( 香水工場の )
香る生活
バズった『ピーチ』の顛末
バズると小企業は機能不全となりやすい (2024/08/14)
( ピーチの香水を捜している方は案外多い )
今日は当社香水『ピーチ』のバズリについて。「バズる」とはインターネットである事柄が短期間かつ集中的に多くの人々の注目を集める現象。
インターネットでは誰もが発信者になれるので話題になった際のネット内でのうねりは巨大になる。
先月の7月、当社ピーチが複数のインフルエンサーさんによって取り上げられた。「ピーチ香水ランキング」のようなツイートだったようです(私自身は確認していない)。
広告費を投下してバズリを意図的に仕掛ける企業さんもあるが、当社は金銭がからむマーケティングはほぼやらないので今回は完全に偶然の産物。
7月10日、朝出勤すると「やけに『ピーチ』売れてるな~」という不穏な気配からはじまり「何が起きてるんだ?」と怪しんでいる間に、あれよあれよと、ピーチ4mLが在庫切れに陥った。
ピーチ4mLがなくなると今度はピーチ25mLが売れはじめ、こちらも翌日に在庫切れ・・こういう状態をマスコミは「嬉しい悲鳴」と報道しがちだが中小企業の場合そうでもないんです。
ピーチ4mLは入荷予定がたまたま数日後だったので「販売再開 7月16日」とアナウンスした。
アナウンスすることで入荷を待ってくれる人もいるし、バズリは熱しやすく冷めやすいので、再入荷までの数日が冷却期間となり購入意欲を失う人も多いだろうとそのときは軽く考えていた。
数日後ピーチ400本が入荷し販売を開始したらこれまた翌日午前中までに完売した。
読者のみなさんは入荷本数が「たった400本なの?」と驚くでしょう。
香水といえども工業製品、生産数量の桁が違うのでは?と思われても仕方ないが、当社のビジネス規模は恥ずかしながらこの程度なんです。
当社ピーチ4mLの場合、400本単位で生産しその400本を通常3~5ヶ月で売り切るサイクル。しかし今回のバズリではこの400本が1日ともたなかった。
緊急増産を工場に依頼して7月末にもう一度400本が入荷するもそれも即日完売・・SNSでは「ピーチ再開、全員集合~」や完売後は「また瞬殺かよ!」という怒りの投稿も見かけた・・この日の注文数は通常の10倍を記録した。バズリの破壊力を思い知らされ私たちはヘトヘトに疲労困憊した。
瞬殺回避の方法はあるのか?・・単純に量産してもっと在庫を積んでおけばよいだけの話。しかし実情を話せば多品種・少量生産体制でずっときたので急に増産シフトと言っても原料・資材のストックの点で対応できない。
また当社のお客様は量産したら武蔵野ワークスらしくないという方が多いし、私たち社員も少量生産で行きたいと考えている・・量産型ビジネスに移行するとおもしろい原料が使えないので。
ここは誠に申し訳ないが7月末の完売後はそのまま「在庫切れ」状態が続いている。
生産計画を調整した結果「10月1日(お昼12時)」をピーチ4mL&25mLの再販日とした。
桃の季節は過ぎている、スタバの「ラブ&ピーチ フラペチーノ」も終わったことだし・・さずがに熱気は冷めているだろう。
当社らしい静かなお買い物ができる状態になっていると期待したい。
そして「10月1日」は『スノーミント』の再販日でもある。
転売ヤーさんは「品薄」に異常に鼻が利く、そしてどこからともなくやってくる。
まさか当社みたいな小企業に転売ヤーが暗躍するとは考えにくいが、それがあるのだ。ピーチが完売する頃にはメルカリなどで早速転売されていた。
定価の2倍~3倍という強気価格もあった、売れるのかな?と逆に心配になる。
転売は法律違反ではないし私自身は合法的な経済活動と認識しているが、本来なら購入できた人が転売ヤーのために購入できなかったり割高商品をつかむ結果となる点はなんとも心苦しい。
しかも転売ヤーさんから購入された場合、当社からのサポートは受けられない。
というわけで転売ヤー対策として次回の再販では厳しい本数制限を設ける可能性があることお許し願いたい。
(Timeline:『ピーチ』が突然の在庫切れ)

