( 香水工場の )
香る生活
シトラスの香り、針葉樹プンゲンストウヒ
チクチク葉っぱ、険しい樹皮なのによい香り (2023/06/23)
( シトラスの香りを放っていた針葉樹林・・JR山形駅の東口で出会ったプンゲンストウヒ )
この前のウイスキー蒸留所の記事の続き。
ウイスキー蒸留所を後にして仙山線で山形にでた。
新幹線を待つ間、何かおもしろいものはないかと駅周辺を散策したら、いきなり東口でナゾの香り植物に遭遇!
風に混じる微かなグレープフルーツのような香りが興味がそそられる。
見るからに典型的な針葉樹。
葉っぱは硬くチクチクしており樹皮はゴツゴツ険しく人を寄せ付けない厳しさ。
しかし、ちょうど新緑の季節らしくく、すんだ青色の新緑が芽吹いており、そのやわらかい新葉を手でこするとグリーンな香りと共にグレープフルーツのような柑橘系の香りが立つ・・富士山麓のコメツガと似ている。
(これは何という木だろう?・・)
表札が巻き付けてあって木の名称を知ることができた・・『プンゲンストウヒ』
( 「プンゲンストウヒ」?・・聞き慣れない名称 )
(う~ん、どこで切って読むのか?・・「ブンゲン+ストウヒ?」「ブンゲンス+トウヒ?」)
(外来語? 日本語?)
当社には名香『スイカズラ』という商品がある。
絶対もっと売れてよい製品なんだが、日の当たらないスターのごとくひっそりと暮らしている。
その理由はネーミングにあるのではないかと最近疑っている。
読者のみなさまは「スイカズラ」という植物名をご存知だろうか?
多くの日本人にとって「スイカズラ」ははじめて聞くコトバのようだ。
人によっては「スイカ?+ヅラ?」と読んでしまう。
日本語か外国語かも定かでない。
「スイカズラ」とは日本語で、漢字を使えば「吸い葛」。
だから音節の切り方は「スイ+カズラ」である、もう一度言うが「スイカ+ヅラ」ではない。
蜜をためる花を咲かせる葛(くず、かずら=マメ科のつる性の野草)で昔の子供達は蜜を吸って遊んでいた。
東京でも田舎でも全国的に気づけばその辺で咲いている花だが、残念ながら認知度は低い。
今回山形駅東口で遭遇した「プンゲンストウヒ」は「プンゲンス+トウヒ」。
「PUNGENS」+「唐檜」、別名「コロラドトウヒ」と呼ばれ米国ロッキー山脈の代表的な針葉樹林だそうだ。
コロラド州の州の樹木に指定されており苗木はクリスマスツリーとして米国人にはなじみ深い・・と今回はじめてプンゲンストウヒという樹木を知った。
「PUNGENS」は、たぶん「パンジェンス」と読んだ方が英語の音に近いだろう。
「唐檜」は文字通り外来ヒノキという程度の意味。
プンゲンストウヒは風格があり美しい、そして絶妙な色合い。
遠くからロッキー山脈を望めば青いブルーマウンテンが迫る『シェーン』のエンディングを連想してしまった。
あの彼方の山々はたぶんロッキー山脈(という設定だったと思う)。
( 今観ても新鮮 )
あの深い青の正体こそがプンゲンストウヒ樹林帯ではなかろうか。
ほれぼれする深い青色の色彩で北海道では街路樹として人気があるとか。
検索してみたが、プンゲンストウヒの香りについて書いている人はまだいないようだ(日本語検索のみだけど)。
なのでこの記事が日本初の「プンゲンストウヒの香り、サイコ~」情報になるだろう。
(光栄なことです)
しかし、強者もいてプンゲンストウヒの葉を蒸留した人も検索結果に出ていた。
すでに精油を採取している人もいるようだ。
それに英語検索ではプンゲンストウヒ精油は検索に多く上がっており人気の精油のようである。

以上、今回も新しい香りの出会いがありました、ありがたい経験をさせてもらった。

(2023-06-23)
( シトラスの香りを放っていた針葉樹林・・JR山形駅の東口で出会ったプンゲンストウヒ )山形駅で香りの出会い
この前のウイスキー蒸留所の記事の続き。
ウイスキー蒸留所を後にして仙山線で山形にでた。
新幹線を待つ間、何かおもしろいものはないかと駅周辺を散策したら、いきなり東口でナゾの香り植物に遭遇!
風に混じる微かなグレープフルーツのような香りが興味がそそられる。
見るからに典型的な針葉樹。
葉っぱは硬くチクチクしており樹皮はゴツゴツ険しく人を寄せ付けない厳しさ。
しかし、ちょうど新緑の季節らしくく、すんだ青色の新緑が芽吹いており、そのやわらかい新葉を手でこするとグリーンな香りと共にグレープフルーツのような柑橘系の香りが立つ・・富士山麓のコメツガと似ている。
(これは何という木だろう?・・)
プンゲンストウヒとは?
表札が巻き付けてあって木の名称を知ることができた・・『プンゲンストウヒ』
( 「プンゲンストウヒ」?・・聞き慣れない名称 )(う~ん、どこで切って読むのか?・・「ブンゲン+ストウヒ?」「ブンゲンス+トウヒ?」)
(外来語? 日本語?)
突然ですが『スイカズラ』の話
当社には名香『スイカズラ』という商品がある。
絶対もっと売れてよい製品なんだが、日の当たらないスターのごとくひっそりと暮らしている。
その理由はネーミングにあるのではないかと最近疑っている。
音節の切れ目がわからないスイカズラ
読者のみなさまは「スイカズラ」という植物名をご存知だろうか?
