( 香水工場の )
香る生活
マスマーケットに向かうラグジュアリー6
「マスマーケットに向かうラグジュアリー」の6回目です。今回はヒップポップのスター達が歌詞で取り上げたことでドンペリやクリュッグのように有名になったシャンペン「クリスタル」の話です。商品は爆発的に売れたものの、ちょっとしたハズミで逆にボイコットを受けます。アメリカ資本主義の洗礼を受けるフランスの素朴なシャンペンメーカーは、日本人もやられかねないという危惧を感じました。高級時計など、一方では「ウルトラ限定バージョン」というバブル化するラグジュアリーの話題もでてきます。さっそく・・・
-------------(原文訳)--------------
ピエール・カルダンやバーバリーばかりでなく高級飲料メーカーも同じようなジレンマを抱えています。シャンペン「クリスタル」やコニャック「クルバジェ」は、有名ラップ・スターたちの歌詞の中に繰り返しでてきます。ラップ・スターが歌うことで売上げは激増したものの、昨年、クリスタルの愛飲者であったラッパーのJay-Zは、このメーカーが「人種差別的」発言をしたとして消費者にクリスタルのボイコット呼びかけました。
そのへんの事情はaccessible-luxury(手の届く贅沢)の話で、本当のお金持ちにはあまり関心がないことかもしれません。世界の高額所得者は過去10年で倍増していますから、ヴィトンやカルティエなどは彼らを取り込む作戦に出ていますが、そのやり方は「限定バージョン」や「限定品」を成層圏プライス(超高価格)で提供することです。
2500万円でヴィトンのTourbillonを買えば、あたなの星座を時計に彫ってくれるでしょう。それとも「ウルトラ限定バージョン」がお好きでしょうか?価格さえも公表されていないヴィトンのスーツケースはいかが?このウルトラ限定バージョンは極めて限られた顧客向けですが、非常に高い成長分野です。信じがたいほどユニークなモノに強い需要があるとルイ・ヴィトンのCEOは語ります。
-------------(原文訳ここまで)--------------
2006年米国「エコノミスト」誌でクリスタルの製造元であるシャンパンメゾン「ルイ・ロデレール社」(Louis Roederer)の重役が、ラッパーに愛されることをそれほど歓迎しない内容の発言をしたことをきっかけにJay-Zが反撃に出たというニュースを指しています。
あちらでは大きな芸能ニュースだったようで、検索すればたくさん記事が出てきます。たとえば、Dom Perignon or Krug would be delighted to have their business(ドン・ペリニョンやクリュッグなら(ラッパーのリリックに登場することを)喜んでいるでしょうが、私たちは・・・)という発言。
その記事にはラッパー達を"unwelcome attention"(招かれざる客)と意図的な焚き付けとも取られかねないタイトが付いています。スゴイデスね〜
日本人記者なら敵意がない限り相手の発言に対して意図を汲み取ってタイトルを付けると思いますが、アメリカではより刺激的な記事にされるのかもしれません。
クリスタルはフランス・シャンパーニュの小規模メゾンで高級シャンパンながら、ドン・ペリニョンやクリュッグのようには知られていないメーカーさんでしたが、ラッパーの歌詞に頻繁に取り上げられることで、90年代猛烈に売上げを伸ばしたとされます。クリスタルは現在ナイトクラブでセレブ御用達のシャンパンとしての不動の地位を築いているそうです。
さて、真のラグジュアリーブランドはどのような作戦で、リッチ層を取り込もうとしているのでしょうか?答えは「ULTRA-LIMITED EDITION」(ウルトラ限定エディション)。2500万円の時計???いくらブランドとはいえ、一桁いや二桁くらいゼロの数字が違うのではないかと疑いたくなりますが「INCREDIBLE」(信じがたいほどの)ものが期待できる成長分野だそうです。そうか、発売元のルイ・ヴィトンにとっても実は信じがたい値付けだったのか・・・消費者が腰を抜かす値段であることが重要なようです。
マスマーケットに向かうラグジュアリー7
マスマーケットに向かうラグジュアリー6
マスマーケットに向かうラグジュアリー5
マスマーケットに向かうラグジュアリー4
マスマーケットに向かうラグジュアリー3
マスマーケットに向かうラグジュアリー2
マスマーケットに向かうラグジュアリー1
---------------QUOTE--------------
Drinks companies faced a similar dilemma when rap stars feted Cristal champagne and Courvoisier cognac in their lyrics. That helped boost sales, but it made some executives uncomfortable. Last year rapper Jay-Z called a boycott of Cristal after interpreting remarks by one of the maker's executives as racist.
