( 香水工場の )
香る生活
奇跡のアンチエイジング成分
現代科学をもっても解明されない老化の原因とメカニズムですが、もしかしたら近い将来遺伝子工学の力で老化を食い止め、細胞再生を促すクスリが開発されるかもしれません。
一般市場で流通していなくとも研究室ではさまざまな細胞再生促進剤が開発されています。
少なくとも「試験管内では成功した」と主張する研究者は少なくありません。
まったく老化せず、死ぬことがない時代は「技術的にはすでに到達している」と主張される研究者の方もおられます。
不老不死どころか全身の若返り(REJUVENATION、レジュビネーション)さえ可能と言われています。
それが本当なら凄い時代になったものです。
昨今の化粧品のテーマは、大筋アンチエイジングに向かっています。
そこで医薬品・化粧品原料メーカーから様々な化粧品用アンチエイジング成分・アンチエイジング原料が開発され市場にでてきています。
きょうはそんな成分の一つについての体験談です。
成分名を公表できないのが残念ですがお許しください。
日本の化粧品業界では去年から盛り上がっている(米国ではかなり前から)ある成分をテストしました。
アンチエイジングの切り札「細胞再生」を促すとされる成分です。
安全性が高くエビデンス(実証データ・証拠)もあり、その研究成果はノーベル賞受賞という栄誉までついているとなれば、誰でもなんか「効きそう〜」という気持ちになるものです。
スキンケアに配合すれば、若々しいお肌が戻るハズ(実際、そういう説明がされています)、という期待も入道雲のように。
さっそく原料を入手し、ローションに配合して皮膚へのテストを行いました。
細胞再生の状況を数値的に計測することは、それなりに大がかりで複雑です。
そこでまずはマイクロスコープによる写真撮影という定性的なものにとどめましたが、定性的な変化がなければそれ以上のテストや測定は無意味です。
原料メーカーによる使用ガイドラインどおりの使用頻度・配合濃度を遵守し、自分だけでなくボランティアとして知人二人参加してもらい合計3名で3ヶ月間(ボランティアは1〜2ヶ月)テストしました。
そして3ヶ月後・・・
私たちのお肌に奇跡は?・・・
全員結果的に「変化認められず」という結論でした。
ときどき「奇跡の成分」が化粧品業界を騒がせます。必ず仕掛け人がいますが、そんなに簡単に奇跡は起こりませんよね、といつもの結論です。
どういうテストをすれば、提供側が出しているエビデンス・データのようなデータが取れるのか、おそらく「実験方法が悪い」と言われるだけでしょう。
しかし、我々がやって結果が出ないようでは、消費者が行うであろう想定外・非連続的な使い方で結果が出るわけがありません。
踊らされただけで断念、REJUVENATIONは、まだ時期尚早のようです。
(2007-12-01)
一般市場で流通していなくとも研究室ではさまざまな細胞再生促進剤が開発されています。
少なくとも「試験管内では成功した」と主張する研究者は少なくありません。
まったく老化せず、死ぬことがない時代は「技術的にはすでに到達している」と主張される研究者の方もおられます。
不老不死どころか全身の若返り(REJUVENATION、レジュビネーション)さえ可能と言われています。
それが本当なら凄い時代になったものです。
昨今の化粧品のテーマは、大筋アンチエイジングに向かっています。
そこで医薬品・化粧品原料メーカーから様々な化粧品用アンチエイジング成分・アンチエイジング原料が開発され市場にでてきています。
きょうはそんな成分の一つについての体験談です。
成分名を公表できないのが残念ですがお許しください。
日本の化粧品業界では去年から盛り上がっている(米国ではかなり前から)ある成分をテストしました。
アンチエイジングの切り札「細胞再生」を促すとされる成分です。
安全性が高くエビデンス(実証データ・証拠)もあり、その研究成果はノーベル賞受賞という栄誉までついているとなれば、誰でもなんか「効きそう〜」という気持ちになるものです。
