で気持ちは一致しているのか、「なるべくエアコンなし」の生活にチャレンジを感じる人が周囲にも増えております。

平行して夏を涼しく過ごすグッズの売れ行きがよいとのことで、その余波か、影響か定かではありませんが、このところ「涼しげな香水」に人気が集まっています。

フローラル・フォーシーズンズには、涼しげな香りがいくつかあります。

・花火
・星座
・蛍
・スノーミント

「花火」「蛍」は、実物は香りのするモノではありませんが。なぜ涼しい香りのイメージになるか、やはり「夏の風物詩」的なイメージがあるためと思います。

これら製品の方は、シトラス系の香りを多めに配合しているので、夏に爽やかという点はオススメできます。


オススメ夏香水


この中でとくにフローラル・フォーシーズンズ香水シリーズ「スノーミント」は、突然人気がでたかのようにこの1週間くらいでスパイク的に売上が伸びました。

「スノーミント」はイメージが夏向きですが、香りもクールな感じで、筆者イチオシのオススメ夏香水です。香りはフローラルミント。ほんのり甘くてミントの香りの爽快感がたまりません。


スノーミントの裏話


「スノーミント」は本来、夏用香水を意識して制作した香水ではなく、冬に楽しめるミント香水がテーマでした。実際、初リリースは12月で期間限定でした。

ところが、花粉症に苦しんでいるお客様から「楽になるから」と春にも出して欲しいという要望が来たり、もともと、ミントなので、夏にもぴったりです。

という事情で通年で楽しめる製品として季節に関係なく押しています。


ミント香水の突然の人気の理由は?


「スノーミント」の突然に人気について世間話風に同僚と話していたら、一つの事実を知りました。

先日NHKの朝のニュースで体感温度を下げるミントのトピックが取り上げられていたとのこと。これが原因かもしれません。

もちろん、NHKに弊社「スノーミント」が取り上げられたわけではありません。食品の「ミント」が取り上げられただけです。


ミントの涼しい香り


ミントの香り成分であるメントールは人の体感温度を下げる効果があります(体温を下げる効果ではありません、体感温度を下げる効果です)。

(メントールは皮膚につけると体感温度を下げますが、なんと香り自体が「どこか涼しげな」印象を抱かせる香りです。香りで涼しく感じられるメカニズムは解明されていません)


ミント-香り-香水


最近はテレビで取り上げられたキーワードがインターネットの検索エンジンに打ち込まれるトレンドは強く、それが結果的にビジネスの売上に左右するという図式も無視できない状況です。

まさに、現代版「風が吹けば 桶屋が儲かる」方式を思わせる事件です。「ミント-香り-香水」のようなコトバで検索されているのかもしれないと推測しています。

ミントの香りで今年の夏も爽快に乗り切って下さい。


(2011-06-25)
( 香水工場の )

香る生活


電話受注事情
きょうは事務所の現場風景を少々。


電話番号は控えめに表記


武蔵野ワークスのホームページには電話番号を大きく目立つようには掲げておりません。

当社にはコールセンターや電話受注の専門部隊がなく、現状、すべてのスタッフでそのとき対応可能な人間が電話を取ります。

こんな状態では、万一、電話注文が殺到するようなことがあれば、社内がパンクすること必至です。

そんなわけで、通販会社さんにありがちな『今すぐ、お電話! 』や『フリーダイヤル 0120-xx-xxxx』といったバナーをWebの目立つ場所に貼ることを控えています。


お客様の第一声


それがよくないのかもしれません。お客様の第一声で案外多い発言がこれです。

「電話でも注文受け付けますか?」

「電話注文、大丈夫ですか?」

注文を喜ばない通販会社はありません。もちろん大歓迎です。

にもかかわらず、中には申し訳なさそうに「今、パソコンが壊れていてインターネットが使えません。電話でも注文受けてもらえますか?」という方も。

お電話でのご注文も大歓迎です。スタッフがいる限り喜んで対応いたします。


アウトソースのコールセンター


コールセンターのアウトソーシング化の波は我ら中小企業にも及んできております。

コールセンター運営会社さんから営業電話がきて、興味でも示そうものなら提案書と見積もりを引っ提げて早々に訪問をされるところも。

複数のクライアント会社が一つのコールセンターに相乗りすることで中小企業でも「365日24時間」の受注体制が構築可能といった売り込みもある。

しかし電話受注専任でない「普通のスタッフが電話をとりお客様と直接コミュニケーションを取る」ことが当社らしいという結論で落ち着いています。

(2011-06-24)
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香る生活


香水は香りが重要、ネーミングはもっと重要?