But at least some wealthy people aren't interested in the familiar. As the number of high-net-worth individuals in the world has doubled in the past decade, Vuitton, Cartier, and others are in a race to the top to woo them. Even as they look to extend their brands downward, they are offering limited-edition or one-of-a-kind products at stratospheric prices.
Buy that $220,000 Vuitton Tourbillon watch and the company will incorporate your zodiac sign on it. Or perhaps you'd prefer the ultra-limited edition: one of just five trunks containing 33 Marilyn bags, each in a different shade of crocodile leather, for which Vuitton won't disclose a price. CEO Carcelle says that these "・er-luxury" items account for a minority of sales, but that it's a high-growth area. "There is demand for things that are incredible and unique," he says.
---------------QUOTE--------------
---------------QUOTE--------------
Managing Director Of Cristal Not Impressed With Rap Patronage
In a special edition of The Economist Magazine, the managing director of Louis Roderer Cristal addressed the popularity of the brand amongst Hip-Hop artists.
In an article titled "Bubbles & Bling" in the March 2006 issue, Frederic Rouzaud, the managing director of Cristal, stated that the company observes its association with the rap world with "curiosity and serenity."
Despite importing over 50,000 cases of the champagne per year, Rouzaud was less than thrilled at rappers' fondness for the posh drink.
"What can we do?" Rouzaud told The Economist. "We can't forbid people from buying it. I'm sure Dom Perignon or Krug would be delighted to have their business."
The article further labeled the constant Cristal patronage by rappers as "unwelcome attention."
The article contains pictures of Sean "Diddy" Combs, one of the drink's most popular enthusiasts and quotes Jay-Z's No. 1 hit "Hard Knock Life," which name-checked the brand.
According to AmericanBrandstand.com, the pricey champagne was the 8th most mentioned brand on Billboard's Top 100 chart in 2005 with 35 mentions, being promoted by the likes of Kanye West, Trina, Lloyd Banks, The Game, Mariah Carey, and others.
Source: allhiphop.com
---------------QUOTE--------------
(2007-10-05)
-------------(原文訳)--------------
ピエール・カルダンやバーバリーばかりでなく高級飲料メーカーも同じようなジレンマを抱えています。シャンペン「クリスタル」やコニャック「クルバジェ」は、有名ラップ・スターたちの歌詞の中に繰り返しでてきます。ラップ・スターが歌うことで売上げは激増したものの、昨年、クリスタルの愛飲者であったラッパーのJay-Zは、このメーカーが「人種差別的」発言をしたとして消費者にクリスタルのボイコット呼びかけました。
そのへんの事情はaccessible-luxury(手の届く贅沢)の話で、本当のお金持ちにはあまり関心がないことかもしれません。世界の高額所得者は過去10年で倍増していますから、ヴィトンやカルティエなどは彼らを取り込む作戦に出ていますが、そのやり方は「限定バージョン」や「限定品」を成層圏プライス(超高価格)で提供することです。
2500万円でヴィトンのTourbillonを買えば、あたなの星座を時計に彫ってくれるでしょう。それとも「ウルトラ限定バージョン」がお好きでしょうか?価格さえも公表されていないヴィトンのスーツケースはいかが?このウルトラ限定バージョンは極めて限られた顧客向けですが、非常に高い成長分野です。信じがたいほどユニークなモノに強い需要があるとルイ・ヴィトンのCEOは語ります。
-------------(原文訳ここまで)--------------
2006年米国「エコノミスト」誌でクリスタルの製造元であるシャンパンメゾン「ルイ・ロデレール社」(Louis Roederer)の重役が、ラッパーに愛されることをそれほど歓迎しない内容の発言をしたことをきっかけにJay-Zが反撃に出たというニュースを指しています。
あちらでは大きな芸能ニュースだったようで、検索すればたくさん記事が出てきます。たとえば、Dom Perignon or Krug would be delighted to have their business(ドン・ペリニョンやクリュッグなら(ラッパーのリリックに登場することを)喜んでいるでしょうが、私たちは・・・)という発言。