多くの日本人にとって「スイカズラ」ははじめて聞くコトバのようだ。
人によっては「スイカ?+ヅラ?」と読んでしまう。
日本語か外国語かも定かでない。
「スイカズラ」とは日本語で、漢字を使えば「吸い葛」。
だから音節の切り方は「スイ+カズラ」である、もう一度言うが「スイカ+ヅラ」ではない。
蜜をためる花を咲かせる葛(くず、かずら=マメ科のつる性の野草)で昔の子供達は蜜を吸って遊んでいた。
東京でも田舎でも全国的に気づけばその辺で咲いている花だが、残念ながら認知度は低い。
ブルーマウンテン
今回山形駅東口で遭遇した「プンゲンストウヒ」は「プンゲンス+トウヒ」。
「PUNGENS」+「唐檜」、別名「コロラドトウヒ」と呼ばれ米国ロッキー山脈の代表的な針葉樹林だそうだ。
コロラド州の州の樹木に指定されており苗木はクリスマスツリーとして米国人にはなじみ深い・・と今回はじめてプンゲンストウヒという樹木を知った。
「PUNGENS」は、たぶん「パンジェンス」と読んだ方が英語の音に近いだろう。
「唐檜」は文字通り外来ヒノキという程度の意味。
プンゲンストウヒは風格があり美しい、そして絶妙な色合い。
遠くからロッキー山脈を望めば青いブルーマウンテンが迫る『シェーン』のエンディングを連想してしまった。
あの彼方の山々はたぶんロッキー山脈(という設定だったと思う)。
( 今観ても新鮮 )あの深い青の正体こそがプンゲンストウヒ樹林帯ではなかろうか。
ほれぼれする深い青色の色彩で北海道では街路樹として人気があるとか。
プンゲンストウヒの香りを称える
検索してみたが、プンゲンストウヒの香りについて書いている人はまだいないようだ(日本語検索のみだけど)。
なのでこの記事が日本初の「プンゲンストウヒの香り、サイコ~」情報になるだろう。
(光栄なことです)
しかし、強者もいてプンゲンストウヒの葉を蒸留した人も検索結果に出ていた。
すでに精油を採取している人もいるようだ。
それに英語検索ではプンゲンストウヒ精油は検索に多く上がっており人気の精油のようである。

以上、今回も新しい香りの出会いがありました、ありがたい経験をさせてもらった。

(2023-06-23)
( 香水工場の )
香る生活
山の花はニオイもパワフル
マーガレットやニセアカシアの香り (2023/06/21)
( 山道の脇で咲き乱れていたマーガレット、その臭さは本物だった、山は生き物を強くする )
だいぶん前の話ですが、岐阜県にカモミール(カミツレ)を見に行ったことがあります。
日本では珍しいカモミールの広大な畑があるのだ。
遠くから畑に近づいていくと風の中に混じるカモミールの香りの妖艶なこと!すばらしい体験だった。
しかし、カモミールは肥料を大食いするハーブらしくパワーを与えるには「鶏糞がいい」と栽培農家さんはおしゃっていた。
実際、畑には大量の鶏糞が投下されていた。
だから畑まで来るとカモミールの香りの妖艶さにプラスして鶏糞の香りの妖艶さが共存して、なんというかカオスな雰囲気だった。
これはバラにも言えることで、美しい凛とした立派な花を咲かせるためには肥料として馬糞や牛糞がよいらしい。
世界的なローズナーセリーとして有名な千葉県の京成バラ園さんは、なぜそこにあるかといえば、ナーセリー開業当初、周辺一帯には馬を飼っている農家さんが点在しており、馬糞の調達が容易だったためと聞いた。
「あの美しいバラも糞尿あっての美しさ」と妙に納得する話ではないか。
カモミールの香りに戻るが、糞尿肥料を与えなくともカモミールの花にはもともと微妙に糞尿の香りが含まれている。
行きすぎるとたんに糞尿臭だが、微妙に香るから魅力的だ。
幻滅しないでほしい、香り高い花には糞尿臭はけっこう混ざっているもの、たとえば、香りの女王と評されるジャスミンにも糞尿臭のインドールやスカトールが含まれる。
(だから、香水にもインドールやスカトールを微量入れることがある、ちなみに香水に使うそれらは糞尿由来ではないので安心してほしい)
これは岐阜県にカモミールを見に行く数日前の話。
自宅近く歩いていると道端で自生しているマーガレットを見て「カモミールに似ている」と思った。
そのころはまだ香水の勉強もまったく不足しているころで、マーガレットの花を見て形状から「カモミール拡大版の花」に見えた。
で、もしや「香りも似ている?」とススっと近づき鼻を寄せると
と心中叫んだ。
植物の場合、花の形状は似ていても香りは無関係という法則を学んだのである。
それ以降、マーガレットが咲いていても香りをかぐことはあまりしなくなった。
今回、岩手県・仙台・山形を旅行してきた。
一番の目的は私用だったが、ついでに香りものを求めて現地の山野をさまよい花や植物の香りを確かめ、ウイスキー蒸留所を回った。
今日の記事は岩手県和賀郡という山間部にある温泉地での話。
最寄りの駅は「JRほっとゆだ」。宿の近くを散策して見つけたのがマーガレットだった。
あたり一面を埋め尽くすばかりの咲きっぷり、元気だ。
あの臭さは健在か?とそっと鼻を近づけると
ニオイは東京のマーガレットよりかなりパワフルだ。
やはり山は生き物を強く元気にしてくれるのだろう。
毎年5月~6月初旬にかけて東北から北海道では自生しているニセアカシア(ハリエンジュ)の花を見ることができる。
「ニセアカシア」は通称「アカシア」と呼ばれハチミツの蜜源の花として有名。
東京にもはたと気づくとニセアカシアが自生しているが、東北と比較すると圧倒的に少ない。
岩手県和賀郡に入ったのは6月10日、ニセアカシアの花も終わりの頃で、花びらがサクラのように道路を埋めていたが、かろうじて咲き残っている樹木があったので、なんとか下の方の枝を引き寄せて香りを嗅いだ。
( ニセアカシアの花はたいてい自分の身長より高いところにあるので、かろうじて手が届く枝を引き下ろして香りを嗅ぐ。これが花ドロボーみたいで微妙ではある )
とてもニセアカシアらしい香りだった・・シトラスのようなフレッシュ感がトップにあり、ボディはパウダリックな甘い香りで、ややレトロな雰囲気に包まれていた。
フジの花の香りに似ていると言えば近いかもしれないが、フジより甘さ控えめで爽やかさやや増しといった印象・・当社は一時期、香水『アカシア』を製造し販売していたが、今は廃盤となっている。
ニセアカシアの香りを見るためにだいぶん前、秋田県小坂町という町に調査に行ったことがあるが、夕暮れ時、ホテル一帯がニセアカシアの香りに包まれていた記憶が蘇った。
( ニセアカシアは街路樹としても美しい物語性を感じさせる樹木だが、旺盛な繁殖力のため日本の在来植物を脅かす傾向があるとか・・ )

(2023-06-21)
( 山道の脇で咲き乱れていたマーガレット、その臭さは本物だった、山は生き物を強くする )カモミールの香り
だいぶん前の話ですが、岐阜県にカモミール(カミツレ)を見に行ったことがあります。
日本では珍しいカモミールの広大な畑があるのだ。
遠くから畑に近づいていくと風の中に混じるカモミールの香りの妖艶なこと!すばらしい体験だった。
しかし、カモミールは肥料を大食いするハーブらしくパワーを与えるには「鶏糞がいい」と栽培農家さんはおしゃっていた。
実際、畑には大量の鶏糞が投下されていた。
だから畑まで来るとカモミールの香りの妖艶さにプラスして鶏糞の香りの妖艶さが共存して、なんというかカオスな雰囲気だった。
花の香りと糞尿の香り
これはバラにも言えることで、美しい凛とした立派な花を咲かせるためには肥料として馬糞や牛糞がよいらしい。
世界的なローズナーセリーとして有名な千葉県の京成バラ園さんは、なぜそこにあるかといえば、ナーセリー開業当初、周辺一帯には馬を飼っている農家さんが点在しており、馬糞の調達が容易だったためと聞いた。
「あの美しいバラも糞尿あっての美しさ」と妙に納得する話ではないか。
カモミールの香りに戻るが、糞尿肥料を与えなくともカモミールの花にはもともと微妙に糞尿の香りが含まれている。
行きすぎるとたんに糞尿臭だが、微妙に香るから魅力的だ。
幻滅しないでほしい、香り高い花には糞尿臭はけっこう混ざっているもの、たとえば、香りの女王と評されるジャスミンにも糞尿臭のインドールやスカトールが含まれる。
(だから、香水にもインドールやスカトールを微量入れることがある、ちなみに香水に使うそれらは糞尿由来ではないので安心してほしい)
マーガレットのニオイ
これは岐阜県にカモミールを見に行く数日前の話。
自宅近く歩いていると道端で自生しているマーガレットを見て「カモミールに似ている」と思った。
そのころはまだ香水の勉強もまったく不足しているころで、マーガレットの花を見て形状から「カモミール拡大版の花」に見えた。
で、もしや「香りも似ている?」とススっと近づき鼻を寄せると
クサ!
