( 香水工場の )
香る生活
新年への抱負#1 巨大ビール工場
極度にオートメーション化された工場を見学
あっという間に年の瀬ですね。暮れに暮れて世間は年末の買い出しでなんとなくあわただしい毎日です。活気があって好きな季節です。
まだお仕事でしょうか?それとももう楽しい年末年始休暇をお過ごしでしょうか?
香水の仕事に関連して今年もいろいろ楽しい体験をさせてもらいました。今日はその一つ。ビール工場見学で受けたショックから来年への抱負を書いています。
ビール工場から香水工場の抱負とは、飛躍なんですが、どこかのマニフェストのように希望的構想を描きながら過ごしています。
先月、アサヒビール茨城工場を見学しました。
裏手を見たいお父さん達には物足りなさは言うまでもありませんが、工場に入れてもらえるだけでも感謝。
最近スーパーマーケットでビールを買うときは自然とアサヒに手が伸びがちなところを見ると、無意識にブランドロイヤルティが高まったようです。
工場を見る、そこで働いている人を知る、とはそういうことなんですね。欲を言えば現在のエンジニアや品質管理者の方と直に話せると、さらにひいきになるのですが。
さて工場見学ですが、ベルトコンベアを流れるビール瓶のスピードは「1分あたり○○本」と誇らしげな解説が印象的でした。
「飛ぶように流れていた」と表現しても誇張ではありません。一日に何万本生産できるのか検討もつきません(*1)。
工場内のその巨大エリアで動き回るスタッフは、見学ルートの窓から肉眼で観察する限りわずか2-3人。ほぼ全自動の充填システム(その工場全体で数百人働いておられるとのこと、他の人はどこに?)。
最後のラベリング・ラベル貼りも、もちろん手作業ではありません。ラベラーによる機械貼り。これも文字通り「飛ぶように」。
できあがった商品はほとんど在庫時間なし(*2)に出荷されます。
「在庫時間なしの出荷」という部分は、多くのビジネスマンがシビれる部分です。見学者が会社経営者や経営に近い人ほど垂涎の眼差しで聞いていたでしょう。
凄すぎる、の一言です。
なぜこんなことができるのか、正確で綿密な需要予測がなければ在庫として赤字の穴を掘ることは素人の私にも一目瞭然。
もしや、これがサプライチェーンなるものの技なんでしょうか。
(*1)あとで調べると生産能力は大瓶換算で年間6-7億本だそうです。毎日2百万本、1時間あたり8万本。卒倒しそうです。
(*2)正確には出荷までに数十時間の熟成時間が設けられているらしいです。ビールにも熟成時間があるんですね。香水の熟成時間は通常1週間程度です。香料が馴染むまでの時間です。
この記事は#1
#3 手仕事工場
#2 回り続ける輪転機
#1 巨大ビール工場
(2009-12-28)
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香る生活
10年前の「2000年問題」大晦日
もうすぐ2010年ですね。ちょうど10年前「2000年問題」という大騒ぎがありました。
コンピュータに組み込まれたプログラムが2ケタしか対応しておらず2000年で4ケタになった瞬間に多くのコンピュータで誤動作が生じ社会機能(鉄道や電気などのインフラ、銀行証券のオンラインシステム)が麻痺するのではないかというパニック予測でした。
中には誤作動で核ミサイルが発射されるかもといいながら「2000年問題対応家電製品」を訪問販売している業者もいました。
近所のおばあさんは2000年1月1日から電話が使えなくなるといわれ、「2000年対応電話機」を購入していました。
しかし、フタを開けてみれば年は平穏に明け2000年を迎えました。
当時ベンチャー企業で働いていた私は、自分たちが2年間築き上げてきた会社が崩壊するのではないかと大晦日の夜まで会社に残っていました。
しかし、別にすることもなくもどかしい時間を過ごしました。
会社で迎える2000年のカウントダウン。西新宿周辺は深夜でも人通りは絶えず穏やかな夜でした。
最近の記憶と感じていましたがあれからちょうど10年。早いもんです。
(2009-12-28)
コンピュータに組み込まれたプログラムが2ケタしか対応しておらず2000年で4ケタになった瞬間に多くのコンピュータで誤動作が生じ社会機能(鉄道や電気などのインフラ、銀行証券のオンラインシステム)が麻痺するのではないかというパニック予測でした。