その記事にはラッパー達を"unwelcome attention"(招かれざる客)と意図的な焚き付けとも取られかねないタイトが付いています。スゴイデスね〜
日本人記者なら敵意がない限り相手の発言に対して意図を汲み取ってタイトルを付けると思いますが、アメリカではより刺激的な記事にされるのかもしれません。
クリスタルはフランス・シャンパーニュの小規模メゾンで高級シャンパンながら、ドン・ペリニョンやクリュッグのようには知られていないメーカーさんでしたが、ラッパーの歌詞に頻繁に取り上げられることで、90年代猛烈に売上げを伸ばしたとされます。クリスタルは現在ナイトクラブでセレブ御用達のシャンパンとしての不動の地位を築いているそうです。
さて、真のラグジュアリーブランドはどのような作戦で、リッチ層を取り込もうとしているのでしょうか?答えは「ULTRA-LIMITED EDITION」(ウルトラ限定エディション)。2500万円の時計???いくらブランドとはいえ、一桁いや二桁くらいゼロの数字が違うのではないかと疑いたくなりますが「INCREDIBLE」(信じがたいほどの)ものが期待できる成長分野だそうです。そうか、発売元のルイ・ヴィトンにとっても実は信じがたい値付けだったのか・・・消費者が腰を抜かす値段であることが重要なようです。
マスマーケットに向かうラグジュアリー7
マスマーケットに向かうラグジュアリー6
マスマーケットに向かうラグジュアリー5
マスマーケットに向かうラグジュアリー4
マスマーケットに向かうラグジュアリー3
マスマーケットに向かうラグジュアリー2
マスマーケットに向かうラグジュアリー1
---------------QUOTE--------------
Drinks companies faced a similar dilemma when rap stars feted Cristal champagne and Courvoisier cognac in their lyrics. That helped boost sales, but it made some executives uncomfortable. Last year rapper Jay-Z called a boycott of Cristal after interpreting remarks by one of the maker's executives as racist.
But at least some wealthy people aren't interested in the familiar. As the number of high-net-worth individuals in the world has doubled in the past decade, Vuitton, Cartier, and others are in a race to the top to woo them. Even as they look to extend their brands downward, they are offering limited-edition or one-of-a-kind products at stratospheric prices.
Buy that $220,000 Vuitton Tourbillon watch and the company will incorporate your zodiac sign on it. Or perhaps you'd prefer the ultra-limited edition: one of just five trunks containing 33 Marilyn bags, each in a different shade of crocodile leather, for which Vuitton won't disclose a price. CEO Carcelle says that these "・er-luxury" items account for a minority of sales, but that it's a high-growth area. "There is demand for things that are incredible and unique," he says.
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Managing Director Of Cristal Not Impressed With Rap Patronage
In a special edition of The Economist Magazine, the managing director of Louis Roderer Cristal addressed the popularity of the brand amongst Hip-Hop artists.
In an article titled "Bubbles & Bling" in the March 2006 issue, Frederic Rouzaud, the managing director of Cristal, stated that the company observes its association with the rap world with "curiosity and serenity."
Despite importing over 50,000 cases of the champagne per year, Rouzaud was less than thrilled at rappers' fondness for the posh drink.
"What can we do?" Rouzaud told The Economist. "We can't forbid people from buying it. I'm sure Dom Perignon or Krug would be delighted to have their business."
The article further labeled the constant Cristal patronage by rappers as "unwelcome attention."
The article contains pictures of Sean "Diddy" Combs, one of the drink's most popular enthusiasts and quotes Jay-Z's No. 1 hit "Hard Knock Life," which name-checked the brand.
According to AmericanBrandstand.com, the pricey champagne was the 8th most mentioned brand on Billboard's Top 100 chart in 2005 with 35 mentions, being promoted by the likes of Kanye West, Trina, Lloyd Banks, The Game, Mariah Carey, and others.