と心中叫んだ。
植物の場合、花の形状は似ていても香りは無関係という法則を学んだのである。
それ以降、マーガレットが咲いていても香りをかぐことはあまりしなくなった。
山のマーガレットのニオイ
今回、岩手県・仙台・山形を旅行してきた。
一番の目的は私用だったが、ついでに香りものを求めて現地の山野をさまよい花や植物の香りを確かめ、ウイスキー蒸留所を回った。
今日の記事は岩手県和賀郡という山間部にある温泉地での話。
最寄りの駅は「JRほっとゆだ」。宿の近くを散策して見つけたのがマーガレットだった。
あたり一面を埋め尽くすばかりの咲きっぷり、元気だ。
あの臭さは健在か?とそっと鼻を近づけると
クサ~~!
ニオイは東京のマーガレットよりかなりパワフルだ。
やはり山は生き物を強く元気にしてくれるのだろう。
ニセアカシアの香り
毎年5月~6月初旬にかけて東北から北海道では自生しているニセアカシア(ハリエンジュ)の花を見ることができる。
「ニセアカシア」は通称「アカシア」と呼ばれハチミツの蜜源の花として有名。
東京にもはたと気づくとニセアカシアが自生しているが、東北と比較すると圧倒的に少ない。
岩手県和賀郡に入ったのは6月10日、ニセアカシアの花も終わりの頃で、花びらがサクラのように道路を埋めていたが、かろうじて咲き残っている樹木があったので、なんとか下の方の枝を引き寄せて香りを嗅いだ。
( ニセアカシアの花はたいてい自分の身長より高いところにあるので、かろうじて手が届く枝を引き下ろして香りを嗅ぐ。これが花ドロボーみたいで微妙ではある )とてもニセアカシアらしい香りだった・・シトラスのようなフレッシュ感がトップにあり、ボディはパウダリックな甘い香りで、ややレトロな雰囲気に包まれていた。
フジの花の香りに似ていると言えば近いかもしれないが、フジより甘さ控えめで爽やかさやや増しといった印象・・当社は一時期、香水『アカシア』を製造し販売していたが、今は廃盤となっている。
ニセアカシアの香りを見るためにだいぶん前、秋田県小坂町という町に調査に行ったことがあるが、夕暮れ時、ホテル一帯がニセアカシアの香りに包まれていた記憶が蘇った。
( ニセアカシアは街路樹としても美しい物語性を感じさせる樹木だが、旺盛な繁殖力のため日本の在来植物を脅かす傾向があるとか・・ )
(2023-06-21)
( 香水工場の )
香る生活
体験!ウイスキーの香り(宮城峡蒸留所)
香水ブログなのにウイスキーの香りの話 (2023/06/20)
( ウイスキーの蒸留装置。香水の原料である精油を蒸留する装置もほぼ同じ形状。ウイスキーと香水は共通性が高い )
WHO(世界保健機関)がお酒を発ガン性物質の最悪グループ『GROUP1』に入れて以来、お酒はなるべく止めようと思っているが、なかなか。
現在の若い世代は世界的に「お酒離れ」「脱アルコール」だとか。
これからの社会では飲まないことが普通になっていく予感ですが、一方でお酒は文化だし、極端な考え方ですが、お酒は神事の領域。
少なめになるでしょうが、なくなることはないでしょう。
というわけでお酒を止めたいのにお酒を愛する国分が宮城峡蒸留所(みやぎきょう じょうりゅうじょ)を見学してきたので香りレポートをお届けしよう。
今回は取材でなく完全に一観光客として行きました。
サントリーさんもそうですが、お酒のメーカーさんは一般消費者を観光客としてもてなす傾向があるようですね、ありがたい。
私の中ではお酒には2種類あって一方が「酔うためのお酒」、もう一方が「味わうためのお酒」。
「酔うためのお酒」の私的ランキングのトップはウォッカで、「味わうためのお酒」の私的トップがウイスキー。
(ちなみに私が日常的によく飲むお酒は日本酒)
ウォッカは味や香り、風味を極限まで取り除いたお酒。
味がないことが特徴なのになぜだか旨い。
(飲むと何らかの幸福系の脳内物質がでている感じ、ドーパミンとか?)
ウォッカの飲み方は(真のウォッカファンでないので自信はないが)口に含んだらワインのように舌の上で転がさずに胃袋に直行、そのまま流し込む飲み方が主流。
一方、ウイスキーは口に含んだ際の香りが実に楽しい、口の中で一瞬余韻を楽しんだ後に流し込んでいく。
味覚において風味と香りはなぜだか一体化しており、「風味=香り」と考えてよい。
ウイスキーの香りは木製樽のエッセンスが40度のアルコールに時間をかけて溶け出したもの。
それがこんな奇跡を生むのか・・と驚く。
Youtubeなどでもウイスキーを語る人は多いが、その表現はかなり大げさである。たとえば・・
とか
いや~香りの表現が劇的・大げさ、一種のエンタメであり演出だろうが、それだけウイスキーの香りには語りたくなる魅力があるのだろう。
ウイスキーは香水と同じ香りの製品だ。
下の写真は宮城峡蒸留所のビジターセンター内にあるディスプレイ。
香りのカテゴリーが展示してあった。
タイトルは『Whisky Flavour』(ウイスキーの風味)。
( ウイスキーに「『焼きたてパン』とか『花束』のような香り、本当にする?」と突っ込まないでほしい、多少大げさに言わないと伝わらないのだ・・ )
写真に見える香りの種類をピックアップすると・・
凄いでしょ?
木材エッセンスとアルコールとの化学反応から生み出される風味は、当然基本「ウッディ」だろうし、原料のモルトなど焙煎するので「スモーキー」ってのも納得だが、「フローラル」や「バニラ」「ハチミツ」などは予想外の話と思いませんか?
