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( 香水工場の )

香る生活


フランクフルトで降ろされたベルガモット
香水「ミント神戸」の製造がようやく完了しました。

かなり前に処方は完成し、モニターさんなどの意見も揃い、クライアントさまのOKをいただき、後は工場生産のみ、という状況でありながら、ある香料の入荷が遅れました。

8月、フランスはバカンスシーズン。日本のお盆と同じようにビジネスが止まります。しかも、お盆より長い期間止まります。

フランスでは、9月に入って夏眠からようやく目覚めるようにビジネスは動き出す感じですが、こちらは待ったなし状態。

ジリジリした気持ちで毎日唯一入荷していないベルガモット(柑橘系天然香料)を待っていました。

QA(Quality Assurance=品質検査)がようやく通り、ついに出荷されたと聞いたときはホッしましたが、それも束の間。ニース発フランクフルト経由ベルガモットは「液体」という理由でフランクフルト空港で降ろされてしまいました。

夏、ロンドン・ヒースロー空港で起きたテロ未遂事件(液体爆弾によるテロ計画)の余波で、香料も危険物質と考えられるようになったようです。

柑橘の果皮を絞ったオイルでさえ降ろされるとは、よほど厳しいようです。

数日遅れのベルガモットは、成田で緊急通関、赤帽で東京横断、当社に入り、そのまま緊急に調合が施されて、その日の内に静岡にある製造委託先の化粧品会社さんへ。

なんとか影響を最小限に押さえて生産することができました。


それにしても今回入荷したベルガモットはよい品質だったと思います。

天然モノは、仕入れて封を切るとき、それが期待通りかどうか緊張します。この辺の心境は、毎日ネタを仕入れる寿司屋さんとやや似ているかもしれません。

封をちぎるように開けたイタリア産ベルガモット。その香りには、予想通り、深い落ち着きと気品がありました。神戸の街にふさわしい風格です。

神戸ミント・オープニングセレモニーで来場のお客様には、天然ミントと天然ベルガモットの競演を体験いただけそうです。

(2006-09-28)
( 香水工場の )

香る生活


海外でビジネス?
武蔵野ワークスはロシアでフローラル・フォーシーズンズを売り込もうとしたことがあります。

日本でもまだまだ立ち上げ中の当社が果敢にもかのロシアで商売とは、驚きですね。

日本ブームに湧くモスクワでは日本の事物は何かと人気で、たとえば寿司を食べるモスクワっ子の姿がたびたびテレビで報道されているのでご存知の方も多いでしょう。

実際現地では、日本では新橋あたりの焼き鳥屋風レストランが高級フレンチと同等以上の高級なレストランとして繁盛していました。

提灯がさがる高級レストラン、店先には黒光りのメルセデスばかりが並んだ焼鳥屋なんて不思議でしょう?

本当にすべての車がベンツでした。組長の祝儀会場かと見違えそうです。


住友商事さんのお誘いもあってフローラル・フォーシーズンズを「和の香り」というコンセプトで売り出そうという企てでした。

モスクワっ子の非常に濃厚な嗜好の前にマーケティング調査の段階で断念せざるをえませんでしたが、勉強になりました。

キッコーマンが米国人相手に醤油を売り込もうとした大事業には足下にも及びませんが、文化や嗜好の違う海外で嗜好品を売り込むというのは、並大抵ではできないと感じます。

たまたま日本ブームだったので売り子さんに着物でも着せればなんとかなるという人もいました。

しかし、異国趣味だけ売ればブランドが育つことはなくブームが去れば潮が引くように消え去る運命、ハナから見え見えです。

これはある外資系の化粧品会社さんの話です。

今ではしっかり日本市場に根を下ろすその会社は、日本上陸の頃、銀座の百貨店に化粧品を並べることまではできたのですが、知名度の低さもあってなかなか売れません。

売れなければ売場を他の会社に明け渡すことになります。売場を死守したい、ここから日本でのビジネスははじまるのだ!という強い信念の結果・・・

社員が顧客を装って毎日定期的に自社製品を買いに行くということでした。

社員によるサクラ作戦ってのは、涙ぐましくも笑える話ですが、気持ちはよくわかります。

大量のメディアに露出可能で一気に知名度を稼げる大資本ならまだしも地道にやらざるをえない中小は足と根性で這い上がるしかないのです。

(2006-09-28)
( 香水工場の )