Source: allhiphop.com
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(2007-10-05)
( 香水工場の )
香る生活
イタリアで買ったアロマオイル、本物か調べて
「商品には、一応成分は表示されていますが、本当かどうか、また違う成分が入っていないか分析してもらえませんか?」
というお問い合せ電話をいただきました。
問い合わせいただいたお客様には、どうも、ある機械にアロマオイルの液体を入れると成分がコンピューターの画面に表示されるようなイメージがあるようです。
実は成分分析は簡単ではありません。
食品や化粧品が安全かどうか調べる場合、普通はヒ素や重金属や特定農薬成分など有害成分としてリストアップされている成分が混入しているかどうかを検査します。
つまり、特定成分に当たりをつけて、それが入っているかどうかの検査が比較的多く行われている食品や化粧品の安全性テストです。
ところが、物体の全成分と調べたいとなると化学成分分析の専門機関に持ち込んで数十万円お支払いしても全成分を特定することは、とくに天然成分が含まれると、ある程度判別できても完全な解明は通常不可能です。化学成分分析の専門機関ではクロマトグラフィーや発光分析という手法で分析されますが、UNKNOWN(未特定成分)が続々とでてくる可能性があります。
そもそもアロマオイルを分析したら、「ラベンダー」や「カモミール」などのような植物名ではでてきません。ゲラニオール、リナロール、シトロネロール、リモネン、カンファー、クマリン・・・など有機化学成分名ででてきます。これらから「それはラベンダーである」結論づけることはやや職人芸の世界。専門家によって違う結論もありうるという不安定な世界です。特に何かとブレンドされていたらアウトのはず。
悲しいことに、この種の商品はラベルに表記されてある内容を信じるしかありません。それは逆にエッセンシャル・オイルなどは信用のある会社から購入することをオススメしたいという理由にもなっています。
(2007-10-04)
というお問い合せ電話をいただきました。
問い合わせいただいたお客様には、どうも、ある機械にアロマオイルの液体を入れると成分がコンピューターの画面に表示されるようなイメージがあるようです。
実は成分分析は簡単ではありません。
食品や化粧品が安全かどうか調べる場合、普通はヒ素や重金属や特定農薬成分など有害成分としてリストアップされている成分が混入しているかどうかを検査します。
つまり、特定成分に当たりをつけて、それが入っているかどうかの検査が比較的多く行われている食品や化粧品の安全性テストです。
ところが、物体の全成分と調べたいとなると化学成分分析の専門機関に持ち込んで数十万円お支払いしても全成分を特定することは、とくに天然成分が含まれると、ある程度判別できても完全な解明は通常不可能です。化学成分分析の専門機関ではクロマトグラフィーや発光分析という手法で分析されますが、UNKNOWN(未特定成分)が続々とでてくる可能性があります。
そもそもアロマオイルを分析したら、「ラベンダー」や「カモミール」などのような植物名ではでてきません。ゲラニオール、リナロール、シトロネロール、リモネン、カンファー、クマリン・・・など有機化学成分名ででてきます。これらから「それはラベンダーである」結論づけることはやや職人芸の世界。専門家によって違う結論もありうるという不安定な世界です。特に何かとブレンドされていたらアウトのはず。
悲しいことに、この種の商品はラベルに表記されてある内容を信じるしかありません。それは逆にエッセンシャル・オイルなどは信用のある会社から購入することをオススメしたいという理由にもなっています。
(2007-10-04)
( 香水工場の )
香る生活
バラの花の香りを完全に再現した香水
電話の主は、とってもマダムな感じのお方。
ご質問の内容は「バラの花の香りを完全に再現した香水、ございませんか?」というもの。今までいろいろなローズ系香水を、特にヨーロッパブランドで捜されてきたそうですが、満足できないそうです。香りの善し悪しではなく「バラとは言えない」香りだからです。
武蔵野ワークスのフローラル・フォーシーズンズならそのご要望にお応えできるでしょうか?
「申し訳ありません。不可能です。バラの香りの完全な再現は、世界のパフューマーの夢であり、調香技術の頂点です。現在科学をもってしてもバラの香りの完全な成分解明でさえできていない状態です。ひっよとしたら永遠に到達できないかもしれません」
と返答すると失望されるどころか、天然の凄さに、ひどく満足なご様子でした。この方は、真のローズファンに間違いない。
(2007-10-03)
ご質問の内容は「バラの花の香りを完全に再現した香水、ございませんか?」というもの。今までいろいろなローズ系香水を、特にヨーロッパブランドで捜されてきたそうですが、満足できないそうです。香りの善し悪しではなく「バラとは言えない」香りだからです。
武蔵野ワークスのフローラル・フォーシーズンズならそのご要望にお応えできるでしょうか?