香水の香り表現に負けない多彩さに驚く。
( 見学ツアー最後はウイスキーのテイスティング・・味わい深いツアーでした )
工場見学ツアーにはビデオ放映もあって、そこでブレンダーさんのインタビューがあったが興味深く拝見した。
ブレンダーとは文字通りウイスキーをブレンドする人。
香水でいったら調香師(パフューマー)に相当する。
ウイスキーの製造では同じ原料を使用したとしても、原料の生産年度や産地や焙煎具合や醸造タイミング、樽の種類、樽の新旧などで細かく違った原酒がうまれるので、蒸留釜ごと、さらに言えば樽ごとに違う味のウイスキーが生まれている。
ブレンダーの役割は、商品の味にブレが発生しないよう複数種類のウイスキーをブレンドすることで毎回安定した味わいの商品を作り出すことと、新作やテーマごとのブレンドを生み出すことなど。
それぞれの原酒の香りを日常的にチェックし記憶してクライアントや市場が求める香りを創り出す仕事である。
宮城峡のブレンダーは日に100種類のウイスキーをスメリングすると話されていた。
それぞれの原酒の香りを記憶し、これとこれを混ぜたらこんな味になるという空想をしながらスメリングされているのだろう・・香水の調香師とまったくおなじじゃないか。
パフューマーは嗅覚が冴える早朝に調香する人が多いが、ブレンダーたちもスメリングは朝されるのではなかろうか?と空想した。

お客様コメント:
宮城峡蒸溜所
・コメント:
6/2013:00からの見学コースで参加しました。
その日の宮城峡蒸溜所はとっても良い天気でしたね。
香りが好きな私ですが、ウイスキーについては全く知らないので見学は楽しいことばかり?
ブレンダーの佐久間さんの話がとっても興味深く、香りの世界というのは奥深いなぁ~などと思ってビデオを見ていました。
日本酒と違って(古酒もありますが)10年以上先を見通して造るウイスキーの世界にすっかり魅了されました。
香りを紐解くのが好きな私は香道が好きなのですが、ウイスキーの香りにも興味が湧き、無料だけでは足りず有料の試飲コーナーへ。
佐久間さんの様に鼻の手前や奥、そして左右という風に感じる事は出来ませんでしたが、ピュアモルト竹鶴17年は美味しかったです。
・・ゆき
(国分) 今年の「6/20」ですか?すぐ近い日で同じコースに行ったようです。無料試飲だけで酔いそうでしたので有料コーナーはムリでした。「10年以上先を見通」すビジネスモデルに私も感心しました
(2023-06-20)
( ウイスキーの蒸留装置。香水の原料である精油を蒸留する装置もほぼ同じ形状。ウイスキーと香水は共通性が高い )お酒は、たぶん生き残る
WHO(世界保健機関)がお酒を発ガン性物質の最悪グループ『GROUP1』に入れて以来、お酒はなるべく止めようと思っているが、なかなか。
現在の若い世代は世界的に「お酒離れ」「脱アルコール」だとか。
これからの社会では飲まないことが普通になっていく予感ですが、一方でお酒は文化だし、極端な考え方ですが、お酒は神事の領域。
少なめになるでしょうが、なくなることはないでしょう。
というわけでお酒を止めたいのにお酒を愛する国分が宮城峡蒸留所(みやぎきょう じょうりゅうじょ)を見学してきたので香りレポートをお届けしよう。
今回は取材でなく完全に一観光客として行きました。
サントリーさんもそうですが、お酒のメーカーさんは一般消費者を観光客としてもてなす傾向があるようですね、ありがたい。
香りのお酒、ウイスキー
私の中ではお酒には2種類あって一方が「酔うためのお酒」、もう一方が「味わうためのお酒」。
「酔うためのお酒」の私的ランキングのトップはウォッカで、「味わうためのお酒」の私的トップがウイスキー。
(ちなみに私が日常的によく飲むお酒は日本酒)
ウォッカは味や香り、風味を極限まで取り除いたお酒。
味がないことが特徴なのになぜだか旨い。
(飲むと何らかの幸福系の脳内物質がでている感じ、ドーパミンとか?)
ウォッカの飲み方は(真のウォッカファンでないので自信はないが)口に含んだらワインのように舌の上で転がさずに胃袋に直行、そのまま流し込む飲み方が主流。
一方、ウイスキーは口に含んだ際の香りが実に楽しい、口の中で一瞬余韻を楽しんだ後に流し込んでいく。
味覚において風味と香りはなぜだか一体化しており、「風味=香り」と考えてよい。
ウイスキーの香りは木製樽のエッセンスが40度のアルコールに時間をかけて溶け出したもの。
それがこんな奇跡を生むのか・・と驚く。
香りの語り方が大げさではあるが・・
Youtubeなどでもウイスキーを語る人は多いが、その表現はかなり大げさである。たとえば・・
フルーティでバニラを思わせるふくよかさ
とか
口の中に広がるオレンジのフレッシュ感、華やかなフローラルが花開く・・
いや~香りの表現が劇的・大げさ、一種のエンタメであり演出だろうが、それだけウイスキーの香りには語りたくなる魅力があるのだろう。
ウイスキーは香水と同じ香りの製品だ。
ウイスキーの香り分類
下の写真は宮城峡蒸留所のビジターセンター内にあるディスプレイ。
香りのカテゴリーが展示してあった。
タイトルは『Whisky Flavour』(ウイスキーの風味)。
( ウイスキーに「『焼きたてパン』とか『花束』のような香り、本当にする?」と突っ込まないでほしい、多少大げさに言わないと伝わらないのだ・・ )写真に見える香りの種類をピックアップすると・・
Baked toasts(焼きたてパン)
Banquet(花束)
Caramels(キャラメル)
Creal(穀物)
Cream(クリーム)
Floral(フローラル)
Fruity(フルーティ)
Green(グリーン)
Honey(ハチミツ)
Oily(オイリー)
Raisins(レーズン)
Seaweed(海藻)
Smoked(燻製された)
Smoky(煙っぽい)
Sweet(甘い)
Vanilla(バニラ)
Woody(ウッディ)
凄いでしょ?
木材エッセンスとアルコールとの化学反応から生み出される風味は、当然基本「ウッディ」だろうし、原料のモルトなど焙煎するので「スモーキー」ってのも納得だが、「フローラル」や「バニラ」「ハチミツ」などは予想外の話と思いませんか?