(2024-08-14)
( ピーチの香水を捜している方は案外多い )バズって大盛り上がり
今日は当社香水『ピーチ』のバズリについて。「バズる」とはインターネットである事柄が短期間かつ集中的に多くの人々の注目を集める現象。
インターネットでは誰もが発信者になれるので話題になった際のネット内でのうねりは巨大になる。
先月の7月、当社ピーチが複数のインフルエンサーさんによって取り上げられた。「ピーチ香水ランキング」のようなツイートだったようです(私自身は確認していない)。
広告費を投下してバズリを意図的に仕掛ける企業さんもあるが、当社は金銭がからむマーケティングはほぼやらないので今回は完全に偶然の産物。
バズリ翌日の光景
7月10日、朝出勤すると「やけに『ピーチ』売れてるな~」という不穏な気配からはじまり「何が起きてるんだ?」と怪しんでいる間に、あれよあれよと、ピーチ4mLが在庫切れに陥った。
ピーチ4mLがなくなると今度はピーチ25mLが売れはじめ、こちらも翌日に在庫切れ・・こういう状態をマスコミは「嬉しい悲鳴」と報道しがちだが中小企業の場合そうでもないんです。
ピーチ4mLは入荷予定がたまたま数日後だったので「販売再開 7月16日」とアナウンスした。
アナウンスすることで入荷を待ってくれる人もいるし、バズリは熱しやすく冷めやすいので、再入荷までの数日が冷却期間となり購入意欲を失う人も多いだろうとそのときは軽く考えていた。
注文数は通常の10倍
数日後ピーチ400本が入荷し販売を開始したらこれまた翌日午前中までに完売した。
読者のみなさんは入荷本数が「たった400本なの?」と驚くでしょう。
香水といえども工業製品、生産数量の桁が違うのでは?と思われても仕方ないが、当社のビジネス規模は恥ずかしながらこの程度なんです。
当社ピーチ4mLの場合、400本単位で生産しその400本を通常3~5ヶ月で売り切るサイクル。しかし今回のバズリではこの400本が1日ともたなかった。
緊急増産を工場に依頼して7月末にもう一度400本が入荷するもそれも即日完売・・SNSでは「ピーチ再開、全員集合~」や完売後は「また瞬殺かよ!」という怒りの投稿も見かけた・・この日の注文数は通常の10倍を記録した。バズリの破壊力を思い知らされ私たちはヘトヘトに疲労困憊した。
少量生産の武蔵野ワークス
瞬殺回避の方法はあるのか?・・単純に量産してもっと在庫を積んでおけばよいだけの話。しかし実情を話せば多品種・少量生産体制でずっときたので急に増産シフトと言っても原料・資材のストックの点で対応できない。
また当社のお客様は量産したら武蔵野ワークスらしくないという方が多いし、私たち社員も少量生産で行きたいと考えている・・量産型ビジネスに移行するとおもしろい原料が使えないので。
ここは誠に申し訳ないが7月末の完売後はそのまま「在庫切れ」状態が続いている。
「10月1日(お昼12時)」再販
生産計画を調整した結果「10月1日(お昼12時)」をピーチ4mL&25mLの再販日とした。
桃の季節は過ぎている、スタバの「ラブ&ピーチ フラペチーノ」も終わったことだし・・さずがに熱気は冷めているだろう。
当社らしい静かなお買い物ができる状態になっていると期待したい。
そして「10月1日」は『スノーミント』の再販日でもある。
転売ヤー対策
転売ヤーさんは「品薄」に異常に鼻が利く、そしてどこからともなくやってくる。
まさか当社みたいな小企業に転売ヤーが暗躍するとは考えにくいが、それがあるのだ。ピーチが完売する頃にはメルカリなどで早速転売されていた。
定価の2倍~3倍という強気価格もあった、売れるのかな?と逆に心配になる。
転売は法律違反ではないし私自身は合法的な経済活動と認識しているが、本来なら購入できた人が転売ヤーのために購入できなかったり割高商品をつかむ結果となる点はなんとも心苦しい。
しかも転売ヤーさんから購入された場合、当社からのサポートは受けられない。
というわけで転売ヤー対策として次回の再販では厳しい本数制限を設ける可能性があることお許し願いたい。
(Timeline:『ピーチ』が突然の在庫切れ)

(2024-08-14)
( 香水工場の )
香る生活
イメージ画像公募の結果発表
(2024/07/25)
( トップイメージのご応募ありがとうございました! )
当社Webサイトのトップイメージ画像を公募しました。
大企業さんならこういう企画は多くの応募が予想されますが、当社みたいな無名の中小企業だとどうだろう?・・と企画が成立するか心配でしたが、フタを開ければたくさんのご応募をいただきました。
応募件数73件、総作品数は約100点、たいへん盛況なイベントでした、ありがとうございました。
参加いただいたすべての方に心より御礼申し上げます。
全スタッフによる投票で絞り込み、最後はWeb責任者のわたくし国分が選ばせて頂きました。
完成度が高い作品が多い中、私ごときの人間がみなさまの作品を選ぶというのも恐縮です、お許しください。
「この作者はプロだろう」と思われる作品が多数あります。
本当にその道のプロとしてお仕事をされているかどうか別として腕はプロレベルの完成度の高さ・美しさ、感動しました。
そういうすぐれた作品ばかりの中で感覚的に当社製品イメージにマッチし、実際にトップページに入れてみて収まりが良いと感じられたものを選びました。
入選された方は3名です、おめでとうございます。
入選作品はこちらです(順不同)
(入選された方には7月26日に個別にメール連絡させていただきました)



→ イメージ画像公募(2024年)

(2024-07-25)
( トップイメージのご応募ありがとうございました! )73件、100作品のご応募
当社Webサイトのトップイメージ画像を公募しました。
大企業さんならこういう企画は多くの応募が予想されますが、当社みたいな無名の中小企業だとどうだろう?・・と企画が成立するか心配でしたが、フタを開ければたくさんのご応募をいただきました。
応募件数73件、総作品数は約100点、たいへん盛況なイベントでした、ありがとうございました。
参加いただいたすべての方に心より御礼申し上げます。
選考方法
全スタッフによる投票で絞り込み、最後はWeb責任者のわたくし国分が選ばせて頂きました。
完成度が高い作品が多い中、私ごときの人間がみなさまの作品を選ぶというのも恐縮です、お許しください。
「この作者はプロだろう」と思われる作品が多数あります。
本当にその道のプロとしてお仕事をされているかどうか別として腕はプロレベルの完成度の高さ・美しさ、感動しました。
そういうすぐれた作品ばかりの中で感覚的に当社製品イメージにマッチし、実際にトップページに入れてみて収まりが良いと感じられたものを選びました。
結果発表
入選された方は3名です、おめでとうございます。
入選作品はこちらです(順不同)
(入選された方には7月26日に個別にメール連絡させていただきました)
016-4

021-1

070

→ イメージ画像公募(2024年)

