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香る生活


日本の精油、シソ

日本人に欠かせないシソ


日本産精油シリーズ。今日のテーマはシソ(紫蘇)。「紫蘇」という漢字はイメジネーションを刺激する素敵な文字ですが、難しいので日頃は「シソ」で通しています。

シソの風味を愛する人は多く、日本全国で栽培されているとっても人気のハーブです。

道端などにも自生したりして日本の食文化に貢献してくれています。


シソ精油の産地はどこだろう?


さて「シソに精油は存在するのか」というと、流通量こそ多くありませんが一応存在します。

シソの出荷量全国3割を誇る愛知県、特にシソ農家が集まり大がかりなハウス栽培が盛んなJA豊橋市さんに電話で聞いてみました。

「あ、オイルですか?ウチは大葉ですから、全量、生で出しちゃいますね」

大葉(青じそ)の使い道は、やはり生で刻んで刺身のツマのようです。

念のため精油を精製しているところを質問したところ「う〜、どこでやっているかわかんないけど、誰かがやっておられるはずですよ」。たしかにシソからエッセンシャル・オイルを採ることはあまりポピュラーでないようです。


滝上町のシソ栽培


個人の趣味ベースは別として、シソの精油生産がコマーシャル(ビジネス)に乗る場所は、おそらく北海道だけ。

ラベンダーで有名な富良野か、もしくは滝上町。

滝上町がシソ栽培で有名なことは以前から知っていましたが、個人的には行ったこともないし、誰の紹介を通して、関係者への接触もできず、新聞で読んだ程度の情報しか私にはありません。

そこでJA滝上(たきのうえ)さんに電話してみると、委託会社さんとの取り決めにより詳細はお知らせできないということでした。

滝上町のシソ栽培は、香料会社の委託で生産し、収穫されたシソは現地で水蒸気蒸留し精製され、生産されたオイルは全量を特定の香料会社に納品する契約になっている模様です。

日本で精油といえば、北海道でラベンダー・プランテーションを開始した曽田香料さんが有名です。

北海道のシソ栽培とシソエッセンシャル・オイルの生産には、やはり曽田香料さんの陰が。



(2007-07-05)
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香る生活


大酒飲みはライトな酒を評価しない(?)
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香る生活


安眠香水の時代?
医師の処方による「睡眠薬」、処方箋なしで買える「睡眠改善薬」、「安眠枕」に「安眠体操」、「安眠CD」・・・世は安眠の時代のようです。ボクら香水関係者が安眠に目を向けないわけがないのに、考えてみればなぜか「安眠香水」は少ないようです。その理由はこうです。

ヨーロッパ生まれの香水は、生まれも歴史もテーマはずっと同じです。

ロマンチックでセクシーであること。

女を、男を、最大限に色っぽくするという使命を帯びる香水は、安眠とはほど遠い関係にあります。愛されるにしても眠れないくらい愛されること(結果的にクマができる=アイシャドウ)であることをテーマとしています。

シングルフローラルを追求する武蔵野ワークスのフローラル・フォーシーズンズは、実はヨーロッパ香水の王道とは言えず、ヨーロッパ人にすれば本流でないし「古典っぽい」とさえ評価されかねません。

先日、取引先との打ち合わせ中、あるヨーロッパの香水を見せてもらいました。ハーブ類ではありません。香水としてまじめに製品化の途上にある香りでしたが、テーマは「安眠」でした。香りはセクシーというより落ち着きがあり深いものでした。

世の中には、さまざまなブランド香水やセレブ香水が発売されていますが、それらはほぼすべてジボダン、IFF、フィメルニッチ、シムライズなどのような大手香料会社やそこに所属するパフューマーさんによって調香され制作されます。そのため、大手香料会社さんに来る開発依頼案件を見れば、次の時代のトレンドを予測するにはよいヒントとなります。香料会社さんがお持ちの案件内容を知る由はないのですが、世間話程度ならパフューマーネットワークに漏れ出てきます。

トレンドをごく簡単にいえば「ファンタスティックから自然への回帰」と言えるかもしれません。

ここでいう「ファンタスティック」とは、シャネル5番以降、現代まで綿々と続く合成香料による未知の香りを中心とするモダンパルファンの潮流を指します。90年代、エコロジーや環境意識が高まりからグリーンノートやオゾンノート(マリンノート、アクアノート)といった自然界の香りが好まれましたが、それでもアーティフィシャルでケミカルどころかキャローンのようなニューケミカルが主役だったりしました。

見せてもらった安眠香水にはEU規制に指定された26種類のアレルギー性香料フリーで、さらに「バレリアン」という天然香料が高濃度に配合されていました。バレリアンとはヨーロッパ原産の草。日本名「かのこ草」。バレリアンは、精神の鎮静作用があるとされるギャバを脳内で分泌促進する安眠ハーブとして有名です。本当に強い安眠作用があるか私自身試したことがないので何ともいえませんが、一般にはそのように評価されいます。