香水の香り表現に負けない多彩さに驚く。
( 見学ツアー最後はウイスキーのテイスティング・・味わい深いツアーでした )ブレンダーは日に100種類スメリングする
工場見学ツアーにはビデオ放映もあって、そこでブレンダーさんのインタビューがあったが興味深く拝見した。
ブレンダーとは文字通りウイスキーをブレンドする人。
香水でいったら調香師(パフューマー)に相当する。
ウイスキーの製造では同じ原料を使用したとしても、原料の生産年度や産地や焙煎具合や醸造タイミング、樽の種類、樽の新旧などで細かく違った原酒がうまれるので、蒸留釜ごと、さらに言えば樽ごとに違う味のウイスキーが生まれている。
ブレンダーの役割は、商品の味にブレが発生しないよう複数種類のウイスキーをブレンドすることで毎回安定した味わいの商品を作り出すことと、新作やテーマごとのブレンドを生み出すことなど。
それぞれの原酒の香りを日常的にチェックし記憶してクライアントや市場が求める香りを創り出す仕事である。
宮城峡のブレンダーは日に100種類のウイスキーをスメリングすると話されていた。
それぞれの原酒の香りを記憶し、これとこれを混ぜたらこんな味になるという空想をしながらスメリングされているのだろう・・香水の調香師とまったくおなじじゃないか。
パフューマーは嗅覚が冴える早朝に調香する人が多いが、ブレンダーたちもスメリングは朝されるのではなかろうか?と空想した。

お客様コメント:
宮城峡蒸溜所
・コメント:
6/2013:00からの見学コースで参加しました。
その日の宮城峡蒸溜所はとっても良い天気でしたね。
香りが好きな私ですが、ウイスキーについては全く知らないので見学は楽しいことばかり?
ブレンダーの佐久間さんの話がとっても興味深く、香りの世界というのは奥深いなぁ~などと思ってビデオを見ていました。
日本酒と違って(古酒もありますが)10年以上先を見通して造るウイスキーの世界にすっかり魅了されました。
香りを紐解くのが好きな私は香道が好きなのですが、ウイスキーの香りにも興味が湧き、無料だけでは足りず有料の試飲コーナーへ。
佐久間さんの様に鼻の手前や奥、そして左右という風に感じる事は出来ませんでしたが、ピュアモルト竹鶴17年は美味しかったです。
・・ゆき
(国分) 今年の「6/20」ですか?すぐ近い日で同じコースに行ったようです。無料試飲だけで酔いそうでしたので有料コーナーはムリでした。「10年以上先を見通」すビジネスモデルに私も感心しました
(2023-06-20)
( 香水工場の )
香る生活
琥珀色の香水・・香水の色が次第に濃くなる話
琥珀色になったら使えないの?使えるの?・・ (2023/06/19)
( 写真は当社のとある製品、ウイスキーみたいな琥珀色。この香水は最初から琥珀色で、この色の主な原因は天然香料のオレンジフラワー )
当社では多種多様な香水製品を制作している。
それらの香水は色で言えば、透明からレモン色、黄色、茶色に近い色といった色彩がある。
これらの色の違いは原料、つまり香料に起因する。
天然香料で一番使用する植物の「精油」は、透明も多いが、レモン色~黄色も多い。
もう一つの天然香料で「アブソリュート」と呼ばれる香料は濃い黄色から茶色いものが多い。
当社が使用するアブソリュートにはキンモクセイやジャスミン、オレンジフラワーなどがある。
濃い色の香料も香水にする際、エタノール(透明)に溶かすので薄まってレモン色や黄色になるものが多い。
市販の香水には液体がピンク色やブルーのものがある。
これらのカラー香水の多くは人工的に着色されたもの。
ピンク色やブルー色の香水に不自然さを感じる消費者が増えてきたため近年ではこの種のカラー香水は減少もしくは絶滅傾向にある。
(よかった・・)
ちなみにブルーやピンクに着色された香水は半年~一年ほどで "色落ち" するものが多い。
私はウイスキーが好きなんですが、ウイスキーがなぜあんな琥珀色なのかといえば樽(たる)に原因がある。
木材のエキスが溶けるから。
ウイスキーの原料にはモルト(大麦麦芽)やグレーン(トウモロコシや小麦など)などがある。
どちらも蒸留時点ではおおむね透明、これらが楢の木(オーク)などの樽に何年か寝かせられて琥珀色へと変化していく。
下の写真はニッカウヰスキー宮城峡蒸留所(みやぎきょう じょうりゅうじょ)で撮影したもの(先週見学してきました)。
ウイスキーの色の変化が、現物なのかレプリカなのか不明でしたが、わかりやすく展示されていたので撮影させてもらった。
(左)蒸留したての原酒は透明 → (中)5年経過 → (右)12年経過、だいぶん琥珀色に、そして量も減っている(年2%の割合で減るそうだ)
( この蒸留所さんは見学ツアーを開催し無料で観光客を受け入れてくれる。場所は仙台駅から列車で1時間程度の山中、広瀬川の霧深い源流エリアに佇む工場、ウイスキーファンには聖地といってもよいだろう。香水に関心ある方はウイスキーの香りにもおそらく心惹かれるに違いない、おすすめしたい香りの勉強スポット )
余談だが、ウイスキーには世界的にカラメルを混ぜて色調調整された製品も多いと聞く、そして、それはルール違反ではない。
なのでウイスキーの琥珀色が100%ウイスキー由来かどうかわかりにくい。
ところで、ウイスキーの琥珀色はボトリングされた後も時間とともに濃くなるものが多い、なぜだろう?
一説にはボトリングしたウイスキーにはおだやかなアルコールの揮発が続いており中身が濃くなり色彩も琥珀度を増すという説。
香水も実はおだやかなアルコール揮発は発生しておりこの説には体感的にありうると思う。
しかし、色が濃くなるためには相当量のアルコール揮発が必要でウイスキーの液面低下が目に見えてわかるはずである。
だが、私の場合、すぐに飲んでしまうので「液面が下がった」という経験が今ひとつ不足している。
あとは、やはり木材成分のおだやかな酸化もあるのでは?という仮説を立てている(まだ検証はできていないが、まずは間違いないと信じている)。
酸化すれば多くの物質・成分ともに黄色が濃くなり茶色に近づく傾向がある。
香水はウイスキーの琥珀色と似て時間とともに濃くなる傾向がある。
理由はウイスキーと同じではなかろうか、つまりアルコールの揮発と香料の酸化の影響では?
酸化といえば、食用オイルのように色が濃くなり(茶色に近づく)風味が落ちる、つまり品質が劣化するケースが多いが、そうでない酸化もある。
たとえば、紅茶。
紅茶は緑茶の茶葉を酸化させることで製造される。紅茶の風味は香ばしい。
たとえば、やや酸化したワイン。
酸化しすぎると風味は失われるが、やや酸化したワインをお好きなワインファンは多い。
ワイングラスに注いだ赤ワインをグルグル回す人は多いが、あれは酸化を促しているんですよね。
ウイスキーの場合、琥珀色の濃さは熟成の証(あかし)でまろやかさが増すケースが多い。
この熟成の一部は酸化が進んだ結果である、だから酸化はなんでもかんでも全部ダメというわけではない。
香水もウイスキー同様、色が濃くなっても香りに異様な変化をきたすことはあまりなく楽しめるものが多いと思う。
とはいえ製品によっていろいろなので一般化できない。
私個人の感想は・・琥珀色になった香水は、やはりフレッシュさは飛んでいる印象は受けるが、逆に熟成度が増して魅力に感じるものもある。
当社のお客様に数十年前の有名な欧米ブランド香水を「熟成○○年」とおっしゃって楽しんでいる方もおられるので、いろいろである。
簡単である、透明のエタノールを継ぎ足せば色は薄くなる。
香りが「芳醇すぎる」と感じていた方には、色彩も薄くなるし、香りも付けやすくなる。
香りのフレッシュさは理論的には戻しようがないが、不思議なことに色が戻ると香りのフレッシュさまで戻った気がする。
ヒトの嗅覚能力は進化の過程で「退化」し、今ではほ乳類最下位。
そんな人類の香りの感性は、気分やイメージによって大きく影響を受けたやすく "揺らぐ" ようだ。
香水の琥珀色が増した場合、問題となることは香りの実際の変化よりも心理的な印象の違いの方が大きいと感じている。
経験則からの話だが、香水の色が変わると香りまで変わったと感じる人の方が圧倒的に多い。
その場合、悪い香りになったという人が100%、私の知る範囲全員が悪いイメージを抱く。
「香りは変わっていないのに・・」と思ってどう言葉を尽くしても納得してもらえない。
ついでに言えば、中身が同じで香水ボトルのラベルが変わっても「香りが変わった」という人の方が圧倒的に多いようだ。
香りはイメージ次第、気持ち次第という部分はたしかにある。

(2023-06-19)
( 写真は当社のとある製品、ウイスキーみたいな琥珀色。この香水は最初から琥珀色で、この色の主な原因は天然香料のオレンジフラワー )そもそも香水は透明? 色つき?