(2024-07-25)
( 香水工場の )
香る生活
『黄昏月』が季節限定で再リリース
"季節限定" の商品が増えそう (2024/07/04)
( 今年復活するスリーピングミスト『黄昏月』は季節限定 )
2年前キンモクセイ香料をメインにした香り=スリーピングミスト『黄昏月』(たそがれづき)をリリースしました。
今のニッポン、キンモクセイ製品は多いが本物は少ない、だからキンモクセイの本物の天然香料はこういう香りだよ~という趣旨だった。おもに当社「金木犀キャンペーン」のプレゼントとして配布した。
(※香りの説明は2年前のブログ:スリーピングミスト『黄昏月』の話)
実は私はキンモクセイ天然香料の香りをあまり好きでなく、個人的には自信をもって勧められないので在庫切れで販売を終了、販売ページからも削除していた。
しかし、SNSやお客様コメントで気になるというご意見が多かったこともあり、会社として復活させることが決定した・・ただし「季節限定」とし「8月1日~(在庫切れまで)」。
とくに特別な目的がない方には購入はオススメしない・・こう書くと逆に気になって購入する人が増えるので悩ましい。
(『逢魔時』も「危険、近寄るべからず」と私が警告するので、逆に売上が若干伸びている可能性がある)
ずばり通年では売り切る自信がないから。
もしかしたら一部の方々にはお気に召す香りかもしれないが、多くはリピートしていただけるとは予想していない。そのため売れ残ることが心配である。
香水は防腐剤を使用せずに長期保管ができるありがたいコスメではあるが、本製品は天然香料が多用されており一年くらいでフレッシュさに若干の陰りがでる。
だから、だらだらと長く店頭で残るよりある程度の期間で売り切って「また来年会おう!~」と潔い販売方法がよい。
「季節限定」というコトバこそあまり使っていないが、『贈り物』シリーズ(5月、サンタ、ローズ)も季節限定である。
そして、まさに今月の7月1日に販売開始した『Summer』も去年より7月からの季節限定に移行した。
このように「季節限定化」されるアイテムが増える傾向にある。
季節限定のデメリットはお客様が欲しいときに買えないという不便さ、これに尽きる。
ご不便をおかけすることは申し訳ありませんが、メリット・デメリットを勘案して季節限定アイテムが増えることになりそうです、お許しいただきたく願っております。

(2024-07-04)
( 今年復活するスリーピングミスト『黄昏月』は季節限定 )『黄昏月』が季節限定で復活
2年前キンモクセイ香料をメインにした香り=スリーピングミスト『黄昏月』(たそがれづき)をリリースしました。
今のニッポン、キンモクセイ製品は多いが本物は少ない、だからキンモクセイの本物の天然香料はこういう香りだよ~という趣旨だった。おもに当社「金木犀キャンペーン」のプレゼントとして配布した。
(※香りの説明は2年前のブログ:スリーピングミスト『黄昏月』の話)
実は私はキンモクセイ天然香料の香りをあまり好きでなく、個人的には自信をもって勧められないので在庫切れで販売を終了、販売ページからも削除していた。
しかし、SNSやお客様コメントで気になるというご意見が多かったこともあり、会社として復活させることが決定した・・ただし「季節限定」とし「8月1日~(在庫切れまで)」。
とくに特別な目的がない方には購入はオススメしない・・こう書くと逆に気になって購入する人が増えるので悩ましい。
(『逢魔時』も「危険、近寄るべからず」と私が警告するので、逆に売上が若干伸びている可能性がある)
なぜ季節限定なのか?
ずばり通年では売り切る自信がないから。
もしかしたら一部の方々にはお気に召す香りかもしれないが、多くはリピートしていただけるとは予想していない。そのため売れ残ることが心配である。
香水は防腐剤を使用せずに長期保管ができるありがたいコスメではあるが、本製品は天然香料が多用されており一年くらいでフレッシュさに若干の陰りがでる。
だから、だらだらと長く店頭で残るよりある程度の期間で売り切って「また来年会おう!~」と潔い販売方法がよい。
実は当社には季節限定が多い
「季節限定」というコトバこそあまり使っていないが、『贈り物』シリーズ(5月、サンタ、ローズ)も季節限定である。
そして、まさに今月の7月1日に販売開始した『Summer』も去年より7月からの季節限定に移行した。
このように「季節限定化」されるアイテムが増える傾向にある。
季節限定の増加をお許しください
季節限定のデメリットはお客様が欲しいときに買えないという不便さ、これに尽きる。
ご不便をおかけすることは申し訳ありませんが、メリット・デメリットを勘案して季節限定アイテムが増えることになりそうです、お許しいただきたく願っております。

(2024-07-04)
( 香水工場の )
香る生活
配送中のトラブル事例(滅多にないトラブル集)
発生率は限りなくゼロだが・・実際にあった話 (2024/07/02)
( 荷物に足跡が付いたケースのイメージ画像 )
日本の配送サービスは世界的に優秀とのウワサです。
海外では荷物がなくなる、壊れるといった話はそれなりに聞くので日本の配送はやはり優れているのでは?と空想します。
とはいえ通販事業を長年やっているとレアな配送トラブルも体験します。今日はそんなかなり珍しいトラブル事例をレアながらも起こりうる順から紹介:

お客様コメント:
2024/09/07 (Sat) 11:39:26
レアな配送トラブル
・コメント:
当方、コールセンター業界に長く、頷きながら拝見しました。
思い出したレアケースで、「一緒に積まれていた醤油の瓶が破損し、周辺にあった荷物が醤油まみれになり返品」というのを体験したことがあります。後にも先にも一度きりですね……
・・はやま
(国分) 日本のお醤油は完成度と万能性で世界最高峰の世界的ソースと思うのですが、荷物に着いたお醤油のニオイはちょっと残念かも・・
(2024-07-02)
( 荷物に足跡が付いたケースのイメージ画像 )長年通販をやっていると・・
日本の配送サービスは世界的に優秀とのウワサです。
海外では荷物がなくなる、壊れるといった話はそれなりに聞くので日本の配送はやはり優れているのでは?と空想します。
とはいえ通販事業を長年やっているとレアな配送トラブルも体験します。今日はそんなかなり珍しいトラブル事例をレアながらも起こりうる順から紹介:
(1) 荷物の行方不明・・10年前は年に数回ありましたが、ここ数年は年に1回あるかないか
(2) 粉々・ジャリジャリになった荷物・・過去20年で2回。配送センターの仕訳中ベルトコンベアの車輪に舞き込まれた模様
(3) 火災で黒焦げになった荷物・・過去20年で1回のみ。高速道路を走行中トラックが出火炎上とのこと
(4) くっきり足跡が付いた荷物・・過去20年で1回のみ。配達員さんが荷物を落として、さらに間違ってそれを踏んでしまい荷物は破損、足跡付きで返品されてきたときは「ほ~こういうトラブルもあるのか」と驚きました