「申し訳ありません。不可能です。バラの香りの完全な再現は、世界のパフューマーの夢であり、調香技術の頂点です。現在科学をもってしてもバラの香りの完全な成分解明でさえできていない状態です。ひっよとしたら永遠に到達できないかもしれません」
と返答すると失望されるどころか、天然の凄さに、ひどく満足なご様子でした。この方は、真のローズファンに間違いない。
(2007-10-03)
( 香水工場の )
香る生活
秋づく。ニオイも穏やかになる通勤電車
10月ですね。秋になれば空気が落ち着くというか透明感が感じられるようになります。女性の方でしたらお洒落にも一工夫入れたくなる季節ではないでしょうか。何を食べてもおいしいこの季節、実りの秋はカラダも喜ぶ季節のようです。
黙っていてもウキウキしてくるこの楽しさは、お米の収穫、そしてそれに続く秋祭りという古来日本人が綿々と続けてきた生活に関係しているのかもしれません。秋が好きな私は根っからの日本人のようです。
とことで、当社のスタッフ、特に女性スタッフはこの時期、通勤電車の匂いから解放される時期です。仕事柄、匂いに敏感な彼女たちは街にでれば様々なニオイに遭遇します。
香水を付けすぎた人、生鮮食料品店のニオイ、おいしいニオイ、香ばしいニオイ、酸化しかけた油のニオイ・・・様々なニオイが色模様の風景のように楽しめるのですが、夏場の電車の中で、たまに遭遇する強烈な体臭はやはり苦手なようです。
「鼻が曲がりそうです」
あえて感想を聞けばこのような発言をしていました。皮脂由来大量発生細菌くんの仕業に違いありません。
しかし、そんな悩みも秋になればすぐに改善されます。心穏やかに今日も通勤電車。
(2007-10-02)
黙っていてもウキウキしてくるこの楽しさは、お米の収穫、そしてそれに続く秋祭りという古来日本人が綿々と続けてきた生活に関係しているのかもしれません。秋が好きな私は根っからの日本人のようです。
とことで、当社のスタッフ、特に女性スタッフはこの時期、通勤電車の匂いから解放される時期です。仕事柄、匂いに敏感な彼女たちは街にでれば様々なニオイに遭遇します。
香水を付けすぎた人、生鮮食料品店のニオイ、おいしいニオイ、香ばしいニオイ、酸化しかけた油のニオイ・・・様々なニオイが色模様の風景のように楽しめるのですが、夏場の電車の中で、たまに遭遇する強烈な体臭はやはり苦手なようです。
「鼻が曲がりそうです」
あえて感想を聞けばこのような発言をしていました。皮脂由来大量発生細菌くんの仕業に違いありません。
しかし、そんな悩みも秋になればすぐに改善されます。心穏やかに今日も通勤電車。
(2007-10-02)
( 香水工場の )
香る生活
マスマーケットに向かうラグジュアリー5
「マスマーケットに向かうラグジュアリー」の5回目です。ブランドさんも、多くは普通の企業ですので、株主のために収益を上げ続けなければならないミッションがあります。職人芸的なモノづくりを優先するか、それとも利益を最大限にするため商品アイテムを増やし量産を行い事業拡大にひた走るか・・・悩み多いジレンマです。
今日は本来限定された人しか手にできなかったはずの「ラグジュアリー」が、ほぼすべての人に行き渡った日本の特殊な現象が述べられています。では、さっそく・・・
-------------(原文訳)--------------
そして、忘れていけないのが「過剰露出によるリスク」です。過去10年世界のラグジュアリーマーケットの40%を消費してきたと考えられている日本では、ある日本の調査機関によると94.3%もの20代日本人女性がルイ・ヴィトンの何かしらの商品を所有しているとされます。
過剰露出による悪夢へのシナリオは、たんにブランドの陳腐化と失墜に他なりません。1960年代ライセンスビジネスのパイオニアとなったピエール・カルダンは、結果的に数百種類に及ぶライセンス商品の管理不能状態に陥りました。一時期、トレンチコートで有名なバーバリーにも同じ現象がありました。1990年代中期、アメリカ人のCEOの元で進められた改革ではバーバリーのプレイドマーク(格子縞、スコットランドのチェックが起源と思われます)はビキニからベビーカーにまで及びました。
おかげでバーバリーは世界的な大ヒットの恩恵を受けたのですが、一方お膝元イギリスでは火の手があがります。フーリガンや下品な女性芸能人たちがバーバリーを愛用しバーバリーのプレイドを自分たちのシンボルにしたりしました。そんなこともあり一時期、バーバリーの帽子を着ているとナイトクラブにも入れない状態でしたが、2001年に起用されたデザイナーChristopher Baileyが、馬や騎士のアイコンを目立たせ、逆にプレイドを弱くすることでイメージの回復をはかりました。彼は新しいデザインを「くだけたエレガンス」と呼び、ラグジュアリー中に親しみを表現しようとしています。
-------------(原文訳ここまで)--------------
最近読んだ本『ブランドビジネス』(高橋克典)にはこのように書かれています:
「ルイ・ヴィトンはかくして国民的制服になり、ブルジョワだけが持つべきブランドではなく、年齢や性別を問わず誰もが安心して買え、リッチな気分になれるツールとなった」(29ページ)
階級意識が浸透しているヨーロッパでは、仮にお金ができても庶民はヴィトンには手を出さずに他のモノを買うし、しかも他人と違うものを捜すとはよく言われますが、年収2500万円のニューリッチも250万のOLもみんなヴィトンを持ち歩いて「わだかまりがない」日本では、ルイ・ヴィトンは国民服の様相を呈しつつ、それでもなおヴィトンのラグジュアリーイメージが健全であることに高橋氏は賛辞を惜しみません。