当社では多種多様な香水製品を制作している。
それらの香水は色で言えば、透明からレモン色、黄色、茶色に近い色といった色彩がある。
これらの色の違いは原料、つまり香料に起因する。
香料はもともと黄色系が多い
天然香料で一番使用する植物の「精油」は、透明も多いが、レモン色~黄色も多い。
もう一つの天然香料で「アブソリュート」と呼ばれる香料は濃い黄色から茶色いものが多い。
当社が使用するアブソリュートにはキンモクセイやジャスミン、オレンジフラワーなどがある。
濃い色の香料も香水にする際、エタノール(透明)に溶かすので薄まってレモン色や黄色になるものが多い。
ブルーやピンクの香水は着色によるもの
市販の香水には液体がピンク色やブルーのものがある。
これらのカラー香水の多くは人工的に着色されたもの。
ピンク色やブルー色の香水に不自然さを感じる消費者が増えてきたため近年ではこの種のカラー香水は減少もしくは絶滅傾向にある。
(よかった・・)
ちなみにブルーやピンクに着色された香水は半年~一年ほどで "色落ち" するものが多い。
ウイスキーはなぜ琥珀色?
私はウイスキーが好きなんですが、ウイスキーがなぜあんな琥珀色なのかといえば樽(たる)に原因がある。
木材のエキスが溶けるから。
ウイスキーの原料にはモルト(大麦麦芽)やグレーン(トウモロコシや小麦など)などがある。
どちらも蒸留時点ではおおむね透明、これらが楢の木(オーク)などの樽に何年か寝かせられて琥珀色へと変化していく。
下の写真はニッカウヰスキー宮城峡蒸留所(みやぎきょう じょうりゅうじょ)で撮影したもの(先週見学してきました)。
ウイスキーの色の変化が、現物なのかレプリカなのか不明でしたが、わかりやすく展示されていたので撮影させてもらった。
(左)蒸留したての原酒は透明 → (中)5年経過 → (右)12年経過、だいぶん琥珀色に、そして量も減っている(年2%の割合で減るそうだ)
( この蒸留所さんは見学ツアーを開催し無料で観光客を受け入れてくれる。場所は仙台駅から列車で1時間程度の山中、広瀬川の霧深い源流エリアに佇む工場、ウイスキーファンには聖地といってもよいだろう。香水に関心ある方はウイスキーの香りにもおそらく心惹かれるに違いない、おすすめしたい香りの勉強スポット )余談だが、ウイスキーには世界的にカラメルを混ぜて色調調整された製品も多いと聞く、そして、それはルール違反ではない。
なのでウイスキーの琥珀色が100%ウイスキー由来かどうかわかりにくい。
ウイスキーは時間とともに濃くなる
ところで、ウイスキーの琥珀色はボトリングされた後も時間とともに濃くなるものが多い、なぜだろう?
一説にはボトリングしたウイスキーにはおだやかなアルコールの揮発が続いており中身が濃くなり色彩も琥珀度を増すという説。
香水も実はおだやかなアルコール揮発は発生しておりこの説には体感的にありうると思う。
しかし、色が濃くなるためには相当量のアルコール揮発が必要でウイスキーの液面低下が目に見えてわかるはずである。
だが、私の場合、すぐに飲んでしまうので「液面が下がった」という経験が今ひとつ不足している。
あとは、やはり木材成分のおだやかな酸化もあるのでは?という仮説を立てている(まだ検証はできていないが、まずは間違いないと信じている)。
酸化すれば多くの物質・成分ともに黄色が濃くなり茶色に近づく傾向がある。
香水も時間とともに濃くなる
香水はウイスキーの琥珀色と似て時間とともに濃くなる傾向がある。
理由はウイスキーと同じではなかろうか、つまりアルコールの揮発と香料の酸化の影響では?
酸化も熟成の一部?
酸化といえば、食用オイルのように色が濃くなり(茶色に近づく)風味が落ちる、つまり品質が劣化するケースが多いが、そうでない酸化もある。
たとえば、紅茶。
紅茶は緑茶の茶葉を酸化させることで製造される。紅茶の風味は香ばしい。
たとえば、やや酸化したワイン。
酸化しすぎると風味は失われるが、やや酸化したワインをお好きなワインファンは多い。
ワイングラスに注いだ赤ワインをグルグル回す人は多いが、あれは酸化を促しているんですよね。
ウイスキーの場合、琥珀色の濃さは熟成の証(あかし)でまろやかさが増すケースが多い。
この熟成の一部は酸化が進んだ結果である、だから酸化はなんでもかんでも全部ダメというわけではない。
琥珀色になった香水はどうか?
香水もウイスキー同様、色が濃くなっても香りに異様な変化をきたすことはあまりなく楽しめるものが多いと思う。
とはいえ製品によっていろいろなので一般化できない。
私個人の感想は・・琥珀色になった香水は、やはりフレッシュさは飛んでいる印象は受けるが、逆に熟成度が増して魅力に感じるものもある。
当社のお客様に数十年前の有名な欧米ブランド香水を「熟成○○年」とおっしゃって楽しんでいる方もおられるので、いろいろである。
琥珀色の香水を元に戻す方法
簡単である、透明のエタノールを継ぎ足せば色は薄くなる。
香りが「芳醇すぎる」と感じていた方には、色彩も薄くなるし、香りも付けやすくなる。
香りのフレッシュさは理論的には戻しようがないが、不思議なことに色が戻ると香りのフレッシュさまで戻った気がする。
ヒトの嗅覚能力は進化の過程で「退化」し、今ではほ乳類最下位。
そんな人類の香りの感性は、気分やイメージによって大きく影響を受けたやすく "揺らぐ" ようだ。
色が変わると香りも変わったと感じられる問題
香水の琥珀色が増した場合、問題となることは香りの実際の変化よりも心理的な印象の違いの方が大きいと感じている。
経験則からの話だが、香水の色が変わると香りまで変わったと感じる人の方が圧倒的に多い。
その場合、悪い香りになったという人が100%、私の知る範囲全員が悪いイメージを抱く。
「香りは変わっていないのに・・」と思ってどう言葉を尽くしても納得してもらえない。
ついでに言えば、中身が同じで香水ボトルのラベルが変わっても「香りが変わった」という人の方が圧倒的に多いようだ。
香りはイメージ次第、気持ち次第という部分はたしかにある。

(2023-06-19)
( 香水工場の )
香る生活
香水『黒文字の花』はいかがでしたか?