「EU規制に指定された26種類のアレルギー性香料フリー」は、さらりと書きましたが現在の市販香水で、実現できている製品は現状ほとんどないでしょう。

この一例からもヨーロッパの香水が、ハーブ系やアロマ系へ歩み寄る気配を見せていると感じさせられます。安眠香水が、はたして消費者に歓迎されるのか不明ですが、あってもおかしくないテーマです。

秋の夜長は、ぐっすりスリーピング ミスト
安眠香水の時代、来るか?
安眠をテーマにした香水


(2007-07-03)
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速攻、タバコのニコチン
前回のブログでは「キャリアオイルは吸収されるか?」という悩ましい問題を取り上げましたが、これはその余談です。

吸収されているのかされていないのかよくわからないキャリアオイルに比べ、タバコのニコチンの吸収力はすばらしいです。気化され煙として肺に吸い込まれたニコチンは肺胞の毛細血管で取り込まれすぐに全身に回ります。

血液が全身を一巡するには1〜2分かかると言われますが、肺細胞に取り込まれたニコチンが脳に到達するまでには15秒しかかからないとされます。7秒とする説さえあります。

スモーカーが、タバコの煙を吸い込みホッと感じるまでそんなに時間がかからないことは経験的に知られていることなので、あながち15秒はウソでないかもしれません。

血液に乗って脳内に到達したニコチンは、体内一厳しい血流の関所である「血液脳関門」をやすやすと通り抜けて脳細胞(ニコチンレセプター)に取り付きます。

するとドーパミン、エンドルフィン(ランナーズハイで有名ですね)、セロトニンなどの脳内伝達物質が分泌されるそうです。これらが快楽中枢を刺激するそうで、これは麻薬の快楽メカニズムそのもの。

ニコチンレセプターはニコチンにより増殖し、増殖したレセプターはさらにニコチンを欲しがり依存症状を呈します。大したもんです。


速効ニコチンの力は凄い。


タバコは発ガン性や依存性が完全に証明されながら、人類唯一の「合法的かつ制限なく」消費が許される麻薬です。莫大な税収を考えるとこの麻薬は、なるべくそのままにしておきたいのが各国政府の本音でしょうか・・・


(2007-07-02)
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香る生活


肌はオイルを吸収できる?
アロマテラピーの悩ましい疑問の一つが「キャリアオイルの肌への吸収」です。

アロマテラピーを勉強されている方やサロンなどで施術されている方はどのように教わりましたか?

古典的には「皮膚はカラダのバリア。体内の老廃物を排出しても、何かの成分を体内に取り込むことはない」とされてきましたので「吸収されない」と教わりましたか?それともキャリアオイルのネーミングの通り精油を肌深く運ぶためのキャリアなので、キャリアオイルは「吸収される」ということだったでしょうか?

正解は実はよくわからないです。

キャリアオイルに溶かし込んだ精油(エッセンシャル・オイル)は、血中や尿のなかで精油の成分が検出可能なので全部ではないにしろ一部「吸収されています」。ところが、キャリアオイルは血中や尿のなかで検出不可能です。

一つには分子量が大きく血管に吸収されないこともありますが、分解されて吸収されたとしても、血中にはすでにコレステロール(脂肪酸から生成される)やビタミンがありますのでそれが肌に塗布したキャリアオイル由来の脂肪酸やビタミンなのか特定できないためです。

肌に吸収可能な分子量は一説に500とされています(定説ではありません)。それは意味がないという説もあります。たとえば、直径1ミリの穴があり、そこに直径3ミリのボールが飛んできても絶対に通過できません。

ところが直径1ミリ、長さ100ミリの棒なら通る可能性があります。そのことから分子量から吸収の可否を判断するのは間違いで、吸収されるかどうかは「分子量だけでなく分子構造に依存する」ようにも思いわれます。

皮膚に成分が吸収されることを「経皮吸収」と言いますが、医学的な定義ではたんに肌に吸収されるだけでなく血管に取り込まれて血中に吸収されること(=全身に運ばれる)を指します。この意味での吸収に関して言えば、キャリアオイルの経皮吸収はされていないと考える研究者が多いのでは?