スキンケアに配合すれば、若々しいお肌が戻るハズ(実際、そういう説明がされています)、という期待も入道雲のように。
さっそく原料を入手し、ローションに配合して皮膚へのテストを行いました。
細胞再生の状況を数値的に計測することは、それなりに大がかりで複雑です。
そこでまずはマイクロスコープによる写真撮影という定性的なものにとどめましたが、定性的な変化がなければそれ以上のテストや測定は無意味です。
原料メーカーによる使用ガイドラインどおりの使用頻度・配合濃度を遵守し、自分だけでなくボランティアとして知人二人参加してもらい合計3名で3ヶ月間(ボランティアは1〜2ヶ月)テストしました。
そして3ヶ月後・・・
私たちのお肌に奇跡は?・・・
全員結果的に「変化認められず」という結論でした。
ときどき「奇跡の成分」が化粧品業界を騒がせます。必ず仕掛け人がいますが、そんなに簡単に奇跡は起こりませんよね、といつもの結論です。
どういうテストをすれば、提供側が出しているエビデンス・データのようなデータが取れるのか、おそらく「実験方法が悪い」と言われるだけでしょう。
しかし、我々がやって結果が出ないようでは、消費者が行うであろう想定外・非連続的な使い方で結果が出るわけがありません。
踊らされただけで断念、REJUVENATIONは、まだ時期尚早のようです。
(2007-12-01)
( 香水工場の )
香る生活
イチョウの葉 #2
本『イチョウの威力』によれば、イチョウの出現は約2億5千年前。
とんでもない昔で、ヒトらしき動物はかけらもなく恐竜が地上を闊歩していた時代らしいのですが、いかんせん昔のことなのでよくわかりません。
しかし、イチョウは、ソテツなどどともにいかにも古そう。チビッコたちが目を輝かせる恐竜事典に登場しそうな太古植物の風情を漂わせています。
イチョウは氷河期にいったん死滅しますが、1種類のイチョウのみが現在の中国の温暖なところで生き延び、韓国・日本などへと伝播、現在に生命を繋げてきたそうです。上の本によれば。
それゆえ「生きた化石」と呼ばれるそうです。
幕末日本からもたらされたイチョウが、ヨーロッパに根付き、米国にはヨーロッパ経由でもたらされ、現在イチョウは2億5千年前同様、全世界へと広がっています。
お父さんたちは、こういう太古の植物や動物に「憧れ」を感じる人も少なくなく、イチョウはお父さんたちには心に染み入る樹木です。
しかも、イチョウ並木は絵になります。
そういえば、不朽の名作『第三の男』の切ないラストシーンを飾るあの場面も、あれは墓場のイチョウ並木ではなかったろうか?
・イチョウ葉の安全性を調べる(日本)
・イチョウ葉の効用を調べる(海外)
・イチョウの葉 #5 イチョウの葉茶
・イチョウの葉 #4 燃えるイチョウ
・イチョウの葉 #3 脳内血管
・イチョウの葉 #2 イチョウ並木
・イチョウの葉 #1
(2007-11-30)
とんでもない昔で、ヒトらしき動物はかけらもなく恐竜が地上を闊歩していた時代らしいのですが、いかんせん昔のことなのでよくわかりません。
しかし、イチョウは、ソテツなどどともにいかにも古そう。チビッコたちが目を輝かせる恐竜事典に登場しそうな太古植物の風情を漂わせています。
イチョウは氷河期にいったん死滅しますが、1種類のイチョウのみが現在の中国の温暖なところで生き延び、韓国・日本などへと伝播、現在に生命を繋げてきたそうです。上の本によれば。
それゆえ「生きた化石」と呼ばれるそうです。
幕末日本からもたらされたイチョウが、ヨーロッパに根付き、米国にはヨーロッパ経由でもたらされ、現在イチョウは2億5千年前同様、全世界へと広がっています。
お父さんたちは、こういう太古の植物や動物に「憧れ」を感じる人も少なくなく、イチョウはお父さんたちには心に染み入る樹木です。
しかも、イチョウ並木は絵になります。
そういえば、不朽の名作『第三の男』の切ないラストシーンを飾るあの場面も、あれは墓場のイチョウ並木ではなかったろうか?