想定以上の人気だったクロモジの香り (2023/06/02)
( 2023年の『5月の贈り物』は『黒文字の花』 )
当社には恒例「5月キャンペーン」というイベントがあり毎年違う香水を『5月の贈り物』というネーミングで限定リリースする。
今年は『5月の贈り物・黒文字の花』をリリースした。
発売前の私の予想は・・
1週間~10日程度で売り切れたらハッピーと目標を掲げ、いざフタを開ければわずか3~4日で完売!
完売後も追加購入したいというご要望や問い合わせをいただいた。
お客様の期待値がかなり高かったことがうかがえるし、実際に手にしてお気に召された方も多かったようだ。
ちなみにもう一方の限定リリース『ローズの贈り物』は1ヶ月後の6月2日現在でも若干残っている。
本製品は毎回中旬くらいには確実に在庫切れになる製品で今年はやや異変気味だが、まあ、そういうこともあるだろう。
( 2023年の『ローズの贈り物』 )
(こちらも「2本まで」という本数制限をしていたが、今となってはミッション終了、すでに購入された方でまだご希望あればご購入ください)
私はこんな仕事なので立場上クロモジを知っているが、もし違う仕事をしていたらたぶん知らないと思う。
武蔵野に多いケヤキやイチョウは、姿も色彩も美しく記憶される樹木だが、クロモジの木は特徴がない上にヒョロヒョロして存在感ゼロ。
雑木林の中の藪(やぶ)にしか見えない、それだけに知っている人も少ない。
しかし『黒文字の花』をリリースしていただいたコメントやVOICEを読むと、クロモジを知っている人が予想より多いな~と感心しかり。
たとえば、
クロモジ認知度は予想以上だった。
植物の精油は天然香料の代表的なオイル。
どうやって植物から採取するのか香水業界の人間には常識だが、一般には知られていないので少し解説したい。
ズバリ「蒸留(じょうりゅう)」という方法で採取される。
蒸留以外の手法もあるのだが、今日は「蒸留法」だけ紹介。
「蒸留」と言えば、なんか加熱するイメージではないだろうか、そのとおり。
蒸留法の中でも「水蒸気蒸留法」という手法は水を加熱してターゲットを蒸す手法である。
植物の中に湯気をくぐらせると、なんとその湯気に精油が混じるという性質を利用する。
湯気は冷やすことで水にもどるが、その際精油が分離抽出される。
蒸留法は、もともとバラの精油を取り出すために現在のイランで紀元10世紀くらいに発明されたもの。
現代の石油コンビナートでの石油精製も原理的には同じ蒸留法が利用される、それほど応用範囲が広い大発明だった。
クロモジ精油も水蒸気蒸留で採取される。下は水蒸気蒸留装置のイラスト。
( 植物から精油を採る蒸留器のイラスト )
水蒸気蒸留の装置はシンプルで簡単なものなら数万円で買える。
業務用でも比較的小規模に作れるため蒸留所建設は小さな企業でも参入しやすいというメリットがある。
過去10年でクロモジ蒸留所は日本全国で増加しており、クロモジ精油は高価ながらも人気は上々とのこと。
だから、クロモジ精油から生まれるクロモジ香水も人気がある・・ということではなかろうか。
このブログは幸いなことに競合他社さんも読んでくれているので、来年あたり「クロモジ香水」がチラホラでてくるかもしれない、歓迎したい。
(競合他社の商品開発部のみなさん、ともにガンバロ~)
【関連記事】
・香水『黒文字の花』はいかがでしたか?
・クロモジ香水を作る
・5月の贈り物・黒文字の花
では今日のメイン、お役様レビューを紹介したい。
一つめは当社の「VOICE」にお寄せいただいたコメント・・
下はTwitterで見つけた『黒文字の花』のツイートの抜粋。
各ツイート主様には個別に転用許可を得ていないが公開情報なので許容範囲と判断して転載させてただいた。
しかし問題ある場合はおしらせいただければすぐに削除いたします。
香りの説明って案外難しくて「好き・嫌い」「良い香り・クサイ香り」「○○のような香り」と言えるくらいで、それ以上が説明しにくい。
しかし、上のコメント、すごいですよね~ パフューマーさんのような言い回し・・
調香師=パフューマーになるためには、単品香料のニオイを覚える地道な訓練を数年続けるが、それと同時に香りを言葉で説明するトレーニングもみっちり積む。
それだけ香りって言葉で説明しにくい、だが今時の人は軽々とパフューマーのようにコメントできることにも驚きである。
そして、この香水らしくない『黒文字の花』を好きだと感じる方の多さも香水トレンドの潮流が少し動いている印象を受けた。
最後に今回『黒文字の花』をお買い上げいただいたすべての皆様へ、ご購入いただき感謝申し上げます。
お気に召されなかった方もおられると思います、その場合はご了承ください。
お気に召された場合は、最後の一滴までお楽しみいただけることを切に祈ります。

(2023-06-02)
( 2023年の『5月の贈り物』は『黒文字の花』 )3日~4日で完売
当社には恒例「5月キャンペーン」というイベントがあり毎年違う香水を『5月の贈り物』というネーミングで限定リリースする。
今年は『5月の贈り物・黒文字の花』をリリースした。
発売前の私の予想は・・
いや~なんか渋い香りだし、かなりニッチ、売れないかも?
1週間~10日程度で売り切れたらハッピーと目標を掲げ、いざフタを開ければわずか3~4日で完売!
完売後も追加購入したいというご要望や問い合わせをいただいた。
お客様の期待値がかなり高かったことがうかがえるし、実際に手にしてお気に召された方も多かったようだ。
もう一方の『ローズの贈り物』は?
ちなみにもう一方の限定リリース『ローズの贈り物』は1ヶ月後の6月2日現在でも若干残っている。
本製品は毎回中旬くらいには確実に在庫切れになる製品で今年はやや異変気味だが、まあ、そういうこともあるだろう。
( 2023年の『ローズの贈り物』 )(こちらも「2本まで」という本数制限をしていたが、今となってはミッション終了、すでに購入された方でまだご希望あればご購入ください)
あなたはクロモジを知ってますか?