中には誤作動で核ミサイルが発射されるかもといいながら「2000年問題対応家電製品」を訪問販売している業者もいました。
近所のおばあさんは2000年1月1日から電話が使えなくなるといわれ、「2000年対応電話機」を購入していました。
しかし、フタを開けてみれば年は平穏に明け2000年を迎えました。
当時ベンチャー企業で働いていた私は、自分たちが2年間築き上げてきた会社が崩壊するのではないかと大晦日の夜まで会社に残っていました。
しかし、別にすることもなくもどかしい時間を過ごしました。
会社で迎える2000年のカウントダウン。西新宿周辺は深夜でも人通りは絶えず穏やかな夜でした。
最近の記憶と感じていましたがあれからちょうど10年。早いもんです。
(2009-12-28)
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香る生活
男性と香水#7 幕末、男達の香水
フランスの王たちに愛された香水
香水の本場、フランスでの話。ヴェルサイユ宮殿を建造したルイ14世は、いろいろと有名なお方ですが、香水好きで香水史に名前が刻まれました。
この国の権力者は、だいたい筋金入りの香り好きです。
香水史に残る有名どころは、ルイ14世、ルイ15世、ポンパドゥール夫人、マリー・アントワネット、そしてナポレオンときます。
ナポレオンのコロン
オーデコロンといえばナポレオンですよね。シトラス系のコロンを浴びるように愛用していたと伝えられています。
皇帝ナポレオンに愛されたケルンの街のフレグランスは、こうして"オーデコロン"(フランス語で「ケルンの水」の意味)というネーミングで香水の一ジャンルまでのし上がる結果となりました。
ここでも男&香水の深い関係がわかります。
幕末のおしゃれ有名人・坂本竜馬
そして、香水に関して日本でも歴史に残る有名人がいました。
司馬遼太郎氏の『竜馬がゆく』には、坂本竜馬が香水を買い求め姉や妻のおもやげにしただけでなく、自分で使っていたことが描かれています。
司馬さんが、どこからネタを仕入れたかわかりません。
だから、信憑性は確認できませんが、新し物好きでブーツを履いて、着物にピストルを忍ばせていたという伝説のヒーローだけに「香水を付けていた」と言われてもありうる話に聞こえます。
映画やテレビドラマではバンカラに描かれがちな竜馬ですが、実際はおしゃれで洗練された人物だったようです。
土方歳三の香水伝説
さらに私の取引先の社長は、竜馬だけでなく、俗に「鬼の副長」と呼ばれた新撰組、土方歳三も香水を付けていたと主張しておりました。
なんでも函館五稜郭へと転戦する際、土方たちはフランス軍の支援を受けており、軍人として洗練されていた土方を気に入ったフランスの司令官が土方に香水をプレゼントしたというのが彼の意見でした。
ネタの出所を聞きましたが、江戸時代から続く彼の家系で言い伝えられている話らしく、要領を得ませんでした。竜馬の話以上の空想も混じっていそうです。
しかし、土方歳三のダンディな写真写りを見るにつけ、香水を付けていても何ら違和感がないところがまた「あり得る話」と酒のサカナになったりします。
この記事は#7
#7 幕末、男達の香水
#6 権力者たちが愛した香り
#5 性別がなくなる香水
#3 検索総数が示す「香水&男」
#2 顧客の男女比
#1 男と女の感性の違い
(2009-12-19)
( 香水工場の )
香る生活
男性と香水#6 権力者たちが愛した香り
ヤマト・ドライバーさんの残り香
こうやって見てくると男性の香水への関心と嗜好の変化が読みとれます。
当社には毎日、ヤマト運輸のドライバーさんが荷物の集荷に来てくれています。
ヤマト運輸では地区ごとに担当のドライバーさんがいますが、毎日同じドライバーさんが来るわけでなく4、5人のチームでその日ごとに違うドライバーさんです。
ドライバーさんの中には若いドライバーさんもいますが、彼が集荷に来た日は香水の残り香が感じられます。センスがあるなかなかスマートな付け方です。
彼は香水に慣れていそうな?(その話題に触れたことはないので本当のところは不明ですが)。
若い男性世代には、もはや香水は、特別なものではないようです。
「時代は変わった」
と感慨深いでしょうか?