・イチョウ葉の安全性を調べる(日本)
・イチョウ葉の効用を調べる(海外)
・イチョウの葉 #5 イチョウの葉茶
・イチョウの葉 #4 燃えるイチョウ
・イチョウの葉 #3 脳内血管
・イチョウの葉 #2 イチョウ並木
・イチョウの葉 #1
(2007-11-30)
( 香水工場の )
香る生活
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香る生活
イチョウの葉 #1
イチョウは、私が好きな落葉樹です。
黄色い葉を滝のように落とす晩秋のイチョウの大木は見応えがあります。
紅葉した葉っぱが地面を覆うといよいよ冬到来という実感がでてきます。
ところで、今年はイチョウの葉を煎じて飲んでみようかと考えています。
香りの図書館(飯田橋)でたまたま手にしたイチョウの本に影響されて「見るイチョウ」から「食するイチョウ」を試したくなりました。
サプリメントでは、脳内血管を改善する機能性食品(通称「サプリメント」)として「イチョウ葉エキス」があります。
ドイツでは日本から大量のイチョウの葉を輸入し「医薬品」の原料として使用されているそうです。
シュワーベ製薬「EGb761」(Extractum Ginkgo bilobae 761)は、イチョウ葉の成分からギンコール酸(アレルギー性が報告されている)などを除去し、ギンコライドの濃度を調整したものだそうで。
ボタニカル医薬品(植物原料から作る医薬品)として人気があるとか。
現代西洋医学では、医薬品は純度が非常に高い成分のみで製造するため必然的にケミカル合成による成分が使用されます。
複雑で雑多な微量成分を含有するハーブや薬草類のエキス、粉末、抽出物は「医薬品」とは見なされないなので、EGb761は異色の医薬品と思います(EGb761は、米国では医薬品として認可されていない模様)。
・イチョウ葉の安全性を調べる(日本)
・イチョウ葉の効用を調べる(海外)
・イチョウの葉 #5 イチョウの葉茶
・イチョウの葉 #4 燃えるイチョウ
・イチョウの葉 #3 脳内血管
・イチョウの葉 #2 イチョウ並木
・イチョウの葉 #1
(2007-11-28)
黄色い葉を滝のように落とす晩秋のイチョウの大木は見応えがあります。
紅葉した葉っぱが地面を覆うといよいよ冬到来という実感がでてきます。
ところで、今年はイチョウの葉を煎じて飲んでみようかと考えています。
香りの図書館(飯田橋)でたまたま手にしたイチョウの本に影響されて「見るイチョウ」から「食するイチョウ」を試したくなりました。
サプリメントでは、脳内血管を改善する機能性食品(通称「サプリメント」)として「イチョウ葉エキス」があります。
ドイツでは日本から大量のイチョウの葉を輸入し「医薬品」の原料として使用されているそうです。
シュワーベ製薬「EGb761」(Extractum Ginkgo bilobae 761)は、イチョウ葉の成分からギンコール酸(アレルギー性が報告されている)などを除去し、ギンコライドの濃度を調整したものだそうで。
ボタニカル医薬品(植物原料から作る医薬品)として人気があるとか。
現代西洋医学では、医薬品は純度が非常に高い成分のみで製造するため必然的にケミカル合成による成分が使用されます。
複雑で雑多な微量成分を含有するハーブや薬草類のエキス、粉末、抽出物は「医薬品」とは見なされないなので、EGb761は異色の医薬品と思います(EGb761は、米国では医薬品として認可されていない模様)。
・イチョウ葉の安全性を調べる(日本)
・イチョウ葉の効用を調べる(海外)
・イチョウの葉 #5 イチョウの葉茶
・イチョウの葉 #4 燃えるイチョウ
・イチョウの葉 #3 脳内血管
・イチョウの葉 #2 イチョウ並木
・イチョウの葉 #1
(2007-11-28)
( 香水工場の )
香る生活
ローズの贈り物 & サンタの贈り物
(2007/11/25)
今時の欧米はまさに「天然ブーム」。需要が毎年確実に増加してきており、ブルガリアではローズオイルを仕入れたくてもなかなか入手できない状況も呈し始めています。