高橋氏は欧米では考えにくいこのような現象の原因を「日教組に代表される社会主義的教育」と断言しています。確かに同じバッグを持って街中で鉢合わせることに何ら違和感を感じない私たちは無個性で同一性をよしとする民族のようです。
ところで、ブランドとライセンスビジネスの関係を語るとき教科書のように語り継がれる話がピエール・カルダンです。
突然ですが、私は高校生の頃、ピエール・カルダンのショルダーバッグを持っていました。極東の片田舎のバッグショップに、まさかピエール・カルダンのような有名デザイナーの商品が置かれていたとは知る由もなく私は単純に5千円というプライスと色とデザインが気に入って購入しました。
筆記体で書かれたロゴ「Pierre Cardin」は当時読めませんし仮に読めても「ピエール・カルダン」というブランドは知りませんでしたが、どうも「高級ブランドらしい」ことは薄々感じていました。
しかし、その高級ブランドのロゴが、タオルやトイレ用スリッパなど結構いろんなところに張り付いているのに気づき、ピエール・カルダンを持っていることが「どうしても恥ずかしくて」ロゴのところだけマジックで塗りつぶそうかとも考えました。けっきょく使わなくなりいつのまにかなくなっていました。
イヴ・サンローランとともにクリスチャン・ディオール・メゾンの「プリンス」だった世界のトップデザイナー、ピエール・カルダンは、当時、極東の片田舎ではちょっと恥ずかしいブランドに成り下がっていたのです。
デザイナーからすれば、放っておいても自動的に上前(うわまえ)が上がってくるライセンスビジネスは「麻薬」のように魅力的ですが、反面ブランドの骨組みを蝕む魔物です。
ピエール・カルダン以降、ブランドではライセンスビジネスに厳しい制限を設けることが常識になりましたが、バーバリーが90年代に「ビキニからベビーカーにまでバーバリーチェック」を入れて同じ轍にはまったことを考えると、ライセンス中毒はよほど強力な麻薬のようです。
「過去10年世界のラグジュアリーマーケットの40%を消費してきた日本」とありますが、今後この主役は中国に移るでしょう。真のグジュアリーを求める大人たちの安堵するため息もどこからか聞こえてきそうです。
マスマーケットに向かうラグジュアリー7
マスマーケットに向かうラグジュアリー6
マスマーケットに向かうラグジュアリー5
マスマーケットに向かうラグジュアリー4
マスマーケットに向かうラグジュアリー3
マスマーケットに向かうラグジュアリー2
マスマーケットに向かうラグジュアリー1
---------------QUOTE--------------
There's also a risk of overexposure, particularly in Japan, which accounted for as much as 40% of worldwide luxury demand over the past decade. Already, 94.3% of Japanese women in their 20s own a Louis Vuitton item, according to one Japanese research institute.
The nightmare scenario is that your brand suddenly becomes banal or vulgar. That happened to Pierre Cardin, who pioneered the use of licenses in the 1960s only to lose control of the hundreds of products that ended up bearing his name. For a while it happened to Burberry. A British outerwear company best known for its trench coats, it underwent a transformation in the 1990s at the hands of an American CEO, Rose-Marie Bravo, who used Burberry's distinctive plaid on products from bikinis to strollers.
That made it a hit worldwide, but her strategy backfired in Britain when soccer hooligans and tart-tongued tabloid actresses adopted the Burberry plaid as their own status symbol. For a time, nightclub bouncers in Britain refused entry to people wearing Burberry caps. The firm succeeded in containing the problem to Britain and moved aggressively to resolve it. Christopher Bailey, brought in as designer in 2001, has deemphasized plaid and played up other icons of the brand, such as a horse and knight. He describes the new look as "disheveled elegance - it's luxury, but there's a familiarity about it."