男はもともと香りに関心あり
でも、案外そうではないのです。歴史を見れば、男達は香りに昔から関心がありました。
香木系の白檀や沈香、伽羅などは男達が愛してやまない香りです。平安時代も鎌倉室町の時代も、貴族も武士も香り物には高いカネをだしていました。
蘭奢待を切り取る日本の権力者達
正倉院に収められている「蘭奢待」(らんじゃたい)は、中国より伝えられた沈香という香木です。
この香木を求めて足利義満、足利義政、織田信長、そして最近では明治天皇がその一部を切り取りになられたことが記録されています。
それどころか、切り口の数から、50人くらいの人間がこの国宝級宝物の一部を切り取ったことが判明しています。
その人々は、すべてその時の権力者だったと思われます。そのほぼすべてが男性だったでしょう。
蘭奢待を切り取る行為は、必ずしも「香りが好きで好きでたまらなかった」ことが理由ではないのですが、香木、つまり高貴な"香り物"を愛する心が潜在的にあることを象徴していると思います。
この記事は#6
#7 幕末、男達の香水
#6 権力者たちが愛した香り
#5 性別がなくなる香水
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#2 顧客の男女比
#1 男と女の感性の違い
(2009-12-19)
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香る生活
男性と香水#5 性別がなくなる香水
「フォー・メン」でも気にしない女性
当社の香水「月桃」は、珍しく「フォー・ウイミン」「フォー・メン」と男女に分けられた商品です。このどちらが人気だと思いますか?
女性客が圧倒的に多い当社ではネーミングの通り、ミニボトルのご注文は、8割以上が「ウイミン」です。しかし、フルボトルでは「メン」が「ウイミン」の倍近く売れています。
商品名やラベルが「フォー・メン」でも、現代女性には何ら問題はなさそうです。すでに以前から女性が男性用の香水を抵抗なく使う現象は指摘されていることです。
男性顧客に人気のフローラルな香り
当社製品で、男性に人気がある商品は・・・?
「金木犀」「サンダルウッド」「樹海」「柑橘系」「菖蒲」「碧海」などです。
しかし、それらに集中しているかと言えば、まったくそうでなく、総じてバラけています。
フローラルで女性に好まれそうな甘美な香りも、男性に人気です。
男性客にフローラルな香水が売れていく様子は、もはや今までの香水の性別図式が当てはまらないことを物語ります。
香水性別図式
今までの"香水の性別定義"によれば「男の香水」と言えば、いちおう下記のような感じでした:
・「メンズ = シプレー」
・「メンズ = フゼア」
・「メンズ = タバック」
・「メンズ = レザー」
・「メンズ = シトラス」
・「メンズ = ウッディ」
「タバック(葉巻の香り)」「レザー(皮革の香り)」は今でも男性のみに好まれがちな香りです。
しかし、それ以外は、すべて女性もOK、女性に人気のカテゴリーになっていることにも気づかされます。
香水の性別が無意味化しはじめている
昔、香水といえば甘く粉っぽいイメージがありました。
しかし、現代の女性は甘いフローラルから、以前なら男性用と考えられていたシトラス系、ウッディ系、マリン系、アニマル系、シプレー系も軽々使いこなします。
そなんです、軽々、"何でも来い"状態なんです。
要は「草食系男子」「オヤジギャル」という流行語が示すとおり、香水分野でも果てしないすべてのカテゴリーでユニセックス化が進行中のようです。
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#6 権力者たちが愛した香り
#5 性別がなくなる香水
#3 検索総数が示す「香水&男」
#2 顧客の男女比
#1 男女の感性の違い
(2009-12-15)
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