お客様コメント:
2024/09/07 (Sat) 11:39:26
レアな配送トラブル
・コメント:
当方、コールセンター業界に長く、頷きながら拝見しました。
思い出したレアケースで、「一緒に積まれていた醤油の瓶が破損し、周辺にあった荷物が醤油まみれになり返品」というのを体験したことがあります。後にも先にも一度きりですね……
・・はやま
(国分) 日本のお醤油は完成度と万能性で世界最高峰の世界的ソースと思うのですが、荷物に着いたお醤油のニオイはちょっと残念かも・・
(2024-07-02)
( 香水工場の )
香る生活
香りで記憶が蘇るプルースト効果、深掘り
原典小説を読んでみた (2024/06/29)
( 岩波文庫『失われた時を求めて』 )
「プルースト効果」をご存じだろううか? 香りで過去の記憶が臨場感を伴って蘇る現象。
この心理学用語には原典となる小説がある。マルセル・プルースト『失われた時を求めて』(À la recherche du temps perdu)。
この長編小説は1913年からプルーストが亡くなる1922年まで書かれた。完成することなく世を去ったプルーストの大作は弟さんによって最後の完成を見たとのこと。
世界的な評価は文学史上の金字塔とも。世紀の大作なのに長さと難解さゆえに読破できる人がかなり少ないことでも有名。
最後まで読み終えた人の感想はネットやYoutubeにでている、それによると、あっと驚く怒濤の結末、それまで謎に包まれていた数々の伏線が一気に溶解し、無上の感動と歓びが全身を駆け巡るらしい。
そしてこの物語を「もう一度」読みたくなる衝動に突き動かされる。400字原稿用紙1万枚相当の小説をもう一周したくなる?・・麻薬に近い作品である。
主人公が子供時代や青年時代の記憶をたどることで当時のフランスの世相やサロン文化、なかなか泥臭い人間模様・・家族親戚、友人、恋人、愛人たちとの葛藤や歓びが描写されている。
プルースト効果は香水業界で働く私には関心があることながら、小説の方にはあまり関心がなく今まで読まずにいた。
最近どうしたわけか「まあプルースト効果のさわりの部分だけでも・・」という気になった。
フランス語が読めないので岩波文庫の翻訳本を購入した。
プルースト効果の有名な「紅茶に浸したマドレーヌ」の場面は岩波文庫全14巻中の第1巻にあるので、それだけ買ったが、おもしろかったら「続けて読むかも?」・・という期待はなくはなかった。
しかし実際に読み始めると、いきなり挫折感・・これは読みにくい。
第1巻500ページ、分量もあるが、それより内容がぜんぜん頭に入ってこない・・「私」による延々と語られる昔話の独白・・波瀾万丈、スピード感ある展開はない、延々と過去の記憶が格調高く語られる。
ついでに言えばヨーロッパの歴史と芸術にある程度の精通がないと難解な文章がさらに厳しい。どこか遠い異国の知らない人の話だ~という気持ちになる。
日本語訳は数社の違った出版社から刊行されていて翻訳者もそれぞれ違う。
同じ小説を数社の出版社がそれぞれ違う翻訳者で刊行するところにもこの小説の凄さがにじみ出る(それにしても商業的に成り立つのか?と心配になる)
「同じ小説を違う翻訳者が刊行」という点は、英語圏Wikipediaによると英訳本でも同じらしい。
英語タイトルは『In Search of Lost Time』、日本語タイトルは『失われた時を求めて』・・英語も日本語もフランス語タイトルの実に素直な直訳となっている点がおもしろい。
さて本題の「プルースト効果」の話である。
小説『失われた時を求めて』についてここまで書いてくると、スケールがでかすぎて、もはやプルースト効果なんてどうでもいいか?・・という気持ちになってしまったが、ここは気を取り直して書き進めたい。
原典となったプルースト効果の描写部分は、たんに「紅茶に浸したマドレーヌを口にいれた瞬間」の話ではなく、この小説全体のバックボーンを貫く「記憶」というテーマの導入部分で物語全体へのゲート、鳥居的存在だったことを知った。
( 紅茶に浸したマドレーヌを口にいれた瞬間、主人公は幼少の頃、田舎町コンブレーで過ごした夏休みの情景に包まれる・・
ところでフランスの方はマドレーヌを紅茶に入れてぐちゃぐちゃにして食べるんですね、小説で知りました )
しかし私にはそれ以上の発見はなく新しい感動を伝えることはできない。
ただ自分がプルースト効果を話す際、小説の一部分でも実際に読んだということは、ある程度の裏取りをやったという自信になるので、本を買ってよかった。
福岡で浪人生活を送っていた頃の話。予備校近く界隈は「親不孝通り」と呼ばれていた。
受験勉強にいそしむ浪人生が通うには賑わった街だった。しかも博多・中州・天神といった九州最大級の歓楽街に隣接もしくは歩いて行ける距離にあり、映画館、ライブハウス、ゲームセンターなども多かった。