私はこんな仕事なので立場上クロモジを知っているが、もし違う仕事をしていたらたぶん知らないと思う。
武蔵野に多いケヤキやイチョウは、姿も色彩も美しく記憶される樹木だが、クロモジの木は特徴がない上にヒョロヒョロして存在感ゼロ。
雑木林の中の藪(やぶ)にしか見えない、それだけに知っている人も少ない。
しかし『黒文字の花』をリリースしていただいたコメントやVOICEを読むと、クロモジを知っている人が予想より多いな~と感心しかり。
たとえば、
・お抹茶の時、お菓子についてくるあの黒文字の香り(良い香りですよね)
・黒文字に目が無いので光速で買ってしまった
クロモジ認知度は予想以上だった。
クロモジ精油は蒸留で採取される
植物の精油は天然香料の代表的なオイル。
どうやって植物から採取するのか香水業界の人間には常識だが、一般には知られていないので少し解説したい。
ズバリ「蒸留(じょうりゅう)」という方法で採取される。
蒸留以外の手法もあるのだが、今日は「蒸留法」だけ紹介。
「蒸留」と言えば、なんか加熱するイメージではないだろうか、そのとおり。
蒸留法の中でも「水蒸気蒸留法」という手法は水を加熱してターゲットを蒸す手法である。
植物の中に湯気をくぐらせると、なんとその湯気に精油が混じるという性質を利用する。
湯気は冷やすことで水にもどるが、その際精油が分離抽出される。
蒸留法は、もともとバラの精油を取り出すために現在のイランで紀元10世紀くらいに発明されたもの。
現代の石油コンビナートでの石油精製も原理的には同じ蒸留法が利用される、それほど応用範囲が広い大発明だった。
クロモジ精油も水蒸気蒸留で採取される。下は水蒸気蒸留装置のイラスト。
( 植物から精油を採る蒸留器のイラスト )水蒸気蒸留の装置はシンプルで簡単なものなら数万円で買える。
業務用でも比較的小規模に作れるため蒸留所建設は小さな企業でも参入しやすいというメリットがある。
過去10年でクロモジ蒸留所は日本全国で増加しており、クロモジ精油は高価ながらも人気は上々とのこと。
だから、クロモジ精油から生まれるクロモジ香水も人気がある・・ということではなかろうか。
このブログは幸いなことに競合他社さんも読んでくれているので、来年あたり「クロモジ香水」がチラホラでてくるかもしれない、歓迎したい。
(競合他社の商品開発部のみなさん、ともにガンバロ~)
【関連記事】
・香水『黒文字の花』はいかがでしたか?
・クロモジ香水を作る
・5月の贈り物・黒文字の花
お客様レビュー
では今日のメイン、お役様レビューを紹介したい。
一つめは当社の「VOICE」にお寄せいただいたコメント・・
5月の贈り物『黒文字の花』、配合をみて好きそうだと思ったので2本買って大正解でした。
春の終わりと初夏の始まりを感じる爽やかさ。
菖蒲と逢魔時&三十日月と合わせて「薬草セット」と呼んでいます。
甘くなくスパイシーさもあり、引き締まりつつ落ち着く。
肌に乗せるとフローラルな感じが前面に出てきてウッディ感は少なめになりました。
甘くないスパイシーフローラルってイメージでした。
・トップ:付けた瞬間、すーっと鼻に抜ける柑橘の香り。
・ミドル:フルーティな甘さの中に新緑のみずみずしさを感じる、グリーンな香り。
・ラスト:落ち着いたウッディな香りとほのかな花の香り。
「5月の贈り物」という季節にぴったりな爽やかで清々しい香りでした。
ランドセルを背負っていた時の通学路にあった、木に囲まれた小さな神社を思い出しました。
ウッド系を集めているのですが、樹木感が全面に出ているのにここまでさわやかな香りは初めてです。
一瞬の柑橘、森、森、ちょっと丸い森!!な変化が最高でした。
到着して香りを嗅いでみたら「これ良い!」でした。
寺系の香りと、新緑系の香りが好きな方には中々ヒットする香りだと思います。
黒文字は、和菓子を食べる時に使うあれですよね。けれども香りを意識したことはなく、そもそもあまり使う機会もなく……。
ですので黒文字の匂いの記憶はないはずなのですが、嗅いだ途端「あっ、これ知っている…?」と、ときめくような懐かしさを覚えました。
雑木林に踏み入って生木の枝を折った時のような、青っぽく瑞々しい生命力にあふれた樹木の匂いです。ほのかに、爽やかな柑橘とお花の気配も。
私が「黒文字」を試した時、「菖蒲の葉」との明確な違いは何だ?と首をかしげました。
ラインナップが増えて結果的に全体的にぼやけるよりは、商品を絞り、その代わりどの香りにもボトル・ねりこの2種類を設けて頂いた方が嬉しい。
Twitterから拾ったコメント
下はTwitterで見つけた『黒文字の花』のツイートの抜粋。
各ツイート主様には個別に転用許可を得ていないが公開情報なので許容範囲と判断して転載させてただいた。
しかし問題ある場合はおしらせいただければすぐに削除いたします。
・甘くないフローラルっていいな 季節的にもすっきりした香りは良い
・なんていうかスパイシー!最初は柑橘系の香りとグリーンが主張してなんかデザートにたまにいる赤すぐりみたいw
・今までの中で一番香水っぽくないなって印象。好き。
・かっこいいフローラルウッディ
・これ好きだわぁ!私の肌ではヒバかな?ウッディーな香りが主張している
・黒文字に目が無いので光速で買ってしまった
・大本命黒文字の花…私の好きなウッディな黒文字そのものにちょっとだけ感じるフローラル…すごい好みな香り
・一瞬レモンのような爽やかさがあるストレートなウッディ
・子供の頃に山歩きした時の風の香りがしました。(素敵な香りでした)
・最初に感じるのは清々しいが青すぎないグリーン、そして爽やかだがフレッシュすぎないシトラス、やや遅れて落ち着いたウッディ
レビューに対するボクの感想
香りの説明って案外難しくて「好き・嫌い」「良い香り・クサイ香り」「○○のような香り」と言えるくらいで、それ以上が説明しにくい。
しかし、上のコメント、すごいですよね~ パフューマーさんのような言い回し・・
調香師=パフューマーになるためには、単品香料のニオイを覚える地道な訓練を数年続けるが、それと同時に香りを言葉で説明するトレーニングもみっちり積む。
それだけ香りって言葉で説明しにくい、だが今時の人は軽々とパフューマーのようにコメントできることにも驚きである。
そして、この香水らしくない『黒文字の花』を好きだと感じる方の多さも香水トレンドの潮流が少し動いている印象を受けた。
みなさまに御礼
最後に今回『黒文字の花』をお買い上げいただいたすべての皆様へ、ご購入いただき感謝申し上げます。
お気に召されなかった方もおられると思います、その場合はご了承ください。
お気に召された場合は、最後の一滴までお楽しみいただけることを切に祈ります。

(2023-06-02)
( 香水工場の )
香る生活
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(記事移転) → 移転しました
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