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(2007-09-29)
今日は本来限定された人しか手にできなかったはずの「ラグジュアリー」が、ほぼすべての人に行き渡った日本の特殊な現象が述べられています。では、さっそく・・・
-------------(原文訳)--------------
そして、忘れていけないのが「過剰露出によるリスク」です。過去10年世界のラグジュアリーマーケットの40%を消費してきたと考えられている日本では、ある日本の調査機関によると94.3%もの20代日本人女性がルイ・ヴィトンの何かしらの商品を所有しているとされます。
過剰露出による悪夢へのシナリオは、たんにブランドの陳腐化と失墜に他なりません。1960年代ライセンスビジネスのパイオニアとなったピエール・カルダンは、結果的に数百種類に及ぶライセンス商品の管理不能状態に陥りました。一時期、トレンチコートで有名なバーバリーにも同じ現象がありました。1990年代中期、アメリカ人のCEOの元で進められた改革ではバーバリーのプレイドマーク(格子縞、スコットランドのチェックが起源と思われます)はビキニからベビーカーにまで及びました。
おかげでバーバリーは世界的な大ヒットの恩恵を受けたのですが、一方お膝元イギリスでは火の手があがります。フーリガンや下品な女性芸能人たちがバーバリーを愛用しバーバリーのプレイドを自分たちのシンボルにしたりしました。そんなこともあり一時期、バーバリーの帽子を着ているとナイトクラブにも入れない状態でしたが、2001年に起用されたデザイナーChristopher Baileyが、馬や騎士のアイコンを目立たせ、逆にプレイドを弱くすることでイメージの回復をはかりました。彼は新しいデザインを「くだけたエレガンス」と呼び、ラグジュアリー中に親しみを表現しようとしています。
-------------(原文訳ここまで)--------------
最近読んだ本『ブランドビジネス』(高橋克典)にはこのように書かれています:
「ルイ・ヴィトンはかくして国民的制服になり、ブルジョワだけが持つべきブランドではなく、年齢や性別を問わず誰もが安心して買え、リッチな気分になれるツールとなった」(29ページ)
階級意識が浸透しているヨーロッパでは、仮にお金ができても庶民はヴィトンには手を出さずに他のモノを買うし、しかも他人と違うものを捜すとはよく言われますが、年収2500万円のニューリッチも250万のOLもみんなヴィトンを持ち歩いて「わだかまりがない」日本では、ルイ・ヴィトンは国民服の様相を呈しつつ、それでもなおヴィトンのラグジュアリーイメージが健全であることに高橋氏は賛辞を惜しみません。
高橋氏は欧米では考えにくいこのような現象の原因を「日教組に代表される社会主義的教育」と断言しています。確かに同じバッグを持って街中で鉢合わせることに何ら違和感を感じない私たちは無個性で同一性をよしとする民族のようです。
ところで、ブランドとライセンスビジネスの関係を語るとき教科書のように語り継がれる話がピエール・カルダンです。
突然ですが、私は高校生の頃、ピエール・カルダンのショルダーバッグを持っていました。極東の片田舎のバッグショップに、まさかピエール・カルダンのような有名デザイナーの商品が置かれていたとは知る由もなく私は単純に5千円というプライスと色とデザインが気に入って購入しました。
筆記体で書かれたロゴ「Pierre Cardin」は当時読めませんし仮に読めても「ピエール・カルダン」というブランドは知りませんでしたが、どうも「高級ブランドらしい」ことは薄々感じていました。
しかし、その高級ブランドのロゴが、タオルやトイレ用スリッパなど結構いろんなところに張り付いているのに気づき、ピエール・カルダンを持っていることが「どうしても恥ずかしくて」ロゴのところだけマジックで塗りつぶそうかとも考えました。けっきょく使わなくなりいつのまにかなくなっていました。
イヴ・サンローランとともにクリスチャン・ディオール・メゾンの「プリンス」だった世界のトップデザイナー、ピエール・カルダンは、当時、極東の片田舎ではちょっと恥ずかしいブランドに成り下がっていたのです。
デザイナーからすれば、放っておいても自動的に上前(うわまえ)が上がってくるライセンスビジネスは「麻薬」のように魅力的ですが、反面ブランドの骨組みを蝕む魔物です。
ピエール・カルダン以降、ブランドではライセンスビジネスに厳しい制限を設けることが常識になりましたが、バーバリーが90年代に「ビキニからベビーカーにまでバーバリーチェック」を入れて同じ轍にはまったことを考えると、ライセンス中毒はよほど強力な麻薬のようです。
「過去10年世界のラグジュアリーマーケットの40%を消費してきた日本」とありますが、今後この主役は中国に移るでしょう。真のグジュアリーを求める大人たちの安堵するため息もどこからか聞こえてきそうです。
マスマーケットに向かうラグジュアリー7
マスマーケットに向かうラグジュアリー6
マスマーケットに向かうラグジュアリー5
マスマーケットに向かうラグジュアリー4
マスマーケットに向かうラグジュアリー3
マスマーケットに向かうラグジュアリー2
マスマーケットに向かうラグジュアリー1
---------------QUOTE--------------
There's also a risk of overexposure, particularly in Japan, which accounted for as much as 40% of worldwide luxury demand over the past decade. Already, 94.3% of Japanese women in their 20s own a Louis Vuitton item, according to one Japanese research institute.