まじめに勉強する人間の方が圧倒的に多かったが、そうでない人間の行く場所にも事欠かなかった街、今から思えば混沌としたカオスな街だったな~と思い返す。
私の場合、焦りはあるが予備校の方はまるでやる気が出ず、授業をさぼり予備校仲間(予備校でも友達はできる)と公園でゴロゴロしたり、一人で昼間から映画館で過ごすことも多かった。
その頃、私はタバコを吸っていた。私の場合タバコは体質的に合わずうまいと感じたことはないが当時は吸っていた。なぜ浪人の頃吸っていたのか今では思い出せない。それ以降は吸わなくなった。
大学に入ると浪人時代のことはすっかり忘れたが、ある日アルバイトで思い出すことになる。
どこかのビルのフロアをピカピカに磨く作業だった、現場に到着すると清掃会社の社長さんと知らない学生数人がいた。
黙々と働いた後の休憩時間、お互い知らない者同士なので沈黙しがちだったが、近くの人から「どう?」とタバコが差し出された。
箱から飛び出した1本をつまみ出し口にくわえて火を付けた。
その瞬間、タバコのニオイで不意に浪人時代の記憶が頭の中に洪水のように押し寄せた。親不孝通りをうろついていたときの光景や感情が目の前に拡がる感覚を覚えた。
(恍惚とは?・・こういう瞬間か・・を体験した)
知人やスタッフにプルースト効果の体験事例を聞いてみた。
スタッフの一人は、当社に入社した頃はじめて『藤』の香水をかいだとき、祖母の記憶がフラッシュバックした。おばあちゃんの部屋の鏡台前に自分が立っているかのような錯覚を覚えたという。
また別のスタッフは、どこかのご家庭から漂う夕食の匂いをかいだ瞬間、小さい頃住んでいた自宅がフラッシュバックした。紅く染まった夕暮れの中、田舎道を自転車で疾走する帰宅途中の自分の姿が蘇ったという。
プルースト効果でフラッシュバックする情景はカラーで豪華で、情動的で感情的でリアルさを伴う、追体験の感覚が味わえる点で他の記憶と違う。そして多くの場合、恍惚とした多幸感を伴う。
また同じ体験をしたいと再度同じ香りをかいでも効果が再現されることはほぼない。
蘇る情景が果たして本物なのかそれとも脳が勝手に生成したものなのかよくわからない。
この不意に記憶が蘇る現象は、心理学では「無意思的記憶」「無意図的記憶」「involuntary memory」などの言葉で語られる。
認知症を患った人にもプルースト効果は観察される。そのため逆にプルースト効果を利用した認知ケアを研究されている人々もいるようだ(といってもなかなか意図的に再現できないので、どうなんだろうか?・・)
私の叔母は肺の病気で12時間に及ぶ手術を受けたとき、三途の川を見たと話してくれた。
見たこともない美しい清流がありその周囲には色鮮やかな花々が咲く野原が拡がっていたという。
この体験には香りが介在しないし、おそらく自分の記憶にはない光景を見ている点でプルースト効果とは別物ながら、その臨場感には共通性を感じる。
PTSDはベトナム戦争帰還兵の研究以降マスコミに頻繁に取り上げられるようになった。
戦争体験だけでなく犯罪や性的暴力などあらゆる辛い過去の記憶に対する重度な心的ストレス障害が含まれる。
PTSDの症状の一つとしてフラッシュバックがある。
フラッシュバックは恐怖、苦しみ、怒りなどの辛い記憶が蘇り、かつ事件が現実に今起きている錯覚を伴う心理現象で、当事者には大変な苦痛が伴うという。
意図しない記憶が蘇る点はプルースト効果と似ているが、PTSDのフラッシュバックは大きな苦痛がある点、繰り返される点、治療の必要性があり社会問題化している点でかなり状況が違っている。
私はプルースト効果を語るときフラッシュバックという言葉を使うが、医学用語としてのフラッシュバックはPTSDの症状を指すのでプルースト効果にこの言葉を使うことは適切でないかもしれない。
なお薬物障害にもフラッシュバックという症状がある。こちらも専門外なのでこれ以上は語れない。
プルースト効果は通常、香りに起因する現象を指すが、味覚や音楽でも同じ効果が観察される。
グルメ漫画『美味しんぼ』には、料理の味で小さい頃の情景を思い出して涙する人の描写がシリーズを通して何度かでてくる。これもプルースト効果ではないかと感じる。
( 美味しんぼ 公式チャンネル 第24話 )
実は『失われた時を求めて』の「紅茶に浸したマドレーヌ」部分の原文には香りは明記されていなかった・・
「口蓋」(こうがい)とは口の中の上の部分だから素朴に読めば味覚でプルースト効果を体験していることになる。
音楽によるプルースト効果は直接体験談を聞いたことがないが、これもあるらしい。
みなさまもプルースト体験談されたことありませんか?
みなさまのプルースト体験談をぜひお聞かせください。ご協力いただける方は下の「コメント投稿」ボタンにて。
・どんな時どんな記憶が蘇りましたか?
このブログ記事に掲載させていただきます。