しかし、当社は少量生産ということもあり、価格の高騰はやむ得ないとしても、それ以外は大きな問題もなく今年も「今年のクロップ」による『ローズの贈り物』をお届けできることになりました。
なるべくローズオイルそのままのテイストを壊さないこと。
ローズ香水の多くは「ファンタスティック」で「ロマンティック」にアレンジされたもの。その方が一般には「素敵に」感じられます。
それが香水のすばらしさであり、また香水の香水たる所以ですが『ローズの贈り物』に関してはそういうアレンジを最小限にしています。
よって、本物のローズオイルをご存じない方には「これがローズ?」という疑問符も付くかもしれません。お気に召す香りであることを祈ります。
『サンタの贈り物』は、今年も北海道産モミの木精油を使用しました。これは『ローズの贈り物』のように成分をそのまま全面に出すことを意図していません。
モミの葉っぱから水蒸気蒸留によって抽出される精油は、おだやか香り立ちです。懐かしさを感じさせる香りです。
この2品『ローズの贈り物』・『サンタの贈り物』には、30mLのボトル1本ごとに1個の「練り香水 ローズの贈り物」がプレゼントとして付いてきます。
この練り香水はローズオイルをたっぷり入れています。どれくらい本物か、本当のローズオイルを愛するお客様にぜひお使いいただきたいと願っております。

「練り香水 ローズの贈り物」
(2007-11-25)
天然ブームによる品薄
今時の欧米はまさに「天然ブーム」。需要が毎年確実に増加してきており、ブルガリアではローズオイルを仕入れたくてもなかなか入手できない状況も呈し始めています。
しかし、当社は少量生産ということもあり、価格の高騰はやむ得ないとしても、それ以外は大きな問題もなく今年も「今年のクロップ」による『ローズの贈り物』をお届けできることになりました。
『ローズの贈り物』のコンセプト
なるべくローズオイルそのままのテイストを壊さないこと。
ローズ香水の多くは「ファンタスティック」で「ロマンティック」にアレンジされたもの。その方が一般には「素敵に」感じられます。
それが香水のすばらしさであり、また香水の香水たる所以ですが『ローズの贈り物』に関してはそういうアレンジを最小限にしています。
よって、本物のローズオイルをご存じない方には「これがローズ?」という疑問符も付くかもしれません。お気に召す香りであることを祈ります。
今年の『サンタの贈り物』
『サンタの贈り物』は、今年も北海道産モミの木精油を使用しました。これは『ローズの贈り物』のように成分をそのまま全面に出すことを意図していません。
モミの葉っぱから水蒸気蒸留によって抽出される精油は、おだやか香り立ちです。懐かしさを感じさせる香りです。
今年のプレゼント
この2品『ローズの贈り物』・『サンタの贈り物』には、30mLのボトル1本ごとに1個の「練り香水 ローズの贈り物」がプレゼントとして付いてきます。
この練り香水はローズオイルをたっぷり入れています。どれくらい本物か、本当のローズオイルを愛するお客様にぜひお使いいただきたいと願っております。

「練り香水 ローズの贈り物」
キャンペーン
- 開催期間:2007年11月25日〜12月25日
- 内容:期間限定の『ローズの贈り物』・『サンタの贈り物』(30mL/1mL)リリース
- ショッピングサイト:
・『ローズの贈り物』
・『サンタの贈り物』
- プレゼント:30mLの『ローズの贈り物』・『サンタの贈り物』には、1本ごとに1個の「練り香水 ローズの贈り物」がもれなく付きます。
- 店頭販売:伊勢丹新宿店地下2F、フレグランスコーナーにて
- ※注意事項:数量限定で本数に限りがあります。在庫がなくなり次第販売を終了します。
(2007-11-25)
( 香水工場の )
香る生活
九州の櫨7 化粧品原料としてハゼ蝋
●化粧品原料としてハゼ蝋
私は製造中のハゼ蝋(櫨蝋)をひとつまみ手に取り口の中に放り込んでみました。天然物の成分試験は高度な分析機を駆使しますが、最終的には香料も原料も「味で見る」という職人芸的な研究者は少なくありません。