香る生活


香水ビジネス5、原点回帰する香水

ヒット商品が必ずたどる道、"派生商品"


人気商品には消費者の需要に合わせて派生商品が生まれます。香水も同じです。

仮に当社に「ユニバース」という香水があったとします。運良く消費者の支持を得て売上げを伸ばすと、企画担当の私としては派生バージョンも売れるんではないかと期待が膨らみます。

その結果「ユニバース ライト」、「ユニバース サマー」、「ユニバース フォーメン」、なんてラインアップはありえないことではありません。

ついでに「ユニバース スペシャルコフレ」や「ユニバース バレンタインセット」、どうかすると「ユニバース ゴルフセット」というのもいいかも。

映画風に「ユニバース2」というようなシリーズ化もやってやれないことはない。

香水も他の製品同様、消費者の嗜好の多様化を受けて次々と派生商品がリリースされます。


自分の首を絞めるリスク


私たち消費者からすれば飽きないし、自分のテイストに本当に合うものが出てくる可能性が高くなります。

チョイスの幅も広がって歓迎されるのですが、派生バージョンは多彩な製品を楽しめる反面、多すぎれば開発サイドでは一つの製品へのリソースや情熱の投入濃度が薄くなるというリスクもつきものです。

密かに進行する病に似ています。


アイデンティティを失った近年の香水


過去5年間、香水市場では新商品が多く生まれその派生バージョンも多様化しました。

また、香りの性質も、ヨーロッパ伝統型(どちらかというと濃厚でセクシーでロマンチックな香り)から、日本や新興アジア諸国、ロシア、インド、ブラジルとかなり広範囲に嗜好が変化する世界市場に合わせて多様化の一途をたどってきました。

このような状況が世界の香水産業のここ数年の香水トレンドだったという印象があります。

商品ラインアップの煩雑ぶりと香りの多様化・・・ヨーロッパのブランド香水は、自分たちのコアな部分、香水に対するポリシーやコンセプトを見失いかけているようです、とヨーロッパの業界ウオッチャーは指摘します。

限定商品が乱発され、並行輸入の横行もブランドイメージを傷つけています。


原点回帰がはじまっている


ブランドさんたちのクラッシック回帰がはじまっています。

商品の絞り込みと香りの原点(香りに託すブランド・メッセージ)を見つめ直し、荒れたマーケットを立て直す動きが、どのような製品と流通形態となって市場にでてくるかまだ具体的には見えてきません。

しかし、既存のメジャーブランドは高価格帯に移行し、その空いた中価格帯をヨーロッパ発、新興香水ブランドが埋めてくる予感があります。

ブランド香水が家電量販店やディスカウントショップで販売される光景は、近い将来なくなると予測しています。




(2006-09-28)
( 香水工場の )

香る生活


エッセンシャルオイルとアロマオイル
エッセンシャルオイルとは植物由来の成分(エッセンス)から抽出されるオイル状の芳香物質です。通常は水蒸気蒸留法で採取されるオイルです。

同じ植物エッセンスでも溶剤によって抽出される芳香物質は「アブソリュート」と呼ばれます。

エッセンシャルオイルは基本的に100%天然であることが条件です。よって、価格的にかなり高価なものです。またエッセンシャルオイルをそのまま直接お肌に付けるのは危険です。

誤解が多いのでもう一度言います。

エッセンシャルオイルをそのまま直接お肌に付けることは危険です。敏感な方はとくにご注意ください。

アロマテラピーではエッセンシャル・オイルを使用してマッサージを行いますが、キャリアオイル(ホホバオイル、グレープシード、ローズヒップ、オリーブオイル...)などで希釈して使用されます。