2024/07/10 (Wed) 18:04:09
饅頭とワイン
・コメント:
ワイナリーを見学しに行った時。たくさんの酒樽やワインの瓶などが貯蔵されている場所に入ると甘い香りがして、休みになると遊びに行っていた、亡くなった祖母の家を思い出しました。
祖母は酒饅頭の店を長年営んでおり、家の中に独特の酵母の香りが染み付いていたせいではないかと思います。子供の頃の様々な記憶が蘇り懐かしくなりました。
・・チャコ
(国分) ワイナリーにはカビ臭いニオイがありがちですが、麹・糀や酵母のニオイだったりして奥が深い。酒饅頭の工場は経験がないのですが、酒饅頭も麹による発酵課程が伴うので日本酒の蔵と共通した香りが漂うのでしょうか? こちらもノスタルジー漂うお話ですね・・
2024/07/10 (Wed) 07:43:08
ブルースト効果の体験談
・コメント:
雨が降りそうな時によくある土や草っぽい独特の香りを感じた瞬間、小学生時代の教室を思い出しました。
授業中に窓から見える灰色の薄暗い空を、蛍光灯で明るく照らされた教室の中からぼんやり眺めていた光景が鮮明に蘇りました。
・・
(国分) 雨が降る前と降り出したときの雨の独特なニオイは印象的ですよね、子供心に雨の香りが深い記憶として脳内に焼きついたのでしょうか
2024/07/09 (Tue) 16:50:48
プルースト効果
・コメント:
最近はあまり感じなくなったのですが、何故かトルコ行進曲を聞くと、幼稚園の時に見た夢を思い出します。それは、青いケロイドみたいな状態の手だけが追いかけて来る夢です。かなり怖かったのを覚えています。特にピアノを習っていたわけでもないのに。今でもその曲は好きではありません。
後は、沈丁花の花の香りを嗅ぐと、就職したての頃の会社近くの雨の交差点を思い出します。
・・ぷよ
(国分) 「雨の交差点」がリアルな響き。音楽と夢がリンクする事例は何か事情がありそうで心理学を学んでいる人などには興味深い話ですね・・
2024/07/09 (Tue) 14:45:38
灯油の香り
・コメント:
灯油のにおいをかぐと、子供の頃にはじめて灯油ストーブで過ごした、東北の冬がフラッシュバックします。
灯油ストーブをつけて、タタミにじかに座って小さなテレビでゲームしてたのですが、今でも灯油の香りが一種スイッチとなって、いっしょに青いタタミのにおいも思い出します。
・・おくば
(国分) 九州でも冬は寒く私の家でも灯油ストーブで暖を取っていました。私は子供の頃、灯油やガソリンのニオイが好きでした。灯油で畳の青い匂いが蘇る部分は記憶再生の連鎖反応みたいでおもしろい
2024/07/06 (Sat) 13:12:18
母の香り
・コメント:
かつて暮らした母が好んで使っていた香水は今は廃盤になった。
ても、母が好んだ香りだから覚えている。香水も廃盤が多い。
でも、その香水をつけていた静謐な佇まいの母親を思い出す。
香水の名を聞くだけで。
・・まずハマナス
(国分) 香水の名前だけで思い出されるんですね。プルースト効果の劇的な記憶再生というよりノスタルジー溢れる記憶ですね、こういう記憶はプライスレスな財産・・
(2024-06-29)
( 岩波文庫『失われた時を求めて』 )小説『失われた時を求めて』
「プルースト効果」をご存じだろううか? 香りで過去の記憶が臨場感を伴って蘇る現象。
この心理学用語には原典となる小説がある。マルセル・プルースト『失われた時を求めて』(À la recherche du temps perdu)。
この長編小説は1913年からプルーストが亡くなる1922年まで書かれた。完成することなく世を去ったプルーストの大作は弟さんによって最後の完成を見たとのこと。
世界的な評価は文学史上の金字塔とも。世紀の大作なのに長さと難解さゆえに読破できる人がかなり少ないことでも有名。
難解だが歓びが深いらしい
最後まで読み終えた人の感想はネットやYoutubeにでている、それによると、あっと驚く怒濤の結末、それまで謎に包まれていた数々の伏線が一気に溶解し、無上の感動と歓びが全身を駆け巡るらしい。
そしてこの物語を「もう一度」読みたくなる衝動に突き動かされる。400字原稿用紙1万枚相当の小説をもう一周したくなる?・・麻薬に近い作品である。
主人公が子供時代や青年時代の記憶をたどることで当時のフランスの世相やサロン文化、なかなか泥臭い人間模様・・家族親戚、友人、恋人、愛人たちとの葛藤や歓びが描写されている。
なぜ今さら?
プルースト効果は香水業界で働く私には関心があることながら、小説の方にはあまり関心がなく今まで読まずにいた。
最近どうしたわけか「まあプルースト効果のさわりの部分だけでも・・」という気になった。
フランス語が読めないので岩波文庫の翻訳本を購入した。
プルースト効果の有名な「紅茶に浸したマドレーヌ」の場面は岩波文庫全14巻中の第1巻にあるので、それだけ買ったが、おもしろかったら「続けて読むかも?」・・という期待はなくはなかった。
しかし実際に読み始めると、いきなり挫折感・・これは読みにくい。
挫折
第1巻500ページ、分量もあるが、それより内容がぜんぜん頭に入ってこない・・「私」による延々と語られる昔話の独白・・波瀾万丈、スピード感ある展開はない、延々と過去の記憶が格調高く語られる。
ついでに言えばヨーロッパの歴史と芸術にある程度の精通がないと難解な文章がさらに厳しい。どこか遠い異国の知らない人の話だ~という気持ちになる。
複数の出版社が出版
日本語訳は数社の違った出版社から刊行されていて翻訳者もそれぞれ違う。
同じ小説を数社の出版社がそれぞれ違う翻訳者で刊行するところにもこの小説の凄さがにじみ出る(それにしても商業的に成り立つのか?と心配になる)
「同じ小説を違う翻訳者が刊行」という点は、英語圏Wikipediaによると英訳本でも同じらしい。
英語タイトルは『In Search of Lost Time』、日本語タイトルは『失われた時を求めて』・・英語も日本語もフランス語タイトルの実に素直な直訳となっている点がおもしろい。
プルースト効果を語ろう~
さて本題の「プルースト効果」の話である。
小説『失われた時を求めて』についてここまで書いてくると、スケールがでかすぎて、もはやプルースト効果なんてどうでもいいか?・・という気持ちになってしまったが、ここは気を取り直して書き進めたい。