実はパフューマーの中にもそれが本物の天然香料かどうかを判断する際、最終的に舐めたり口に入れる人がいます。私は残念ながら味で成分まで判別する職人芸は持ち合わせていませんが、まねごとでなめて噛んでみるとハゼ蝋(櫨蝋)にはまったく味がありませんでした。
まさに噛むほどにロウを噛む感触(当たり前ですが)。上下の歯にまとわりつく粘り気はハゼ蝋(櫨蝋)の特徴である強靱さを感じさせます。
植物蝋(ベジタブルワックス)として世界的に流通しているものは、カルナバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス、そしてハゼ蝋(櫨蝋)(ジャパンワックス)。動物蝋としてミツロウ(ビーズワックス)、鉱物蝋としてパラフィンワックスなどがあります。
それぞれに特徴があり優劣は付けられないと思いますが、化粧品の原料という観点からすれば化粧品メーカーとってはパラフィンワックスがもっとも優れているとする意見が圧倒的。
たとえば、コスト。たとえば、安定供給性。
その他、純度の高さ(純度の高さは品質の安定性となります)、安全性(アレルギー反応を起こす人が少ないとされています)、汎用性、色・匂い(化粧品原料は一般に無色無臭か白色無臭が好まれます)・・・どれもこれもパラフィンワックスは絵に描いたような理想的な原料です。
しかし、私はこの目前に独特の匂いとともに高温で流れ出ているオリーブ色の素朴なハゼ蝋(櫨蝋)を使用して化粧品を作りたいという気持ちでいっぱいです。
植物性であること、天然であること、環境循環型の産物であること、トレーサビリティーがしっかりしていること、そして日本産であること。私は日本産の原料を使用することにとても心惹かれます。魅力的な要素がいっぱいです。
それにしても化粧品原料としてのハゼ蝋(櫨蝋)は個性が強すぎます。濃厚なオリーブ色、独特の強い匂い。それらは扱いにくさの要素ですが、強い粘靱性は魅力です。
その粘靱性はリップクリームには向きそうです。天然成分で「落ちない口紅」を作ることは実現不可能ですが、ハゼ蝋(櫨蝋)なら強い強度で残り、そして適度に落ちて、しかも完全に安全なリップケア用の製品になる予感がします。
この粘靱性の立て役者が「日本酸」(Japan Acid)。
ハゼ蝋の成分はパルミチン酸などがメインですが、「日本酸」というとても珍しい成分が含まれています。
日本酸(にほんさん)とは、脂肪酸の一種ですが、ハゼ蝋に特徴的な成分で他の植物性オイル・バター・ワックスに見られない成分です。当然動物性のワックスや脂肪にもありません。実は中国産のウルシの木にも日本酸が含まれていることが発見されていますが、その含有率は零点数パーセント。
一方日本のハゼ蝋(木蝋・モクロウ)には数パーセント〜5パーセント含有されています。これがハゼ蝋(木蝋・モクロウ)の「腰の強さ」(粘靱性)を支えているのではと考えられています。
両端をカルボキシル基にはさまれた21個の炭素鎖有機化合物とのことです。ネーミングについておもしろい記述がありまあした。
「これはドイツの化学者が20世紀の初めごろ、日本産のハゼの木の木蝋から単離したものです。なぜ日本酸というネーミングになったか、詳しいところは明らかになっていません」
日本酸のおかげで、天然ながら「付けやすく落ちにくい」リップクリームが期待できそうです。
また、スキンケアとして、荒れた肌の強力な保護クリームとしてはどうでしょうか?・・・様々な構想やアイデアが浮かんできますが、試作や検証してみないとわからないことばかりです。他の成分との相性も気になります。
(2007-11-24)
私は製造中のハゼ蝋(櫨蝋)をひとつまみ手に取り口の中に放り込んでみました。天然物の成分試験は高度な分析機を駆使しますが、最終的には香料も原料も「味で見る」という職人芸的な研究者は少なくありません。