エッセンシャルオイルは、業界では100%天然であることが常識ですが、世の中にはエッセンシャルオイルに合成香料を混ぜたものでもエッセンシャルオイルと呼ぶ人がいます。

定義が定まっていないので、可能です。

やっかいなことに分子構造が天然と合成で同じ場合、どんな優れた分析機を使用しても「合成香料が混入されている」ことを判別することはほぼ不可能です。

また合成香料だから肌につけると危険というのも誤解です。

合成香料は純度が高いため、その成分が安全であるとわかっていれば、天然よりむしろ安全です。医薬品が合成成分に依存する理由の一つはこの高い安全性のためです。


さて、「アロマ・オイル」というコトバがあります。

一般にアロマオイルとは、天然香料(エッセンシャルオイル)を含め、合成香料、その他の混合物を含めた広意義の芳香物質という意味で使用されます。

アロマ・オイルはそれなりに意味が広いので、さまざまな商品があります。

エッセンシャル・オイルは商品化される際、青や黒の遮光瓶(しゃこうビン)を使用するのが一般的ですが、エッセンシャル・オイルを思わせる遮光瓶にコロンのような水っぽい芳香液体が詰めてある商品を見たことがあります。ラベルには「アロマ・オイル」書いてありました。

また、アロマ・オイルをエッセンシャル・オイルとまったく同じ意味で使用する人がいます。

考えてみれば、「アロマ・オイル」というコトバが信用できそうな本や学会や団体によって定義されたことがないのかもしれません。

当然アロマ・オイルを定義した法律もありません。

惑星でさえ10年に及ぶ天文学会の議論を得て、やっと最近定義が確定し、残念ながら冥王星は惑星から離脱する結果となったそうですが、世の中には定義がはっきりせず混乱気味なものは少なくないようです。

なお、アロマ・オイルを肌につけて安全かという問題ですが、それは中身の成分に依存します。


(2006-09-27)
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香る生活


香水ビジネス4、笑える香水

ブルーチーズ香水


海外で「Eau de Stilton」(オード・デ・スティルトン)という香水が今年リリースされました。

スティルトンとは、イギリスのとある街の名前でブルー(青カビ)チーズの有名な産地です。

スティルトンがそのままその地方のブルーチーズを指しますが、スティルトンは世界三大ブルーチーズ(青カビチーズ)の一つだそうです。

そんな青カビチーズに香水バージョンができました(スティルトンの製造業者団体が香水メーカーに製造委託)。

場合によって「履いた靴下のような匂い」と言われるブルーチーズ。

このニュースに接した人は「え?どんな香水だろうか?」と少なからず心中、感じると思います。

私は購入する気はありませんが、予想するにかなりよい香りだと思います。ブルーチーズの何か成分を気持ち使用している程度で、ブルーチーズとはそれほど関連性はないと予想されます。


サプライズ香水、目的は"話題性"


実は、この手のサプライズ香水は、ニュースの表舞台には登場しにくいのですが世界中でかなり出ているでしょう。

当社の場合「くさや」のオードトワレをリリースしたことがあります。これは当社自ら開発したというよりクライアントさんあっての案件でしたが、話題性はありました。

ここがミソです。「話題性がある」


日本のサプライズ香水


香水ではありませんが、去年「大阪のオバチャンの厚化粧の香り」、「北新地ママのうなじの香り」という缶詰めが発売されました。

1滴で周囲は大パニック「うんち香水」というのもあります。

香水を含め様々な産業のメーカーが、消費者にとって「なんでこんなものを?」と思えるようなものを出し続けます。

笑えますが、実はかなりオーソドックスな手法。メジャーブランドに対抗する一瞬の輝きとでもいったらようでしょうか。

笑える香水は、必ずしも売れることを想定していないものが多いでしょう。





(2006-09-25)
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香る生活


キンモク咲く
一昨日くらいから東京では金木犀の花が咲きだしました。

昨夜夜道に香りを感じて、きょうは午前中近くの公園に撮影に行きました。

空気に金木犀の香りが混じりだす季節です。

秋ですね・・・

金木犀(キンモクセイ)



(2006-09-22)
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