原典となったプルースト効果の描写部分は、たんに「紅茶に浸したマドレーヌを口にいれた瞬間」の話ではなく、この小説全体のバックボーンを貫く「記憶」というテーマの導入部分で物語全体へのゲート、鳥居的存在だったことを知った。
( 紅茶に浸したマドレーヌを口にいれた瞬間、主人公は幼少の頃、田舎町コンブレーで過ごした夏休みの情景に包まれる・・ところでフランスの方はマドレーヌを紅茶に入れてぐちゃぐちゃにして食べるんですね、小説で知りました )
しかし私にはそれ以上の発見はなく新しい感動を伝えることはできない。
ただ自分がプルースト効果を話す際、小説の一部分でも実際に読んだということは、ある程度の裏取りをやったという自信になるので、本を買ってよかった。
私のプルースト効果体験
福岡で浪人生活を送っていた頃の話。予備校近く界隈は「親不孝通り」と呼ばれていた。
受験勉強にいそしむ浪人生が通うには賑わった街だった。しかも博多・中州・天神といった九州最大級の歓楽街に隣接もしくは歩いて行ける距離にあり、映画館、ライブハウス、ゲームセンターなども多かった。
まじめに勉強する人間の方が圧倒的に多かったが、そうでない人間の行く場所にも事欠かなかった街、今から思えば混沌としたカオスな街だったな~と思い返す。
私の場合、焦りはあるが予備校の方はまるでやる気が出ず、授業をさぼり予備校仲間(予備校でも友達はできる)と公園でゴロゴロしたり、一人で昼間から映画館で過ごすことも多かった。
タバコ
その頃、私はタバコを吸っていた。私の場合タバコは体質的に合わずうまいと感じたことはないが当時は吸っていた。なぜ浪人の頃吸っていたのか今では思い出せない。それ以降は吸わなくなった。
大学に入ると浪人時代のことはすっかり忘れたが、ある日アルバイトで思い出すことになる。
どこかのビルのフロアをピカピカに磨く作業だった、現場に到着すると清掃会社の社長さんと知らない学生数人がいた。
黙々と働いた後の休憩時間、お互い知らない者同士なので沈黙しがちだったが、近くの人から「どう?」とタバコが差し出された。
箱から飛び出した1本をつまみ出し口にくわえて火を付けた。
その瞬間、タバコのニオイで不意に浪人時代の記憶が頭の中に洪水のように押し寄せた。親不孝通りをうろついていたときの光景や感情が目の前に拡がる感覚を覚えた。
(恍惚とは?・・こういう瞬間か・・を体験した)
プルースト効果、他の事例
知人やスタッフにプルースト効果の体験事例を聞いてみた。
スタッフの一人は、当社に入社した頃はじめて『藤』の香水をかいだとき、祖母の記憶がフラッシュバックした。おばあちゃんの部屋の鏡台前に自分が立っているかのような錯覚を覚えたという。
また別のスタッフは、どこかのご家庭から漂う夕食の匂いをかいだ瞬間、小さい頃住んでいた自宅がフラッシュバックした。紅く染まった夕暮れの中、田舎道を自転車で疾走する帰宅途中の自分の姿が蘇ったという。
プルースト効果の特徴
プルースト効果でフラッシュバックする情景はカラーで豪華で、情動的で感情的でリアルさを伴う、追体験の感覚が味わえる点で他の記憶と違う。そして多くの場合、恍惚とした多幸感を伴う。
また同じ体験をしたいと再度同じ香りをかいでも効果が再現されることはほぼない。
蘇る情景が果たして本物なのかそれとも脳が勝手に生成したものなのかよくわからない。
この不意に記憶が蘇る現象は、心理学では「無意思的記憶」「無意図的記憶」「involuntary memory」などの言葉で語られる。
認知症を患った人にもプルースト効果は観察される。そのため逆にプルースト効果を利用した認知ケアを研究されている人々もいるようだ(といってもなかなか意図的に再現できないので、どうなんだろうか?・・)
心霊体験
私の叔母は肺の病気で12時間に及ぶ手術を受けたとき、三途の川を見たと話してくれた。
見たこともない美しい清流がありその周囲には色鮮やかな花々が咲く野原が拡がっていたという。
この体験には香りが介在しないし、おそらく自分の記憶にはない光景を見ている点でプルースト効果とは別物ながら、その臨場感には共通性を感じる。
PTSD=心的外傷後ストレス障害
PTSDはベトナム戦争帰還兵の研究以降マスコミに頻繁に取り上げられるようになった。
戦争体験だけでなく犯罪や性的暴力などあらゆる辛い過去の記憶に対する重度な心的ストレス障害が含まれる。
PTSDの症状の一つとしてフラッシュバックがある。
フラッシュバックは恐怖、苦しみ、怒りなどの辛い記憶が蘇り、かつ事件が現実に今起きている錯覚を伴う心理現象で、当事者には大変な苦痛が伴うという。
意図しない記憶が蘇る点はプルースト効果と似ているが、PTSDのフラッシュバックは大きな苦痛がある点、繰り返される点、治療の必要性があり社会問題化している点でかなり状況が違っている。
私はプルースト効果を語るときフラッシュバックという言葉を使うが、医学用語としてのフラッシュバックはPTSDの症状を指すのでプルースト効果にこの言葉を使うことは適切でないかもしれない。
なお薬物障害にもフラッシュバックという症状がある。こちらも専門外なのでこれ以上は語れない。
味や音によるプルースト効果
プルースト効果は通常、香りに起因する現象を指すが、味覚や音楽でも同じ効果が観察される。
グルメ漫画『美味しんぼ』には、料理の味で小さい頃の情景を思い出して涙する人の描写がシリーズを通して何度かでてくる。これもプルースト効果ではないかと感じる。
( 美味しんぼ 公式チャンネル 第24話 )実は『失われた時を求めて』の「紅茶に浸したマドレーヌ」部分の原文には香りは明記されていなかった・・
お菓子のかけらのまじったひと口が口蓋にふれたとたん、私は身震いし、内部で尋常ならざることがおこっているのに気づいた。えもいわれぬ快感が私のなかに入りこみ・・
「口蓋」(こうがい)とは口の中の上の部分だから素朴に読めば味覚でプルースト効果を体験していることになる。
音楽によるプルースト効果は直接体験談を聞いたことがないが、これもあるらしい。
あなたのプルースト体験をお聞かせください
みなさまもプルースト体験談されたことありませんか?
みなさまのプルースト体験談をぜひお聞かせください。ご協力いただける方は下の「コメント投稿」ボタンにて。
・どんな時どんな記憶が蘇りましたか?
このブログ記事に掲載させていただきます。