実はパフューマーの中にもそれが本物の天然香料かどうかを判断する際、最終的に舐めたり口に入れる人がいます。私は残念ながら味で成分まで判別する職人芸は持ち合わせていませんが、まねごとでなめて噛んでみるとハゼ蝋(櫨蝋)にはまったく味がありませんでした。
まさに噛むほどにロウを噛む感触(当たり前ですが)。上下の歯にまとわりつく粘り気はハゼ蝋(櫨蝋)の特徴である強靱さを感じさせます。
植物蝋(ベジタブルワックス)として世界的に流通しているものは、カルナバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス、そしてハゼ蝋(櫨蝋)(ジャパンワックス)。動物蝋としてミツロウ(ビーズワックス)、鉱物蝋としてパラフィンワックスなどがあります。
それぞれに特徴があり優劣は付けられないと思いますが、化粧品の原料という観点からすれば化粧品メーカーとってはパラフィンワックスがもっとも優れているとする意見が圧倒的。
たとえば、コスト。たとえば、安定供給性。
その他、純度の高さ(純度の高さは品質の安定性となります)、安全性(アレルギー反応を起こす人が少ないとされています)、汎用性、色・匂い(化粧品原料は一般に無色無臭か白色無臭が好まれます)・・・どれもこれもパラフィンワックスは絵に描いたような理想的な原料です。
しかし、私はこの目前に独特の匂いとともに高温で流れ出ているオリーブ色の素朴なハゼ蝋(櫨蝋)を使用して化粧品を作りたいという気持ちでいっぱいです。
植物性であること、天然であること、環境循環型の産物であること、トレーサビリティーがしっかりしていること、そして日本産であること。私は日本産の原料を使用することにとても心惹かれます。魅力的な要素がいっぱいです。
それにしても化粧品原料としてのハゼ蝋(櫨蝋)は個性が強すぎます。濃厚なオリーブ色、独特の強い匂い。それらは扱いにくさの要素ですが、強い粘靱性は魅力です。
その粘靱性はリップクリームには向きそうです。天然成分で「落ちない口紅」を作ることは実現不可能ですが、ハゼ蝋(櫨蝋)なら強い強度で残り、そして適度に落ちて、しかも完全に安全なリップケア用の製品になる予感がします。
この粘靱性の立て役者が「日本酸」(Japan Acid)。
ハゼ蝋の成分はパルミチン酸などがメインですが、「日本酸」というとても珍しい成分が含まれています。
日本酸(にほんさん)とは、脂肪酸の一種ですが、ハゼ蝋に特徴的な成分で他の植物性オイル・バター・ワックスに見られない成分です。当然動物性のワックスや脂肪にもありません。実は中国産のウルシの木にも日本酸が含まれていることが発見されていますが、その含有率は零点数パーセント。
一方日本のハゼ蝋(木蝋・モクロウ)には数パーセント〜5パーセント含有されています。これがハゼ蝋(木蝋・モクロウ)の「腰の強さ」(粘靱性)を支えているのではと考えられています。
両端をカルボキシル基にはさまれた21個の炭素鎖有機化合物とのことです。ネーミングについておもしろい記述がありまあした。
「これはドイツの化学者が20世紀の初めごろ、日本産のハゼの木の木蝋から単離したものです。なぜ日本酸というネーミングになったか、詳しいところは明らかになっていません」
日本酸のおかげで、天然ながら「付けやすく落ちにくい」リップクリームが期待できそうです。
また、スキンケアとして、荒れた肌の強力な保護クリームとしてはどうでしょうか?・・・様々な構想やアイデアが浮かんできますが、試作や検証してみないとわからないことばかりです。他の成分との相性も気になります。
- 九州の櫨9 スローライフとハゼ蝋
- 九州の櫨8 島原半島のハゼ蝋
- 九州の櫨7 化粧品原料としてハゼ蝋
- 九州の櫨6 ハゼ蝋の安全性
- 九州の櫨5 ハゼ蝋産業の半世紀
- 九州の櫨4 和蝋燭とイケているオトコのポマード
- 九州の櫨3 ハゼ蝋の工場、荒木製蝋
- 九州の櫨2 久留米の柳坂曽根
- 九州の櫨1 太宰府天満宮
(2007-11-24)
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