お花の香水


武蔵野ワークスは「沈丁花」や「蜜柑の花」「白梅」など、花をテーマにした香水を多く作っています。とはいえ種類には当然限りがあります。

自分の好みの花の香水はないかと探されるお客様は多く、そして、Webやパンフにそれが見あたらないと質問が来くこともしばしば。

「○○の花の香水はありませんか?」

この質問、たいていは香りのよい花に関する香水の有無のお問い合わせです。しかし、昨日の所沢マダムからのお電話はやや例外的でした。


『忘れな草』や『かすみ草』という名の香水


「『忘れな草』ありませんか?」

「忘れな草」は記憶の範囲ではじめてのお問い合わせ。北海道でエゾムラサキと呼ばれている野草の花らしいのです。

しかし、いかにも香りはなさそうな。

私は「忘れな草」の香りを知りません。そして香りを予想できないので、どんなステキな香りでしょうか?とマダムに質問しました。

「どんな香りなんでしょうね。とにかく名前が好きなんです」

お聞きすれば『かすみ草』の香水も探しているとのこと。やはり「ネーミングがステキじゃない!」とのこと。

「忘れな草」、あとで調べました。なんでもドイツの恋愛伝説に由来する花だそうで。花を摘もうとしてドナウ川でおぼれかけた男性が叫んだ言葉が「ボクを忘れないで!」(Forget-me-not!)悲しく、そして、美しすぎるネーミングだとわかりました。ちなみに香りは未だ不明です。


香水の中身ではなく、『贈り物』という名前が好きだから


先月、毎年恒例の期間限定製品『ローズの贈り物』『5月の贈り物』という香水をリリースしておりました。『ローズの贈り物』を電話ご注文いただいた一人のお客様は、当社の顧客リストになかったので、まったくはじめてのお買い上げ。

いきなりフルボトルを購入され期待はずれの香りでないか心配になり声をかけました。

「ローズがお好きなんですね。いきなりフルボトル、大丈夫でしょうか?小指大のミニボトルもあります。有料ですが、そちらでまずはお試しされますか?」

返事は、メーカーサイドが想定していない内容。

「私は『贈り物』というネーミングが好きなんです。だから大丈夫です」

こちらは青梅マダム。

正確な名前は忘れましたが、新幹線の中で「開運まんじゅう」という趣旨のネーミングのお饅頭が車内販売されていました。

ワゴンに乗せられた開運饅頭は、同じ饅頭を買うにも「開運」と付いている方を選びがちなのは人の人情。

饅頭を欲しくなかった人までが「『開運』なら、この商談に行く前に一つ景気づけにでも」というシチュエーションも起こりえないことはない。


しかし、名前負けしたらブランドの永続性はない


このような事例を見てくると商品における「ネーミングの重要性」をもっと考え直した方がよいと反省します。

とくにはじめてその商品を手にするイントロダクション部分で、顧客の印象を引き留める要、「引き」があるかないかの境目、になっている事実は大きいと思います。

しかし、せっかく使ってもらったのに中身が伴わないと、顧客に失望を与え、逆に社名やブランドを傷つける結果となります。ネーミングさえよければいいというものでないことは充分に予想できます。


当社の最近のネーミングのヒットはこれかな?


香水のネーミングは香水という商品の性格上、世界的にあまり奇抜なネーミングはつけられません。

お笑い系・自虐ネタは香水の品位に関わりますし、幸運系やお金系・健康系統も薬事法の規制上問題があります。

当社も例外でなく、おとなしい素朴なネーミングの香水が普通ですが、この数年でグッドなネーミングだったなと思う香水があります。

それが『スノーミント』です。

何をテーマにした香水か説明が入り(「ミント」)、ひんやりとした感触が伝わり(「スノー」)、かつネーミングを聞いただけで、「雪景色」がなんとなくビジュアルに心の中で見えるところがいいです。

また中身も多くのお客様に好評かつリピートも多いことから、ネーミング負けせずバランスのとれた製品と感じています。


ネーミングの由来


『スノーミント』はミント香水というテーマで制作した香水です。製品が先にできあがりました。ネーミングは後付です。

当社の香水にありがちな花の名前の製品でなく、また「ミント」だけでは食品のイメージが強いため、製品を語るネーミングにしようと数名のスタッフで考えました。

よいアイデアがないまま保留状態が続いていましたが、当社のチーフパフューマー(本人が調香した香り)が甲府に向かう中央本線の電車の中で突然思いついたネーミングです。

ネーミングは、ブレインストーミングで生まれるより、降って湧いてくように生まれるのでしょうか。

(2011-06-21)
( 香水工場の )

香る生活


香水の好みの変化

一生好きでいられる香水?


以前「一生使えるお気に入りの香水を探しています」というお客様から質問をいただきました。趣旨は、ズバリ、一生好きでいられる香水はありませんか?ということでした。

返答に窮しました。

当社の香水は、個性的でオリジナルな香り。香水のタイプも種類も豊富で、香水の販売実績も、世界のブランドさんに比較すればホコリか誤差ほどの存在ながら、リピーターさんも多い。自信はありますが「一生好きでいられる香水」となると・・・それはないと思いました。

香水の完成度を嘆くわけではありません。この問題の本質は、香水の問題より私たちの心や好みの問題のような気がします。


人は変化します


人は変化します。生物学的にも思想的にも。

考え方も変化します。考え方や価値観の変化は、成長かもしれないし堕落かもしれません。燃えるような情熱を心に宿し取り付かれたように変化する人もいれば、希望や意欲を失いセミの抜け殻のようになる場合もあります。

穏やかに変化する場合もあれば、突然、180度ターンしてしまう場合もあります。どちらにしても変化していくのが人の常。

嗜好の生物学的変化という点では、たとえば、肉好きの人間が野菜好きの人間に変化する例は、糖尿病など差し迫った必要にドライブされない限り、あまり事例を聞きません。

しかし、子供に愛されるアイスクリームやチョコレートやフルーツは、お父さんの年齢になると塩辛や激辛や発酵食品にお酒、と子供の時分には理解できない食品を好むようになる現象は、多くの人が体験するもの。


(2011-06-20)
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