The nightmare scenario is that your brand suddenly becomes banal or vulgar. That happened to Pierre Cardin, who pioneered the use of licenses in the 1960s only to lose control of the hundreds of products that ended up bearing his name. For a while it happened to Burberry. A British outerwear company best known for its trench coats, it underwent a transformation in the 1990s at the hands of an American CEO, Rose-Marie Bravo, who used Burberry's distinctive plaid on products from bikinis to strollers.
That made it a hit worldwide, but her strategy backfired in Britain when soccer hooligans and tart-tongued tabloid actresses adopted the Burberry plaid as their own status symbol. For a time, nightclub bouncers in Britain refused entry to people wearing Burberry caps. The firm succeeded in containing the problem to Britain and moved aggressively to resolve it. Christopher Bailey, brought in as designer in 2001, has deemphasized plaid and played up other icons of the brand, such as a horse and knight. He describes the new look as "disheveled elegance - it's luxury, but there's a familiarity about it."
---------------QUOTE--------------
(2007-09-29)
( 香水工場の )
香る生活
オードパルファム新撰組#2
周囲の人間に「あれ、どうなった?」と質問されているうちに次第に引っ込みが付かなくなってきています。逆に期待させて巻き込んで協力してもらうというのも手かもしれません。
読者のみなさんには、何のお話かまったく不明と思います。背景はこちら(オードパルファム新撰組)に。
話題性やウケねらいだけのチープな商品開発になると台無しです。商品化を前提としない制作が理想的ですが、開発費用がまるまる赤字となる事態は、たとえオヤジたちの酔狂プロジェクトとはいえ、せめてトントンくらいに押さえるのが継続可能な活動を旨とする企業の姿。プライスは付けざるを得ないと思いますが、そこは何か一ひねり欲しいところ。
また、それがほしい人にどのように届けられるのかというのも問題。商売だから売れりゃいいんじゃん、とあらゆるショップに並べることもしたくありません。まずは、熱い歴史ファンが集うであろう学研の『歴史群像』編集部さんに足を運びました。
「オードパルファム『土方歳三』をリリースしたら、読者さんへのプレゼント企画として採用いただけませんか?」
商品がない段階なので明白な返事はいただけませんでしたが前向き。商品開発中、編集部記者さんの個人的なアドバイスも頂けることになり、まずはグッドスタートです。
(2007-09-28)
読者のみなさんには、何のお話かまったく不明と思います。背景はこちら(オードパルファム新撰組)に。
話題性やウケねらいだけのチープな商品開発になると台無しです。商品化を前提としない制作が理想的ですが、開発費用がまるまる赤字となる事態は、たとえオヤジたちの酔狂プロジェクトとはいえ、せめてトントンくらいに押さえるのが継続可能な活動を旨とする企業の姿。プライスは付けざるを得ないと思いますが、そこは何か一ひねり欲しいところ。
また、それがほしい人にどのように届けられるのかというのも問題。商売だから売れりゃいいんじゃん、とあらゆるショップに並べることもしたくありません。まずは、熱い歴史ファンが集うであろう学研の『歴史群像』編集部さんに足を運びました。
「オードパルファム『土方歳三』をリリースしたら、読者さんへのプレゼント企画として採用いただけませんか?」
商品がない段階なので明白な返事はいただけませんでしたが前向き。商品開発中、編集部記者さんの個人的なアドバイスも頂けることになり、まずはグッドスタートです。
(2007-09-28)
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