また、皮膚は肌に塗布されたオイルや薬剤の成分を選択的に吸収しているという人がいます。これは何を選択し、何を選択しないかそのメカニズムが解明されない限り、信じがたい説です。

吸収されるかどうかは皮膚による選択的・意図的な吸収ではなく、成分濃度と皮膚内部の濃度差による受動的な拡散現象とする考え方が有力です。

面白いところでは、キャリアオイルは肌表面で分解され小さな分子になって吸収されるという説もあります。私の知る限り、皮膚でキャリアオイルを分解する酵素が発見されたというニュースは聞きたことがありません。

細胞膜は油脂性であり水に対してバリア機能がありますが、キャリアオイルを構成する脂肪酸は細胞膜に「溶ける」、だから吸収されるという人もいます。

皮膚に吸収されるとは皮膚の細胞に取り込まれるのか、細胞間に取り込まれるのかも解明されていません。皮膚は多層構造(表皮、真皮、皮下組織)になっていますが、そのどの層まで到達するのかデータも少ないようです。それらしい写真を撮影した文献はありますが、どう評価してよいのやら?・・・


わからないことばかりです。


少なくとも「皮膚はカラダのバリアなので何も通さない」という説は間違っているます。たとえば、皮膚科で多様されているステロイド外用剤や、肌に貼るタイプのニコチンパッチ、ニトログリセリン(狭心症用のクスリ。ダイナマイトの原料にもなりますね)は成分が皮膚に浸透し効果が発揮されます(経皮吸収)。

精油にしてもステロイドを構成する合成ホルモンにしろ、ニコチンもニトログリセリンも、これらは分子量は小さく吸収され一部は血液に乗って全身に運ばれます。経皮吸収されていることは事実です。

一方分子量が大きく皮膚通過が可能とされる分子量と比較すると同程度で、どうかなと思われる脂肪酸類(キャリアオイル)はその吸収メカニズムが不明です。しかし、塗布後しばらして肌がサラサラになる場合は、血中まで到達するかどうかは別として、実感としてある程度肌に吸収されることが感じられます。

そこで経験的にある程度吸収されていると私は考えています。

しかし、その吸収量や吸収率はキャリアオイルの種類によってもまったく違いますし、カラダの部位によっても違います(人の皮膚で一番吸収性がよいのは、口や胃腸を除いて、順番に陰部->脇の下->頭部->首など皮膚の薄い部分だそうです。足の裏などは何も吸収しないかも?)。個人差もあるし、同じ人でも時間帯や状態によっても変化します。

コンシンのオイルの理想は、肌への吸収です。吸収され肌表面でのベタつきをなくし、水洗いしても洗い落とされず、効果を継続的に発揮してくれることです。

キャリアオイルの肌吸収に関する説はいろいろあり、また根拠なく断言する先生方も多く混乱気味ですが、正しいデータはありません。

データがないので、試作しては試すことを繰り返すしか開発手法は見あたらないようです。


試す、試す、試す・・・
(2007-07-02)
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香る生活


今年のヨーロッパ産ローズは異変気味

熱波のモスクワ


モスクワは通常5月でも肌寒いくらいですが、今年は異常です。ニュースによると5月後半には連日30度以上、観測記録を更新しつづけている模様です。


多発する山火事


6月下旬イタリアでは地中海より吹き荒れる熱波に見舞われ連日40度を超え、特にシチリア島では気温45度を超える猛暑。スペイン、フランス、ルーマニア・・・ヨーロッパ全体が猛暑の狂おしい状況です。

猛暑の夏は、ヨーロッパでは必ず山火事が多発し、現地では消火活動に当たる消防隊のニュースが繰り返し流されます。


クーラーの普及が進む


現地のホテルでテレビを付けているともう見ているだけでもだえてしまいます。フランスやイギリスでは真夏でも過ごしやすく、近年まで一般家庭にクーラーはありませんでした。

たとえばフランスの代表的リゾートであるニースやカンヌでさえ、ちょっとランクの落ちるホテルや郊外の中クラスホテルになると空調はありませんでした。

しかし、近年猛暑のために亡くなる方が続出、一般家庭にもクーラーの普及が進み始めています。


開花が早まるバラ


ブルガリアローズの収穫は5月最盛期を迎え、6月上旬にはほぼ完了するのですが、毎年開花時期が早まっています。

今年のブルガリア「バラの谷」は開花時期が早いだけでなく、開花前の雨量が少なく、開花すれば雨天が続きました。

天候不順はそのままローズの品質に影響します。開花前に雨天が続き、収穫期には曇天が続くの理想的です。

それによって精油の質・量ともに最高のローズオイルが産出されます。


狂いだす天候


その理想の天候がブルガリア「バラの谷」の世界的な競争力の源泉になっているのですが(その他、バラの谷は地形や土壌成分なども理想的です)、その競争力が今年は充分に発揮できませんでした。

ローズオイルの生産量は例年と比較して落ちていますし、生産量が落ちる年は、必ず品質も落ちるものです。


暗い影を落とす天候異変


一方、6月はじめフランスにバラの生育を視察に行った知人によると例年ならよいタイミングの頃と予想していたのですが「すでに腐れかけていた」と表現していました。

イランやトルコ、モロッコ、インド、中国でもローズ栽培が盛んですが、今のところよいニュースは聞こえてきません。

ローズオイル関係者には切実な状況です。今年だけでなくこれからも異変が続いていきそうな気配が関係者の心に陰を落とします。

(2007-06-30)
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