2024/07/10 (Wed) 18:04:09
饅頭とワイン
・コメント:
ワイナリーを見学しに行った時。たくさんの酒樽やワインの瓶などが貯蔵されている場所に入ると甘い香りがして、休みになると遊びに行っていた、亡くなった祖母の家を思い出しました。
祖母は酒饅頭の店を長年営んでおり、家の中に独特の酵母の香りが染み付いていたせいではないかと思います。子供の頃の様々な記憶が蘇り懐かしくなりました。
・・チャコ
(国分) ワイナリーにはカビ臭いニオイがありがちですが、麹・糀や酵母のニオイだったりして奥が深い。酒饅頭の工場は経験がないのですが、酒饅頭も麹による発酵課程が伴うので日本酒の蔵と共通した香りが漂うのでしょうか? こちらもノスタルジー漂うお話ですね・・
2024/07/10 (Wed) 07:43:08
ブルースト効果の体験談
・コメント:
雨が降りそうな時によくある土や草っぽい独特の香りを感じた瞬間、小学生時代の教室を思い出しました。
授業中に窓から見える灰色の薄暗い空を、蛍光灯で明るく照らされた教室の中からぼんやり眺めていた光景が鮮明に蘇りました。
・・
(国分) 雨が降る前と降り出したときの雨の独特なニオイは印象的ですよね、子供心に雨の香りが深い記憶として脳内に焼きついたのでしょうか
2024/07/09 (Tue) 16:50:48
プルースト効果
・コメント:
最近はあまり感じなくなったのですが、何故かトルコ行進曲を聞くと、幼稚園の時に見た夢を思い出します。それは、青いケロイドみたいな状態の手だけが追いかけて来る夢です。かなり怖かったのを覚えています。特にピアノを習っていたわけでもないのに。今でもその曲は好きではありません。
後は、沈丁花の花の香りを嗅ぐと、就職したての頃の会社近くの雨の交差点を思い出します。
・・ぷよ
(国分) 「雨の交差点」がリアルな響き。音楽と夢がリンクする事例は何か事情がありそうで心理学を学んでいる人などには興味深い話ですね・・
2024/07/09 (Tue) 14:45:38
灯油の香り
・コメント:
灯油のにおいをかぐと、子供の頃にはじめて灯油ストーブで過ごした、東北の冬がフラッシュバックします。
灯油ストーブをつけて、タタミにじかに座って小さなテレビでゲームしてたのですが、今でも灯油の香りが一種スイッチとなって、いっしょに青いタタミのにおいも思い出します。
・・おくば
(国分) 九州でも冬は寒く私の家でも灯油ストーブで暖を取っていました。私は子供の頃、灯油やガソリンのニオイが好きでした。灯油で畳の青い匂いが蘇る部分は記憶再生の連鎖反応みたいでおもしろい
2024/07/06 (Sat) 13:12:18
母の香り
・コメント:
かつて暮らした母が好んで使っていた香水は今は廃盤になった。
ても、母が好んだ香りだから覚えている。香水も廃盤が多い。
でも、その香水をつけていた静謐な佇まいの母親を思い出す。
香水の名を聞くだけで。
・・まずハマナス
(国分) 香水の名前だけで思い出されるんですね。プルースト効果の劇的な記憶再生というよりノスタルジー溢れる記憶ですね、こういう記憶はプライスレスな財産・・
(2024-06-29)
( 香水工場の )
香る生活
VOICEがおもしろいので・・
VOICE投稿に感謝します(2024/06/19)
( TIMELINEとInstagramやFacebookなどのSNS )
お客様が当社製品をレビューするページが「Voice」です。最初は「コメントはこちらへ~」という投稿を受け付けるだけのページでした。
しかし1~2年くらい前からお客様レビューに対して私も一言コメントを入れるようにしたらコメントされる方も若干増えた印象です。
Voiceの内容は他のお客様に役立つものが多いし、またコンテンツとしておもしろい。
そこでお寄せいただいたコメントの一部の、さらに一フレーズなどを当社「Blog」やInstagramやFacebookなどのSNSで紹介させていただくことがありますことご了承ください。

(2024-06-19)
( TIMELINEとInstagramやFacebookなどのSNS )商品レビュー「VOICE」とは?
お客様が当社製品をレビューするページが「Voice」です。最初は「コメントはこちらへ~」という投稿を受け付けるだけのページでした。
しかし1~2年くらい前からお客様レビューに対して私も一言コメントを入れるようにしたらコメントされる方も若干増えた印象です。
VOICEの一部をTIMELINEやSNSへ
Voiceの内容は他のお客様に役立つものが多いし、またコンテンツとしておもしろい。
そこでお寄せいただいたコメントの一部の、さらに一フレーズなどを当社「Blog」やInstagramやFacebookなどのSNSで紹介させていただくことがありますことご了承ください。

(2024-06-19)
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